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13話
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「でもさ、仕事がないんだよ。ずっとこんなことも続けていけないしさ。この先の生活を考えていくと、不安だらけさ」
カールは顔を曇らせて話した。
(でも、それは、自業自得だから、仕方ないでしょう)
私の怒りは半分呆れに変わってしまい、力が抜けていくのを感じる。
「せいぜい、苦労することね。私は、許さないからね」
そう言い捨てると、私は修道院の建物目がけて小走りになる。
「!まだ許さないのかよ!」
カールの半ギレの怒声が、背後から聞こえてくる。
(まだまだ許せない!)
なぜだろう、カールやミンティアを見るたびに、恨みの気持ちが強くなってくる。
許すというのは、難しいことだった。
例えカールが私の元に戻ってきても、私の傷は癒えることはなかった。
建物の正面から中に入ると、セイントマリアンナ教会と同じように、講堂が広がっていた。
「アルルさんですね」
私の気配に気づき、黒縁眼鏡をかけたシスターがこちらにやってきた。
「はい、アルル・クラインです」
「私は、シスター・アメリアです。はじめまして、歓迎します。シスター・ミオナールから話は聞いてます。部屋に案内しましょう」
シスター・アメリアの顔に、笑顔はなかった。どちらかというと、表情は固く、私を歓迎しているようには見えない。
(やっぱり、見習いだからかしら。動機が不順なのも心象良くないのかも)
アメリアは講堂から向かい側の扉を開けて進んでいく。置いていかれないように、アメリアの後を着いて歩く。
渡り廊下を突き進み、宿舎と思われる建物に入っていく。その一部屋で立ち止まり、部屋のドアを開けた。
「この部屋が、アルルさんの部屋です。食事は、5時、12時、18時です。消灯時間は20時。ミサは朝4時から講堂であります。それ以外の時間は、奉仕の時間になります。くわしくは、相部屋のクラリスさんに聞いてください」
アメリアは、台本を読むような無機質な声で話した。
「は、はい」
全てを頭に入れることは、出来なかった。
(あとで、また聞こう)
「今日はお疲れだと思うので、夕食までは部屋で休んでください。それと」
アメリアは、言葉を飲み込み、間を開けた。
「はい?」
(なんだか、怖そうな顔)
「あなたは見習いです。いつやめてもいいですし、私が無理だと判断すれば、出て行ってもらいます」
アメリアは、冷たく言い放つと、くるりと背を向くて行ってしまう。
やはり、私は気に入られていないようだった。部屋には誰もいない。二人入れば狭くなるようなコンクリートの空間があるだけだった。
(何の家具もない、、)
相部屋のシスターが部屋に戻って来たのは、3時間程たった夕食前だった。
カールは顔を曇らせて話した。
(でも、それは、自業自得だから、仕方ないでしょう)
私の怒りは半分呆れに変わってしまい、力が抜けていくのを感じる。
「せいぜい、苦労することね。私は、許さないからね」
そう言い捨てると、私は修道院の建物目がけて小走りになる。
「!まだ許さないのかよ!」
カールの半ギレの怒声が、背後から聞こえてくる。
(まだまだ許せない!)
なぜだろう、カールやミンティアを見るたびに、恨みの気持ちが強くなってくる。
許すというのは、難しいことだった。
例えカールが私の元に戻ってきても、私の傷は癒えることはなかった。
建物の正面から中に入ると、セイントマリアンナ教会と同じように、講堂が広がっていた。
「アルルさんですね」
私の気配に気づき、黒縁眼鏡をかけたシスターがこちらにやってきた。
「はい、アルル・クラインです」
「私は、シスター・アメリアです。はじめまして、歓迎します。シスター・ミオナールから話は聞いてます。部屋に案内しましょう」
シスター・アメリアの顔に、笑顔はなかった。どちらかというと、表情は固く、私を歓迎しているようには見えない。
(やっぱり、見習いだからかしら。動機が不順なのも心象良くないのかも)
アメリアは講堂から向かい側の扉を開けて進んでいく。置いていかれないように、アメリアの後を着いて歩く。
渡り廊下を突き進み、宿舎と思われる建物に入っていく。その一部屋で立ち止まり、部屋のドアを開けた。
「この部屋が、アルルさんの部屋です。食事は、5時、12時、18時です。消灯時間は20時。ミサは朝4時から講堂であります。それ以外の時間は、奉仕の時間になります。くわしくは、相部屋のクラリスさんに聞いてください」
アメリアは、台本を読むような無機質な声で話した。
「は、はい」
全てを頭に入れることは、出来なかった。
(あとで、また聞こう)
「今日はお疲れだと思うので、夕食までは部屋で休んでください。それと」
アメリアは、言葉を飲み込み、間を開けた。
「はい?」
(なんだか、怖そうな顔)
「あなたは見習いです。いつやめてもいいですし、私が無理だと判断すれば、出て行ってもらいます」
アメリアは、冷たく言い放つと、くるりと背を向くて行ってしまう。
やはり、私は気に入られていないようだった。部屋には誰もいない。二人入れば狭くなるようなコンクリートの空間があるだけだった。
(何の家具もない、、)
相部屋のシスターが部屋に戻って来たのは、3時間程たった夕食前だった。
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