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第六話 四人目の仲間

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 ♢♢♢♢♢♢、

一一愛していました。昔も今も、ずっとずっと。だから、殺し合わないで一一

一一あなたは、だれ??一一

一一私は、あなたです。解放してください、私の力を一一

一一?何を言っているの?私は、私よ。解放って?力って?一一

一一あなたは、金のドラゴンの後継者一一

一一金のドラゴン?伝説の?私が?一一

  
 ♢♢♢♢♢♢

「待って!消えないで!」
 
 カトレアは、夢の中の幻のドラゴンを追いかけるように、手を伸ばしたところで目が覚めた。

 最近はいつも同じ夢を見る。金のドラゴンの幻がでてきては、語りかけてくる。

 カトレアは額の寝汗を手で拭いながら、溜め息をついた。

 カトレアが地下牢に閉じ込められてから、10日がたった。粗末な食事が三食は運ばれてくるが、それだけが時間の経過を知る手がかりだった。

「食事の時間だ」

 朝食が運ばれてくる。

「・・・」

 カトレアは、朝食の盆を持つ兵を見て、びっくりする。

「ランドン!」

「静かに。本当の警備兵は眠らせてる」

 カトレアはまさかランドンが来てくれるとは思わず、涙ぐんだ。気を張っていたのだろう、肩の力が抜けていくようだった。

「来てくれたのね、ありがとう」

「今、開けますから」

「え?」

「鍵を盗んできたから」

 ランドンはそう言いながら、鍵の束から真鍮の鍵を選んで鍵穴に入れた。

 鍵はピッタリと合わさり、ガチャリと扉が開いた。

「さあ、行きましょう!サラも待ってる」

「ありがとう!」

 カトレアは牢から抜け出すと、ランドンと秘密基地へと急いで向かった。


 △△△△△△


「無事で良かったわ。今回のことは、止められかった私たちも悪かった」

 秘密基地で待機をしていたサラは、やつれたカトレアを見て神妙な顔で言った。

「いえ、私の軽々しい行動で、こんなことになってしまったのよ」

「まあ、みんなの責任ってことでいいじゃないか」

「私たち、肉や金だけのつながりではなかったのね」

 三人には友情が芽生え、しっかりとつながっていたことに三人とも驚き、感動を覚える。

「それより、これからのことだ。カトレアの脱走はすぐにバレるだろう。逃した俺たちも、もう、重要犯罪者だ」

 恥ずかしを隠そうと、サラは話を進めようと促した。

「そうだね、それに、もうこの先、国がどうなるかわからない」

 ランドンはサラの話に素直に頷く。

「そう、サンドリア国の攻撃はどうなったの?」

 カトレアは一番気になっていたことを聞いてみる。

「とりあえず、こっちも騎兵隊と陸軍が出勤して、一方的な破壊は一旦は止まった。まあ、冷戦ってとこかな」

「ただ、一日目に受けた打撃が致命的で、城下町のほとんどが焼けてしまった」

「それに、この一週間以上、雨が降っていない。もともと砂漠の国だ、このままだと、水がなくなり、作物が枯れてしまう」

 雨が降らないなど、これまではなかったことだった。カトレアは、伝説の力が大きいことを身をもって感じる。

 それと同時に、犯した罪を償わなければいけないと、自分で自分のことを責めたてていた。

「私、なんとかしたい。もとのサンドリア国とメリムダ国のようになるために、なんでもするわ」

 カトレアは想いをぶつけるように、呟いた。

「でも、伝説では、どちらかの国が滅びるまで終わらない。終わらせるためには、サンドリア国を滅亡させるしかない」

「そんなのだめ!」

 カトレアは、アルク王子の漆黒の瞳を思い出していた。

(伝説が本当なら、アルク王子は、何かに憑依され、操られているはず。だから、こんな攻撃を仕掛けてきたんだわ。私のせいだ、私、助けに行かないと)

「サンドリア国もメリムダ国も助かる道を探すのよ」

「でも、サンドリア国のアルク王子は、完全に攻撃大勢で揺るがない。頭が良くて勇敢、かつ人望もあるアルク王子が指揮をとっていたら、とても無傷ではすまないはずだ」

 サラは、深く考えた目で言った。

 そう言われると、カトレアは口をつぐむしかなかった。

「じゃあさ、ソフィアに聞いてみるか?」

 重い沈黙に耐えかねるように、ランドンが提案する。

「ソフィアってだれ?」

「知らないのかよ?俺たちのクラスメイトで、ドラゴン伝説の研究者だ。かなりの天才って言われてる」

「あのソフィア?おっとりと丸々した?」

 サラは意表を突かれて驚きをあらわにした。

「全く二人とも、クラスには無関心だよなあ。まあ、俺みたいな単細胞には、そういう孤高なとこが良いんだけどな」

 ランドンは、なはは、と笑って言う。

「それ良いわね!ソフィアを四人目の仲間にしましょう!何かわかるかも」

 カトレアは希望を見出し、大声で言った。

「そうだね、ランドン、彼女とは仲が良いのか?居場所を知ってる?」

「それがさ、、俺、実はソフィアと付き合ってるんだ」

 ランドンは、照れた表情で告白をする。

 ランドンの告白に、二人は顔を見合わせ、目を丸々として驚いた。

「いつの間に!ランドンにガールフレンドが、、」

「最近なんだけどな、彼女背が低いから、高いものをとったりしているうちに、そういう感じに、、」

「やるわね!」

「チビとノッポ!」

 カトレアは久しぶりに心から笑い、ランドンを祝福した。

(友達っていいな。嫌な事だけじゃないんだな)



 






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