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ミネアは、タンジア王子が部屋で一人のときを狙い、聞いた。
「王子、お時間とっていただき、ありがとうございます」
ミネアは、王子から10歩程離れ、頭を下げて聞いた。必要以上に王子に近づくと、胸が熱くなりだす。距離を取れば良いのだと、ミネアなりに対策をとる。
「いや、大丈夫だ。聞きたいこととは?」
タンジア王子の声は緊張をして、震えていた。
(この前の、告白、もしかしたら考えを変えて、受け入れてくれたのか)
「実は、サーリャの地について、詳しく聞きたいのです」
「?サーリャの地?」
想定外の言葉がミネアの口から出て、タンジア王子は、一瞬、虚を突かれる。
「サーリャの地が何か?」
タンジア王子は、冷静を装って聞き返す。
「カルデア王国とアリシア王国が争っているのは、石油のことだけですか?」
ミネアは、単刀直入に切り出した。
「・・・他に何があるというのだ」
タンジア王子の口が重くなった。
(やっぱり、何か隠してる?)
ミネアは、タンジア王子の表情が、明らかに影ったことを見逃さなかった。
「昨日、ランビーノが戻ってきて、サーリャの地に隠されたことがあるのではないかと、情報を握ってきました。そして、今朝、それを追うために、山の民の長に会いに出かけました。」
ミネアは、全ての情報をタンジア王子に話した。何かを隠しても、王子には通じないとわかっていた。
タンジア王子の表情は強張り、一時の沈黙が二人に訪れた。
「そうか、ランビーノは、気づき始めたんだな、、」
タンジア王子は、重々しく口を開いた。
(一体、何が隠されているの?)
「そなたは、真実を知ってどうする?」
「実は、私は15年前に捨てられました。今回のサーリャの件は、私の生い立ちに絡んでいるようなのです」
ミネアは、タンジア王子に、今までの生い立ちを話した。不思議と王子に自分の過去を話すことに抵抗はなかった。
タンジア王子は、ミネアの全ての話を聞くと、顎に手を当て、神妙に頷いた。
「なるほど、だからそなたからは、なんとなく高貴なものを感じるのか。しかし、、カルデア王国の姫君とは、何の因果か。敵国側だったのか」
王子は、ミネアから聞いた事実に向き合い、苦しそうに表情を歪めた。
「いえ、私は、ランビーノの娘。使命に基づき、タンジア王子をお守りすることは、変わりません。ただ、私は、真実が知りたいのです」
ミネアは、タンジア王子の漆黒の目を、真正面から見つめて言った。
(俺とミネアの前には、障害ばかりだな。だが、俺は、ミネアが好きだ。その気持ちだけは変わらない)
タンジア王子は、全ての事実から、ただ一つ、ミネアへの恋心という真実を確認した。
「良いだろう。私が知っていることは、話してやる」
王子は覚悟を決め、ミネアの青い瞳を離さず、頷いた。
「ありがとうございます!」
(タンジア王子は、私の気持ちをわかってくれた)
ミネアは、嬉しさが胸に込み上げてくるのを感じる。
「サーリャの地には、言い伝えがある」
「言い伝え?」
「そうだ。古くから、知る者しか知らない。だからこそ、サーリャの地は、無主地なのだ」
「言い伝えとは?」
「そなたは、魔法というものを知っているか?」
「魔法?人の力ではない、不思議な力のことですよね」
「そうだ。その、魔法の使い手が、サーリャの地にはいるのだ」
「魔法の使い手?」
「その者は、サーリャの地に聖域を作り、決して武力を使えないような、魔法陣を敷いている」
「魔法陣?」
ミネアは、昔、ランビーノからその言葉を聞いたことがある。
〝武術と魔術は対立するものだが、時として、両術の使い手も現れる。魔術の使い手は、必ずいることを忘れるな〃
(魔法の使い手、、)
「そうだ。だから、サーリャの地には、誰も手が出せないのだ。しかし、昔から、その絶大な力を手に入れようと、どの国もサーリャを狙っている、冷戦状態なのだ。今回は石油が出た。サーリャの地を手に入れる、絶好の建前ができた。だから、私は、サーリャの地に出向いた」
タンジア王子の目には、支配者としての、冷たい光が宿っていた。その光は、ミネアを見る愛情溢れた光と対極しており、一瞬、ミネアの背筋は凍った。
「サーリャの地は、何もしていない。支配することはないですか?」
「わかっている。しかし、カルデア王国も同じことを考えている。先にカルデア王国にサーリャの地を手に入れられたら、逆に我が国が支配される。我が民達が、奴隷になり、搾取されるのだ。それは、避けなければいけない」
「それはそうかもしれませんが、他に何か方法があるはずでは?!」
ミネアは、王子の言うことを頭では理解できた。しかし、争いが起こることを避けたい一心で、声高に叫んでしまう。
「わかっている。だから、山の民の長と話をしたのだ」
「何を?何を話したのですか?!」
「それは、まだ話せない」
タンジア王子は、ミネアから一線を置いた。ミネアは、線を引かれたことを敏感に感じとる。
「一体、魔法とはなんですか?山の民とは、何者なのですか?」
ミネアは、話を終わりにしなければいけないことをわかっていた。半ば、自問自答するように呟いた。
「私も、よくわからないことが、まだまだ、ある。今日は、ここまでで、許してくれ」
タンジア王子は、苦渋の表情を眉根に寄せて言った。ミネアは、頷くしか、術がなかった。
「王子、お時間とっていただき、ありがとうございます」
ミネアは、王子から10歩程離れ、頭を下げて聞いた。必要以上に王子に近づくと、胸が熱くなりだす。距離を取れば良いのだと、ミネアなりに対策をとる。
「いや、大丈夫だ。聞きたいこととは?」
タンジア王子の声は緊張をして、震えていた。
(この前の、告白、もしかしたら考えを変えて、受け入れてくれたのか)
「実は、サーリャの地について、詳しく聞きたいのです」
「?サーリャの地?」
想定外の言葉がミネアの口から出て、タンジア王子は、一瞬、虚を突かれる。
「サーリャの地が何か?」
タンジア王子は、冷静を装って聞き返す。
「カルデア王国とアリシア王国が争っているのは、石油のことだけですか?」
ミネアは、単刀直入に切り出した。
「・・・他に何があるというのだ」
タンジア王子の口が重くなった。
(やっぱり、何か隠してる?)
ミネアは、タンジア王子の表情が、明らかに影ったことを見逃さなかった。
「昨日、ランビーノが戻ってきて、サーリャの地に隠されたことがあるのではないかと、情報を握ってきました。そして、今朝、それを追うために、山の民の長に会いに出かけました。」
ミネアは、全ての情報をタンジア王子に話した。何かを隠しても、王子には通じないとわかっていた。
タンジア王子の表情は強張り、一時の沈黙が二人に訪れた。
「そうか、ランビーノは、気づき始めたんだな、、」
タンジア王子は、重々しく口を開いた。
(一体、何が隠されているの?)
「そなたは、真実を知ってどうする?」
「実は、私は15年前に捨てられました。今回のサーリャの件は、私の生い立ちに絡んでいるようなのです」
ミネアは、タンジア王子に、今までの生い立ちを話した。不思議と王子に自分の過去を話すことに抵抗はなかった。
タンジア王子は、ミネアの全ての話を聞くと、顎に手を当て、神妙に頷いた。
「なるほど、だからそなたからは、なんとなく高貴なものを感じるのか。しかし、、カルデア王国の姫君とは、何の因果か。敵国側だったのか」
王子は、ミネアから聞いた事実に向き合い、苦しそうに表情を歪めた。
「いえ、私は、ランビーノの娘。使命に基づき、タンジア王子をお守りすることは、変わりません。ただ、私は、真実が知りたいのです」
ミネアは、タンジア王子の漆黒の目を、真正面から見つめて言った。
(俺とミネアの前には、障害ばかりだな。だが、俺は、ミネアが好きだ。その気持ちだけは変わらない)
タンジア王子は、全ての事実から、ただ一つ、ミネアへの恋心という真実を確認した。
「良いだろう。私が知っていることは、話してやる」
王子は覚悟を決め、ミネアの青い瞳を離さず、頷いた。
「ありがとうございます!」
(タンジア王子は、私の気持ちをわかってくれた)
ミネアは、嬉しさが胸に込み上げてくるのを感じる。
「サーリャの地には、言い伝えがある」
「言い伝え?」
「そうだ。古くから、知る者しか知らない。だからこそ、サーリャの地は、無主地なのだ」
「言い伝えとは?」
「そなたは、魔法というものを知っているか?」
「魔法?人の力ではない、不思議な力のことですよね」
「そうだ。その、魔法の使い手が、サーリャの地にはいるのだ」
「魔法の使い手?」
「その者は、サーリャの地に聖域を作り、決して武力を使えないような、魔法陣を敷いている」
「魔法陣?」
ミネアは、昔、ランビーノからその言葉を聞いたことがある。
〝武術と魔術は対立するものだが、時として、両術の使い手も現れる。魔術の使い手は、必ずいることを忘れるな〃
(魔法の使い手、、)
「そうだ。だから、サーリャの地には、誰も手が出せないのだ。しかし、昔から、その絶大な力を手に入れようと、どの国もサーリャを狙っている、冷戦状態なのだ。今回は石油が出た。サーリャの地を手に入れる、絶好の建前ができた。だから、私は、サーリャの地に出向いた」
タンジア王子の目には、支配者としての、冷たい光が宿っていた。その光は、ミネアを見る愛情溢れた光と対極しており、一瞬、ミネアの背筋は凍った。
「サーリャの地は、何もしていない。支配することはないですか?」
「わかっている。しかし、カルデア王国も同じことを考えている。先にカルデア王国にサーリャの地を手に入れられたら、逆に我が国が支配される。我が民達が、奴隷になり、搾取されるのだ。それは、避けなければいけない」
「それはそうかもしれませんが、他に何か方法があるはずでは?!」
ミネアは、王子の言うことを頭では理解できた。しかし、争いが起こることを避けたい一心で、声高に叫んでしまう。
「わかっている。だから、山の民の長と話をしたのだ」
「何を?何を話したのですか?!」
「それは、まだ話せない」
タンジア王子は、ミネアから一線を置いた。ミネアは、線を引かれたことを敏感に感じとる。
「一体、魔法とはなんですか?山の民とは、何者なのですか?」
ミネアは、話を終わりにしなければいけないことをわかっていた。半ば、自問自答するように呟いた。
「私も、よくわからないことが、まだまだ、ある。今日は、ここまでで、許してくれ」
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