32 / 54
32話
しおりを挟む『現在、このダンジョンではSRスキルを獲得できる状態です』
おっ。イベントボードにそんなメッセージが流れてきた。ってことは、あの闇鍋を注文した時点でスキルを獲得できる条件が整ったってわけか。どうやれば手に入るんだろう?
『これから出現する五匹のモンスターを、登場した時点からいずれも五秒以内に片付けることです』
へえ。モンスターの強さにもよるだろうけど、こっちには探知効果のある【開眼】スキルや一瞬で倒せる【殲滅】スキルもあるし意外と簡単そうだ。
どんなスキルが手に入るのか、これで楽しみがまた一つ増えた感じだね。激レアという部類の中では最低クラスのスーパーレアといえども、同等レアの【フェイク】スキルみたいに有能なものもあるから侮れないんじゃないかな。
ちなみに視聴者たちの間では、『うおー、闇鍋かよ、ヤベーw』、『カケル、死ぬかも???』等、不穏なコメントが飛び交っていてちょっと不安になってきたたけど、ま、まあ仮に残念な結果になったとしても、僕には世界最高峰の【セーブ&ロード】スキルで死に戻りできるわけだから……。
ん? なんか足元になんらかの気配を感じる上、やたらとモゾモゾするなあと思って下を向いたら……テーブルの下に魚の頭をした人がいて、僕と目が合っちゃった。はっ、半漁人……!?
『――ギョギョギョオオォォ……!』
「う、うわああぁあぁっ!」
飛び出してきたモンスターからまさに抱きつかれる寸前、既に僕が【殲滅】を使ったこともあって半魚人は即座に消滅していった。
……はあ。いくらなんでも心臓に悪すぎ……って、アレって料理になるの? まさかね……。
「えっ……?」
そう思ってたら、僕たちの目前にある皿に魚の大きな目玉が乗っけられたので、しばらく思考がフリーズしてしまった。さっきの半漁人のものなのは明白だ。
あのね……人間の目玉じゃないだけマシだけど、こんなものが料理だなんて、いくらなんでもバカげてる――
「――あむあむ……これ、おいしーっ!」
「はふはふっ……きゃうんっ……!」
「えぇっ……」
リサとミリルがいかにも美味しそうに頬張っていて、僕は唖然とするしかなかった。一応セーブしてから、騙されたと思って食べてみるかな? 配信する手前、絵面が汚いので吐き出すわけにもいかないし、不味くて食べられそうになかったら即座にロードすればいいわけだし。
「パクッ――ん、んはっ……!? こ、これ、はっ……」
口に入れた瞬間、僕はそれが目玉だってのを忘れそうになった。それくらい想像と違って硬くなくて、程よい弾力で噛み応えがあったし、コリコリしてて噛めば噛むほど旨味が溢れて、ジューシーで濃厚かつさっぱりとした不思議な味わいに、頭の中まで蕩けそうになるほどだった。
『ちょっ、飯テロか!?』
『カケル君、超うまそー!』
『俺もカケルみたいに今度闇鍋頼もうかな?めっちゃ怖いけど。。。』
「うん。まあ確かに怖いけど、それ以外はお勧めできるよ!」
なんせ今日初めて訪れるダンジョンだし、どう考えても演技でやってるわけじゃないのがわかる分、視聴者たちにも訴求力があったみたいだね。
あの目玉を何かの料理に例えるなら、フカヒレに似た感じかなあ。後味もいいし、こりゃいい……って、今はそれどころじゃなかった。次の料理が出るってことはモンスターとの戦闘を意味するんだから気を引き締めないと。
「――フー、フー……」
「「「……」」」
ん? 僕たちの近くから、何かの気配とともにやたらと荒い呼吸音がすると思ったら……今度はテーブルの上に、牛頭の人間が立っていた。
ミ、ミノタウロス……!? って一瞬思ったけど、その割りに体長は2メートルもなかった。本物に比べるとやけに小さいからミニタウロスか。実際のミノタウロスって、この倍くらいあるらしいし、何よりA級モンスターだからE級の闇鍋で出るわけない。
「ブモオォォー! ……オッ?」
注文者の僕に向かって牛男はハンマーを振り下ろしてきたものの、【神速】スキルを持つ僕には遅すぎるってことで余裕で避けつつ背後に回り込んでやると、今度は【殲滅】に頼らずに高速切りでバラバラにして消滅させてやった。その分倒すのはちょっと遅れたけど、多分それでも3秒もかからなかった。
『神業お疲れ様!さすがカケルさんだあ!僕なら絶対怖くて動けなくて、そのままハンマーで潰されてると思う!』
『しかも、座った状態からこれだからな・・・』
『あまりにも凄すぎて、眠くなってきちゃいましたあ。そろそろ脱落しますう』
「あはは……みんな褒めすぎ。っていうか最後のコメの人、いつもの匿名さんだね。お疲れー」
まあここまで僕が緊張せずに動けるのは、それだけスピードに自信があるっていうのもあるけど、いつでもロードできるっていうのが大きいんだと思う。
「ぼっ、坊やっ、凄いご飯が来たぁっ!」
「きゃううっ!」
「あっ……」
おっと、今度は僕たちのお皿に、湯気の立つハンバーグが乗っけられた。ミニタウロスを倒したから、牛肉100%かな?
……うん、できればそう思いたいね。っていうか、細かいことが気にならないくらい、美味しそうな肉の匂いがしてクラクラしそうだった。死霊のウェイターかウェイトレスさん乙です! ってことで、早速頂くことに。
「お、おいちぃよぉ。頬っぺた、落ちちゃうぅ……」
「クウゥーン……」
「う……うまあぁっ……!」
ちょっ、何これ……? 食べた瞬間首を横に振ってしまうくらい、異次元の旨味が舌全体に広がってきて、自分がちょっとおかしくなったんじゃないかって思うレベルの美味しさだったし、余韻に浸りたくてコメントを見るような余裕すらなかった。
モンスターを倒す手間が必要だとはいっても、1000円でこれはお得かもしれない。闇鍋かぁ。これから注文する人絶対多くなるだろうな。間違いなくお勧めだ。っていうか、食べてる間だけはここがダンジョンだってこと忘れちゃいそうだ……。
35
あなたにおすすめの小説
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる