学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し

文字の大きさ
13 / 62

十三話

しおりを挟む

「あ、ひゃんっ、なんですかこれっ、もっとしなさいっ、気持ちいいでひゅうぅぅ」

【ダストボックス】内、俺は蛇口やホース等を素材にして『クリエイト』でシャワールームを作ったんだが、ラビも思わず命令するほど喜んでくれてる様子。

 暖かい風を発生させる『ドライ』の魔法で髪もすぐ乾いたし、早速ここから出るとしよう。

「それじゃ、出かけてくるよ、ラビ」

「あ、ひゃい、ユートしゃま、すぐ帰ってきなさい、ひゃんっ」

「ははっ……」

【ダストボックス】から出ると、そこは旧校舎と新校舎を繋ぐ朝陽が射し込む渡り廊下だった。そうだった、昨晩は新校舎のほうへ行くと見せかけてここで離脱したんだったな。

「…………」

 ん?『ワープ』で一気に教室へ行こうかと思ったとき、後ろのほうからを感じて振り返ったが誰もいなかった。

 気のせいか……? いや、今人影が見えたし、やっぱり誰かいる。とても小柄だし女の子みたいだが、一体何者だ?

 追いかけると逃げ出したので、こっちも必死に走ると、その子は急に立ち止まって頭の上に詠唱バーを出した。ちょっ、ぶつかる……!

「「わああぁっ!」」

 女子生徒と衝突したかと思うと、彼女は物凄い勢いで吹っ飛んでいった。俺の並外れたステータスを考えると当然だ。まずい。このままじゃ向こうの壁に激突してしまう。

『ワープ』で飛ぼうと思ったが、詠唱する余裕もないので俺は全速力で駆け出した。攻撃力にはスピードの要素もあるみたいだから追いつけるはず――よし、俺は吹っ飛んだ彼女を抜き去ると、壁の目の前でその体を受け止めた。

「だ、大丈夫か?」

「あ、は、はい……」

「なんか、俺のことじっと見てたみたいだけど、一体どうして?」

「あ、あの、なんだか急に現れたみたいなので、幽霊かと思ってびっくりしちゃって……」

「あぁ、なるほど、それで逃げたのか。でもご覧の通り俺は幽霊じゃないし、気のせいだよ」

「そ、そうなんですね。そ、それでは、私は用事があるのでこの辺で失礼します! わわっ……!?」

「…………」

 彼女は何度も転びかけながら走っていったかと思うと、頭の上に詠唱バーを出して姿を暗ました。俺の『ワープ』みたいなスキルを持ってるんだろうか? なのに幽霊扱いするなんて、おっちょこちょいな子なんだろうな。

 そのあと教室へ着いた俺は、虎野たちの武勇伝を背景にしながら天の声を待つことに。

 連中は何人殺したとか相変わらず物騒な話をしているものの、やはり単細胞すぎて昨夜の件を忘れている様子で、俺のほうには目もくれなかった。

『はぁ、はぁ……し、失礼いたしました……! 生徒の皆さま、今日は武器と防具を配りたいと思いますので、スマートホンの準備をしてください』

「…………」

 今回は装備品を貰えるのか。それにしても天の声の人、息切れしちゃってるな。朝のラジオ体操でもしてきたんだろうか?

「キヒヒッ、如月、没収の時間ですよー」

「没収だポ」

「あっ……」

 いつものように永川にスマホを取り上げられる俺。こいつの仲間のスライムまで、肩の上で嫌らしい顔を浮かべてることから、性格も飼い主に似るらしい。

「ブルーちゃん、僕の真似して偉いでちゅねえ」

「偉いポッ」

 赤ちゃん言葉で語り掛ける永川と、褒められて嬉しそうに飛び跳ねるスライム。はー、ぶん殴りたい。

「畜生、なんで俺だけ……」

「「ププッ……」」

 俺自身、ちょっと棒読みで言ってしまったわけだが、やつらはバカだから不自然だと思わなかったらしくニヤニヤしている。

「「イダッ!?」」

 ここですかさず『タライ』を使うのはお約束だ。さて、今回も例外なく残り物に福があるはずだし、気長に待つとしよう。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!

チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。 お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。

処理中です...