23 / 62
二三話
しおりを挟むあれから軽く夕食を取ったあと、ラビがビキニアーマーを着せなさいと言うので着替えさせたわけだが、俺は正直不安だった。
こんな破廉恥な格好だと、俺が隠れずに側にいても変態が近寄ってきそうだからな。男の性欲を舐めちゃいけない……って、そんなことを考えてる場合じゃなかった。
もうとっくに日も暮れて、飛行モンスターの群れが迫ってくる頃だ。
ってなわけで俺たちは【ダストボックス】から出ることに。
「「「「「――ッ!?」」」」」
するとやはりラビが男子生徒たちから注目されたものの、すぐに視線が剥がれるのがわかった。
なんだ、さすがに心配しすぎたか。なんせ前と違って俺が見える形で側についてるし、状況的に今はそれどころじゃないからな。
『せっ、生徒の皆さまっ、もうすぐモンスターがやってきますので、戦闘準備をっ――いててっ……!』
「…………」
天の声でいよいよそのときが近いとわかったが、どこかに頭でもぶつけたのか痛がっていた。前から薄々感じてたが、おっちょこちょいな人なのかもな。
「「「「「来たっ!」」」」」
お、暗い空の果てに、真っ赤な集団が見え始める。早速【慧眼】で確認してみよう。
__________________________
名前 レッドドラゴン
種族 ドラゴン族
HP 10000/10000
MP 2200/2200
攻撃力 1120
防御力 950
命中力 937
魔法力 2200
所持能力
『ファイヤーブレス』
ランク 虐殺級
__________________________
おおっ、自分みたいな高いステータスだ。HPとMP、それと魔法力じゃ俺が大幅に勝ってるけど。
ランクは虐殺級か。ホルンの説明でわかったが五段階目の強さで、人間が勝てる相手じゃないってことだ。
それがざっと見ただけでも100匹以上いるとか……本来なら絶望的すぎる状況だ。
「あ、あれってドラゴンじゃね!?」
「ひええっ! マジだあー!」
「すげー強そう……」
「おい、このままじゃ食われちまうぞ!」
「「「「「に……逃げろおおおぉっ!」」」」」
「ちょっ……」
あれよあれよという間に、恐怖が伝染したのかほとんどの連中が逃げ出してしまった。
おいおい……折角、スキルだけでなく仲間や武器をタダで貰ったっていうのに、強そうなモンスターが現れたらこんなもんなのか。
なるほど、救世主を探すのに学校ごと召喚したのもうなずける。
さて、他人は他人、俺は俺。気にせずにモンスターと戦うことに集中しよう。
「ユートしゃまっ、わたひのために頑張りなしゃいっ!」
「ははあ」
「はうう」
ラビのエッチな服装を見て少し気が散ったがこれは仕方ない。
レッドドラゴンには火属性の『ヘルファイヤ』は効かないかもしれないってことで、まずは『エターナルスノーデス』で凍らせてやる。
「「「「「ギギャアアァッ!?」」」」」
20匹ほどのドラゴンを氷漬けにすると、『ディバインサンダー』で追撃してやった。いいぞ、気持ちいいくらいにどんどん落ちてる。
死んだドラゴンを囮にするかのように、やつらは立て続けにやってきたが、俺が次に唱えた『アースデーモン』の餌食になるだけだった。
よーし、いい感じだ。数はいるがアビスドラゴンよりは全然弱いし、今のところ問題なく対応できてる。
レッドドラゴンというよりこれじゃただの焼き鳥だ――
「――ボキュだけのうしゃぎしゃああああああんっ!」
「「っ!?」」
かなり近くから耳障りな奇声がした直後、200キロ以上はあろう巨体の男子生徒がラビのすぐ目の前まで迫っていた。
おいおい、おいおい……!
「ラビ、逃げろ――」
「――うさあああああっ!」
「ぐへえぇぇっ!?」
「えっ……?」
俺は目を疑った。目を真っ赤にしたラビが両手を出したかと思うと、巨漢が軽々と吹っ飛んでいったからだ。
あ、あれか、ラビにそんな力があるわけないし、火事場のバカ力ってやつか……?
「コオオオオォッ……」
「あ……」
しまった、ラビのほうに気を取られていた隙に、レッドドラゴンが旧校舎のほうに大口を開いていた。『ファイヤーブレス』を使う気だ。
「こいつっ!」
「ギギャアアアッ!」
咄嗟に放った『ヘルファイヤ』がレッドドラゴンの口内に命中したわけだが、それが効果覿面だったらしく谷底へ落ちていった。なんだ、炎も普通に効くのか……。
221
あなたにおすすめの小説
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい
寿明結未(旧・うどん五段)
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。
ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。
ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。
時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。
だから――。
「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」
異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ!
============
小説家になろうにも上げています。
一気に更新させて頂きました。
中国でコピーされていたので自衛です。
「天安門事件」
タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜
夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。
不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。
その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。
彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。
異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!?
*小説家になろうでも公開しております。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる