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三七話
しおりを挟む四人パーティーの傭兵になった俺は、近くに停めてあった馬車に乗り、最寄りの村まで案内してもらうことになった。
リーダーのファグの話によると、狩りが終わってその村へ戻る途中、茂みに潜んでいたトカゲ人間たちに襲撃されたため、馬車を下りて戦っていたのだという。
リザード族の中でもイモータルモニターは中位のほうだが、その数によってはパーティーどころか村をも軽々と滅ぼしかねないんだとか。彼らが戦ったのはその規模だったそうで、さすがにもう命はないと思ったらしく感謝されっぱなしだった。
「それにしても、ユート、あんたのその格好、変わってるな。もしかして、異世界から来たんじゃ?」
「ん、ああ、そうだよ」
「やっぱりか。道理で鬼みてえにつええわけだ。なあ、ミア、キーン、リズ」
「だねぇ……」
「うむぅ……」
「そうねぇ……」
「…………」
ファグという男を含め、みんな神妙な顔でうなずいている。十段階あるモンスターランクで、上から三番目に異次元級ってのがあるから、異世界から来た者=猛者っていう認識があるんだろうな。
「でも、僕たちの言葉はユートに通じるみたいだからよかったあ」
ミアという少女が、文字通り胸を撫で下ろしながら言う。まあ異次元通販なんてものが普通にあるくらいだし、俺たちの先祖がこっちへかなり召喚されてるんだろう。
「そういや、ファグたちも異次元通販をやってるのかな?」
「「「「……」」」」
ん、俺の台詞で微妙な空気になった。どうしたんだ?
「コホン……ユートよ、わしらもその存在は知っておるが、あれを利用できるのは一部の金持ちくらいじゃよ」
キーンがいかにも気まずそうに切り出す。
「え……じゃあみんなどうやってスキルを貰ったんだ?」
「あたしたちのスキルは、村の教会で神父に付与して貰ったものなのよ、ユート」
「な、なるほど……」
リズの説明で合点が行く。教会でスキル付与っていうのは、まさに俺の想像してる異世界のやり方だな。異次元通販をやるには魔法の仕掛けが施された石板が必要みたいだし、一部の金持ちしか利用できないってことなんだろう。
そうだ、目的地の村へ着くまで暇だし、彼らのステータスを【慧眼】でちと覗いてみるか。
__________________________
名前 ファグ
年齢 24
性別 男
HP 4600/4600
MP 430/430
攻撃力 300
防御力 699
命中力 400
魔法力 430
所持スキル
【戦士】レベル22
所持テクニック
『バトルスピリット』『バッシュアタック』『ブロッキング』『シールドブーメラン』『ブランディッシュシールド』
所持装備
ブロードソード 精錬値5
レザーアーマー 精錬値6
ラウンドシールド 精錬値7
称号
《ゴロツキ》《酒豪》《夢追い人》《鉄壁の男》《S級冒険者》
__________________________
いかにも【戦士】って感じのステータスとテクニックだ。精錬値ってのがあるし、仲間のキーンが精錬して成功させた数のようだな。へえ、S級冒険者なのか。
続いてミア、キーン、リズのステータスも見るとしよう。
__________________________
名前 ミア
年齢 15
性別 女
HP 2250/2250
MP 3200/3200
攻撃力 126
防御力 85
命中力 100
魔法力 3200
所持スキル
【支援術師】レベル21
所持魔法
『ヒール』『ストロング』『プロテクト』『デックス』『ブレッシング』
所持装備
ホーリースタッフ 精錬値4
ディバインローブ 精錬値5
称号
《お花畑》《辻支援者》《殴り魔》《S級冒険者》
__________________________
名前 キーン
年齢 55
性別 男
HP 3700/3700
MP 330/330
攻撃力 270
防御力 250
命中力 280
魔法力 330
所持スキル
【鍛冶師】レベル22
所持テクニック
『スメルティング』『ブラックスミススピリット』『スタンアタック』『ウェポンクラッシュ』『アーマークラッシュ』
所持装備
アイアンハンマー 精錬値9
レザージャケット 精錬値10
称号
《遊び人》《精錬狂》《太陽の男》《S級冒険者》
__________________________
名前 リズ
年齢 20
性別 女
HP 2400/2400
MP 4200/4200
攻撃力 53
防御力 140
命中力 150
魔法力 4200
所持スキル
【魔術師】レベル23
所持魔法
『アイスボール』『フリージング』『アイシクルトラップ』『ブリザード』『アイスブレード』
所持装備
ウィザードロッド 精錬値3
マジックローブ 精錬値4
称号
《雪女》《魔性の女》《S級冒険者》
__________________________
「…………」
みんなプリンとホルンには及ばないが、結構強いんだな。なのにすぐ全滅しかけるとか、この世界は一体どうなってんだか……。
やがて夕陽が射し込んできた頃、建物群が見えてきた。おお、ようやく目標の村へ到着したみたいだ。
「――あっ……」
「「「「ユート?」」」」
馬車を下りて、さあこれから宿へ……というところで、俺は異変を感じた。どうやら教室に置いてきた『アバター』に何か動きがあったらしい。
「ちょっと用事ができたから、先に宿のほうへ行ってもらえるかな?」
「「「「りょ、了解っ!」」」」
みんな不安そうだったものの納得してくれた。ここに『アバター』を置いていこうかと思ったが、すぐに戻ってくる予定だし大丈夫だろう。さあ、『ワープ』で戻るか……。
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