固有スキルが【空欄】の不遇ソーサラー、死後に発覚した最強スキル【転生】で生まれ変わった分だけ強くなる

名無し

文字の大きさ
23 / 31

第二三階 不遇ソーサラー、我を失う

しおりを挟む
 目眩とともに頭が真っ白になりそうだった。エリナって、やっぱりあのエリナなのか? いや、でもよくある名前だし、名前が同じなだけで別人じゃないのか……? だって、あいつの固有スキルは【反射】なんだぞ。手を出せば通り魔だって無事じゃ済まないはず……。

「……」

 俺はしばらく狭い部屋の中を右往左往したあと、外へ出ることにした。例の教会へ行くためだ。ないと思うが、可能性を捨てきれなかった。本当にやられたのがエリナなのかどうかこの目で確かめなきゃいけない気がしたんだ。

 アパートからダンジョンへ続く大通りを真っすぐ走っていくと、やがて十字架を雄々しく掲げた教会の尖塔や飾りと化した鐘が、脇に聳える建物群の合間から覗いてくる。

 あれ、もうすぐなのか。こんなにも早く着くなんてな。俺、どんだけ急いでるんだ……ってか、なんでこんなにも必死になってるんだ。やられたのは絶対あのエリナじゃないって……。

「……はぁ、はぁ……」

 もう走れない。きっと自分がここまで闇雲になってるのは、こんな別れ方じゃ後味が悪すぎるからだろう。このまま死なれたら困るしな。ただ単にそれだけのこと。それに、どう考えても俺の知ってるエリナとは別人だと思う。被害者には悪いけど、それを見届けたあとでお祈りしてから帰ろう。

 大通りから路地に入り、しばらく歩くとようやく教会の入り口が見えてきた。

「――おい、止まれ!」
「ここは関係者以外立ち入り禁止だ!」
「あっ……」

 アーチ型の門を潜って中へ入ろうとしたところで二人の教会兵に道を塞がれてしまう。そうだ、ここはもう一般人が祈りを捧げるところではなく、ダンジョンでの死者や患者を回復する専用の場所になってたんだった。確か一般人だと家族でもない限り入れないんだよな。こんなことに今頃気付くなんて、よっぽど気が動転しちゃってたってことか……。



 ◆◆◆



名前:マイザー
年齢:24
性別:男
ジョブ:ソーサラー
レベル:50

LEP531/531
MEP884/884

ATK30
DEF575
MATK159
MDEF105
キャパシティ10

固有スキル

【転生】【先行入力】【効果2倍】
【レア運上昇】【先制攻撃】【必中】
【鉄壁】【呼び戻し】

パッシブスキル

ムービングキャスト7

アクティブスキル

コールドボルト5
マジックエナジーロッド7
エレメンタルプロテクター2
サモンノーム1
インビジブルボックス5
ベナムウェーブ6
サモンシルフィード4
フレイムウォール5
エレメンタルブレス2

「うおおおおぉぉっ! コールドボルト――マジックエナジーロッド!」

 俺はあれからダンジョンへ行き、牛エリアで暴れていた。そうでもしないと気が狂いそうだったからだ。なのでかなり適当ではあるが、構成スキルはこの階で必須のコールドボルト以外、前のものをほぼそのまま残す形にした。

『ブモオオォォォオオオッ!』
「おらっ! どうした来い! 化け物ども! 俺を殺してみろ! 早く殺してみろよっ!」

 マジックエナジーロッドでミノタウロスの太い足を砕き、巨体を倒してから牛頭を木っ端微塵にしてやる。【先制攻撃】と【鉄壁】があることで、やつらには俺のほうが化け物に見えていることだろう。

 きっと、やられたのは俺の知ってるエリナじゃない。でも、もし本当にあのエリナだったら……。

「うるぅぅぁああああぁぁぁぁああああっ!」
『『『ブモオオォォォォォッ!』』』

 気が付けば俺は牛の塊に突っ込み、返り血で真っ赤に染まりながらロッドを振るっていた。無茶苦茶な動きでも【必中】で当たっちゃうんだな、これが。威力も【効果2倍】で凄まじいし、【レア運上昇】のおかげで周囲はドロップしたカルビだらけだ。今夜は焼肉パーティーとしゃれこむかな。突然死角に現れた猛牛も、【先行入力】していた杖の軌道で足を無残に砕かれていた。

 あの教会にはリザレクション8を持つ神父がいることで知られてるが、死者は家族の許可がなければそういったスキルを使えない決まりなんだ。何故なら失敗する可能性も充分にある上、復活しても記憶喪失になる可能性が高いから。なので家族が現れなければ丸一日放置され、翌日に葬儀が執り行われるようになっている。

 つまり……もし殺されたのがあいつだったら、このまま……。

「ああああぁぁぁぁあああああああっ!」

 いつしか、俺はマジックエナジーロッドの効果が切れたあとも牛を叩いていた。そのため、やつらはどんどん集まってきて俺を攻撃するが、【鉄壁】のせいでほとんどダメージを感じなかった。なんでなんだよ、早く殺してくれよ。俺のせいでエリナは死んでしまったんだ。俺のせいで……。

「――ひ、酷い怪我だ、早く手当てをっ!」
「リザレクション!」
「だ、大丈夫なのか!?」
「息はしてます!」
「……う……?」

 起きると、俺はまだ生きてるようでリザレクションの上で横たわっていた。なんだ、助かったのか。死ねばよかったのに。どうせエリナは助からないんだから。

「お、おい、君!?」
「どこへ行くんだ!?」
「危ないですよ!」
「……」

 後ろからごちゃごちゃと誰かの声が聞こえてくるが心底どうでもよかった。何もかも、もう終わったことだから……。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される

向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。 アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。 普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。 白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。 そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。 剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。 だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。 おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。 俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

処理中です...