異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し

文字の大きさ
21 / 38

第21話

しおりを挟む
「あ……」

 ふと周囲を見渡してみると、大分薄暗くなっていた。ありゃ、もう夕方なのか。そういや、ここまで結構歩いてきたしなあ。

「ユイ、サクラ。疲れたし、もうそろそろキャンプしようか?」

「それいいですね。お腹も空きましたし!」

「ああ。私もペコペコだ」

 そういうわけで、僕たちは山の中で手ごろな場所を探すことに。

 当たり前だけど、そこら辺で適当に休憩するっていうわけにもいかない。なんせここは山は山でも異世界の山だから。

 いくらこっちに罠があるとはいえ、サクラの【バルーントラップ】やユイの【糸】には時間制限や使用回数等、限界もある。

 四方八方からモンスター、あるいは右列の追っ手がやってくる可能性も考えたら、なるべく安全なところがいいに決まってる。

 ってことで、僕たちは獣道に入り込んで洞窟のようなくぼみを探すことになった。最悪、見つからなかった場合は自分で岩場を掘って洞窟を作ればいい。





「はあ……」

 うーん……行けども行けども洞窟は見当たらないし、道は険しくなるばかりだ。

 これ以上歩いても見つかりそうにないのもあって、結局スコップでその辺の岩場を削り始めた。

 もちろん、【互換】スキルで腕力値を100にするのも忘れない。

 おお……岩が粘土のように柔らかく感じる。最初からこうすればよかったって思うくらい簡単に掘れるんだ。

「――ふう。こんなもんでいいかな?」

「凄いです。サクサク掘ってて気持ちよさそうですし!」

「す、凄い。岩がただの土みたいだ。見てて私も気持ちよくなってきた……」

「へへっ」

 ユイとサクラに褒められたので僕は調子に乗って掘り続けたけど、しばらくしてから崩壊する危険性も考えてやめておいた。

 とにかく、これなら雨風だって凌げる上、入り口に罠を置くだけで外敵の侵入も防げるので楽だ。

 それから僕たちは木の枝や落ち葉を集めてキャンプの準備に取り掛かった。

 食料なら持ってきたのもあるし、サクラによると、魔石と【バルーントラップ】で動物を誘き寄せて捕まえることができるらしい。

 モンスターの場合だと、倒してもすぐ消えちゃって食料にはならないからね。

 動物が罠にかかるまで待つ間、魔法の袋にいるドワーフのオルドたちも呼んで、洞窟前で本格的にキャンプの開始となった。

「ふぉっふぉっふぉ! やっぱり外は最高なのじゃ!」

「そうだそうだ、外の空気は最高だ! 滅茶苦茶幸せだ!」

「嗚呼、なんていう素晴らしい景色! 目が癒されます! 素晴らしい!」

「……」

 焚火の前で陽気に踊るオルド、シャック、グレースの三人。

 外へ出たってだけで、これくらいはしゃげるのは羨ましい。魔法の袋の中の景色に飽きてた可能性もあるけど。
 
「そうじゃ、クルスとやら、おぬしにこれを飲んでほしいのじゃ」

「え、なにこれ?」

「火酒じゃ」

「か、かしゅ……?」

 あれかな。ウォッカとかブランデーとかそういう類のやつか。火をつけると燃えるくらい強いアルコール濃度を持った蒸留酒……。

「どうしたんじゃ? 早く飲むんじゃ! わしらは、おぬしがボスを倒した強い男として見込んでおる。ゆえに、この酒を是非とも飲んでもらいたいのじゃ!」

「そ、その前に……これって、アルコール濃度はどれくらいなのかな?」

「99%じゃ!」

「……」

 きゅ、99%……⁉ 僕は眩暈を覚えた。それってもう、純粋なエタノールと同じなんじゃ?

「サクラもこれ飲んでたの?」

「ああ、少しだけね。でも、ちょっと酔っぱらっただけで大丈夫だったよ」

「えぇ……?」

 中学生でも飲めるなら大丈夫じゃないかって思ったけど、ちょっと待った。それって、何かちゃんとした理由があると思うんだ。

 あ……そうだ。魔力だ。サクラは魔力値がそこそこあるから、火酒を飲んでも耐えられたに違いない。

 ってことで、僕は魔力値を100にして恐る恐る一口飲んでみた。お、全然平気だってことで、一気に飲み干してみせる。

「おおおぉ! さすがじゃ! おぬしは男の中の男じゃっ!」

「やるじゃないか! これを飲み干せる人間なんて初めて見たぞっ!」

「嗚呼っ、なんということでしょう! この人間も素晴らしいっ!」

 ドワーフたちは飛び跳ねて大喜びだ。正直、自分が酒に強いとは思えないし、多分魔力がアルコールを分解してくれたんじゃないかな。でも怖いのでしばらく魔力値100のままにしておこう。

「クルスさん、凄いです。そんなの飲んだら、一瞬で意識が飛んじゃいそうですよぉー……」

「ははっ。ユイは真似しないほうがいいよ」

「そうだな。子供はやめておいたほうがいい」

「って! それ、年下のサクラさんに言われたくないですよ⁉ 私もちょっとだけ飲んでみますっ!」

「あっ……!」

 ユイが一口だけ飲んだかと思うと、見る見る顔を赤くしてぱったり倒れてしまった。だから言わんこっちゃない。

 これだけ魔力があるから耐えられるってだけで、そうじゃないなら絶対に真似しちゃいけない……。

 それから、ユイが目覚めるまでの間、気をよくしたドワーフたちからエルフやドワーフの特徴について話をしてもらうことになった。

「――と、こういうわけなのじゃ」

「へえ……」

 彼らのような異種族は、人間のスキルを弱める能力を持っているらしい。

 もちろん、個体差もかなりあって、全然弱体化できないのもいれば、ほとんどスキルが効かないのもいるんだとか。体質的に鑑定系スキルに強いのは共通してるみたいだけど。

 なので、相手に直接影響を及ぼすものでない、自身を強化できる僕みたいなスキルのほうが、対抗するのであれば最も効果的なんだそうだ。

 物を鍛えたり創造したりする能力が高いのがドワーフ、身体能力や魔法能力が高いのがエルフであり、それらが高い者ほどスキルも弱体化できるらみたいだ。

「なるほどぉー。そうなんですねえ」

「うん……ってユイ、起きてたのか!」

「えぇっ? 結構前から起きてましたよ? クルスさんと一緒にお話を聞いてました」

「つまり、寝た振りしてたってことか……」

「だって、私の恋人のクルスさんとサクラさんが今にもくっついちゃいそうですから……」

「ちょっ……」

 サクラが今ここを離れてるからって、言っていいことと悪いことが――

「――どうした、何かあったのか?」

「はっ……⁉」

 そのタイミングでサクラが戻ってきてびっくりする。

「あ、いや、なんでもない!」

「そうか。が罠にかかってたから、知らせに来た」

「おおっ」

 みんなで見に行ったら、真っ黒な鹿っぽい動物が宙に浮いており、早速僕が矢を放って仕留める。

 それからオルドたちが獲物を解体してくれて、サクラがそれを火魔法で調理してくれることになった。

 これぞジビエってやつだ。どんな味なんだろうと、恐る恐る味わってみる。

 ……うん、美味だ。味は牛肉のような感じでとても柔らかい。鹿肉は臭みがあるって聞いたことがあるけど、この鹿は異世界の動物だからか無臭だった。

 こうしてる間にも、右列の連中は僕たちを探し回ってるのかもしれないけど、そんなことがほとんど気にならないくらい楽しいキャンプだった。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

処理中です...