異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し

文字の大きさ
26 / 38

第26話

しおりを挟む
 僕たちは遂にミノタウロス討伐に成功し、その魔石もリザードマン同様に大量に集めることに成功した。

 ちなみに自分らの現在のレベルはというと、僕が28、ユイが26、サクラが25だ。最近はろくに休む暇もなかったのに、みんなよくここまで頑張ってくれた。

 それにしても、サクラは才能値が高いからレベルが上がるのも早いし、追いつかれるのも時間の問題な気がする。まあそれだけ味方が強くなってくれるんだから心強いけどね。

「――オルド、シャック、グレース、例の物を持ってきたよ」

「「「おおっ……」」」

 そういうわけで屋根裏部屋へ戻り、ミノタウロスの魔石を床に広げてみせると、オルドたちはさすがにびっくりしたのか、目を丸くしてお互いの顔を見合っていた。

「もう全部集めてくるとは……。さすが、わしらが認めたクルスじゃ! 仕事が早いのう」

「うむ! クルスはボスのハートを射止めるだけあるぞ!」

「まさしく! クルスさんはいい仕事してますねえ!」

 陽気なドワーフ三人組によるハッピーダンスが始まる。回りながら体を交互に入れ替える恒例の踊りなんだ。それがしばらく続いたかと思うと、唐突にエンチャントが始まった。

 彼らのオンオフの切り替えの早さも恐ろしいほどスピーディーだし、仕事においても無駄や妥協が一切見られない。各々が仕事道具を取り出すと、まず点検作業から始まる。

 ただの屋根裏部屋だったのが、世界で一つしかない鍛冶屋へと変貌を遂げる瞬間だ。

 彼らはゴーレムの魔石とは別に、リザードマンとミノタウロスの大量の魔石を熱で溶かして合成し、次々と叩き始める。

 山のように積まれていた魔石は、オルドたちがハンマーで叩くたびにどんどん消えていった。

 こうして傍らで見ているだけでも息を吞むような緊張感が伝わってきて、エンチャントに成功するのがどれだけ難しいかがよくわかる。

 あ……残り僅か、20個を切ったところで異様な輝きを放つものが一つだけ完成した。

「「「よしっ……!」」」

 オルド、シャック、グレースの三人が歓声を上げて手を握り合ってることから、どうやら無事にエンチャントに成功したみたいだ。よかった……。

 ただ、彼らによるとこれで完成ってわけじゃなくて、実際のアイテムが仕上がるまでもうしばらく時間がかかるとのこと。

 そのあとドワーフたちは、唯一できた輝く石をゴーレムの魔石と合成させて、三人で何やらブツブツと話し合ったのち加工し始めた。

 ハンマーで石を打つたびに色んな色が発生するから、まるで小さな花火でも見てるみたいだ。

「綺麗……。まるで花火みたいですねえ」

「あ、ユイ。私もそれを言おうとしたところだ!」

 ユイとサクラも似たようなことを考えてたらしくて、それが妙に嬉しかった。ん、小柄な職人たちの武骨な手がぴたりと止まった。これは、もしかすると……。

「クルスよ、完成したのじゃ!」

「クルス、完成したぞ!」

「完成しましたよ、クルスさん!」

「おおっ、やっぱり……。これはなんていうアイテム……?」

 オルドたちから手渡されたのは、盾の形をしたペンダントだった。

「これはじゃなあ、文字通り【盾のペンダント】じゃ。これを持っていれば、半径2メートル以内であれば、敵の物理攻撃や魔法攻撃に結界が自動的に反応して防いでくれる」

「へえぇ、そりゃ滅茶苦茶凄いや……」

「つ、つまり、クルスさんのすぐ傍にいれば私たちも守ってくれるんですね!」

「それは心強い。それにしても、なんともチートすぎるペンダントだな……」

 ユイとサクラもこの効果には仰天した様子。

「ただ、注意するべきことがあるのじゃ」

「注意すべきこと……?」

「うむ。このペンダントをつけていれば絶対にダメージを食らわないというわけではなく、結界で軽減できるというだけじゃから、これに依存せずになるべく気をつけることじゃ」

「な、なるほど……でも、助かるよ。ありがとう、オルド、シャック、グレース!」

「ありがとうございます、ドワーフさん!」

「恩に着る。前からそうだったが、本当に頼りになるな、お前たちは……」

 僕たちがそれぞれお礼の言葉を伝えると、ドワーフ三人衆は互いに白い歯を見せ合って喜んでいた。特にボスのサクラが褒めると、よほど嬉しかったのかみんな鼻を赤くして満足そうだった。それを見ているこっちまで思わず笑ってしまうほどだ。

「……」

 それにしても、盾のペンダントかあ。僕は出来立てほやほやのアイテムを首に下げるとまじまじと見つめた。こうしてじっと眺めているだけでも心強いアイテムだ。

「クルスさん、そのペンダント、もっと見せてください!」

「クルス、私にももっと見せてくれ!」

「は、ははっ……」

 ユイとサクラが興味津々な様子で覗き込んでくるのでなんともこそばゆい感じだけど、それくらい綺麗だし性能も優れたアイテムってことだ。なんせ、物理と魔法、両方の攻撃に対して自動的に結界が発動してダメージを減らせるんだからね。

 僕の場合、ステータスを【互換】することでHPが少ない状態になる機会も大いにあるだけに、これで相当に有利になるのは間違いない。

 早速エルフの国を目指したいところだけど、その前にがあるので、もう少しここに留まるつもりだ。

 というのも、ダンジョン帰りに冒険者ギルドへ向かおうとした際、その付近で右列の一味の姿を確認したんだ。血相を変えたサクラが『あいつ、右列だ。見たことある』と言って向かっていこうとしたので、ユイと二人で慌てて止める事態になった。あれはかなり危なかったし、気づかれなくて安堵したもんだ。

 兄さんの仇を討ちたいサクラの気持ちはわかるし、そいつらを今すぐにでもやっつけてやりたいのは山々なんだけど、召喚士ガリュウの目的について聞き出してからでも遅くない。そのために逆に煽ててやろうかと思ったんだ。

 あいつはエルフの国を滅ぼしてこの国を守ろうとしているとか言ってたけど、本心はにあるんじゃないかって僕は睨んでいる。

 この国を守ろうとしているような人が、悪人ばかり集めたがるとは到底思えない。その真意をどうしても知りたいんだ。

 取り巻きである右列の連中なら、ガリュウの真の目的を知ってるんじゃないかな。

 特に下っ端たちは、上から面倒事を押し付けられてガリュウに不満を覚えている可能性もある。そこを突けば何かが起きるかもしれない。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム) 目を覚ますとそこは石畳の町だった 異世界の中世ヨーロッパの街並み 僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた 案の定この世界はステータスのある世界 村スキルというもの以外は平凡なステータス 終わったと思ったら村スキルがスタートする

処理中です...