外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し

文字の大きさ
20 / 93

20話 裏


「ウププッ……思い出すだけで笑えてくる。最高の見世物だったぜ。捕まったカインのあのなんとも苦しそうな顔、見たか? ジェリック」

「あぁ、見たともさ、ギラン……。最後に観念したのか涼しい顔をしてたのが少々癪だったが、それでも私の胸は久々にスカッとした。ざまあみろだ!」

「「ワハハッ!」」

 すっかり人の気配がなくなり本来の姿を取り戻した路地裏にて、二人の男――ギランとジェリック――が盛大に笑い合う。

「ふう……そういやジェリック、お前最初のほうであの殺し屋が弱そうだからってやたら心配してたが、ちゃんと俺の言った通りになっただろ。カインは間違いなく破滅するってな」

「うむ……。というかだねえ、まさかあえて弱い殺し屋をあてがって逆に殺させる作戦とは思いもしなくて、本当に君の知恵には恐れ入った! しかしあの男も腐っても殺し屋だし、あんな小僧に殺されてしまうとは夢にも思わなかっただろう……」

「なあジェリック。お前、本当にあいつが死んだとでも思ってるのか?」

「え……?」

 ギランの口から飛び出した台詞に、ジェリックがさも意外そうに目をしばたたかせる。

「ギ、ギランよ、それは一体どういうことだろうか……? あの殺し屋はどう見てもカインに殺されていたではないか……!」

「ヘヘッ、まあ普通はそう見えるよなあ。これを言うのはタブーにされてるんだが、もう終わったことだしそろそろネタバラシしてもいいだろ。実を言うとな……」

 ギランがジェリックに対し、パイプタバコを燻らせながら満足そうに語り始めたが、彼らがに対して気付く様子は微塵もなかった……。



 ◆◆◆



(まだかな、まだかなあ……うちだけのカインどのはまだかなあ……)

 鈴のついた大きなリボン、フリルのついたワンピースでおめかししたドワーフの少女リーネが、いてもたってもいられないといった様子で自身の店である肉屋の前を右往左往するものの、目的の人物が現れる気配は一向になかった。

(はうぅ、カインどの、今日はやたらと遅いのだぁ……。ギルドに行くにしても宿に行くにしてもいつもこの道を通るはずなのに全然来ないのだ。早くっ、早くうちに会いにきてほしいのだあぁ――)

「――はっ……!?」

 突如リーネが体勢を崩して転び、脱げた片方の靴を見て恐ろし気に鈴を震わせる。

(こ、これは……なんとも嫌な感じがするのだ。うちの嫌な予感は昔から全然当たらないが、それでも心配なのだっ。カインどのに何事もなければよいのだが……)



 ◆◆◆



「へえ、が現れたですって……?」

「はっ。これがまた、とんでもない可能性を持った化け物のような少年でして……」

 謁見の間を思わせる煌びやかな部屋にて、足置き台のついた豪華な椅子に座る縦ロールヘアの女が、手前で恭しくひざまずく男と相対していた。

「とりあえず、その者の能力を詳しく聞かせて頂戴」

「それが……一戦交えたものの、詳細については残念ながらまだ掴めていないのです」

「えぇっ? 人一倍勘の鋭いあなたが戦ってみてもわからなかったなんて、意外ですわねえ……」

「何せ、次から次へと色んな能力を出してくるもので……。おそらくあれは戦闘を重ねるごとに能力を獲得していくタイプではないかと……」

 片膝をついた男の言葉に対し、女の目が一層見開かれる。

「それはのスキルと同じようなものなんですの?」

「おそらく……。吾輩の勘ではありますが、あの者にはあったデメリットらしいデメリットも、例の少年にはないように見受けられました。もう少し詳しく調べたかったのですが、様々な行動に改竄を加えているように見受けられたため、鑑定スキルがあったとしても通じないかと思われます……」

「なるほどですわ……」

 しばらく顎に手を置いて考え込んだ表情の女だったが、まもなく薄らとした笑みを口元に浮かべてみせた。

「確かに面白い存在ですこと。あなたの話を聞けば聞くほど興味が出てきますし、側に置きたくもなります。しかし、期待しすぎるのもよくありませんわ。わたくしたちもできればを二度も繰り返したくはないですしね。さあ、どうしたものでしょう……」

「すべてはダリア様の仰せのままに」

「とにかく、その者をこちら側に引き入れるにせよ、拒否されて始末するにせよ……どのような能力で本当に副作用がないのか、具体的に知ってからでも遅くはありませんわ。まずは速やかにその者の身辺を調査しなさい、シュナイダー」

「はっ……!」

 シュナイダーと呼ばれた仮面の男が立ち上がり、マントを翻して颯爽とその場を立ち去っていくのであった……。
感想 17

あなたにおすすめの小説

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

即席異世界転移して薬草師になった

黒密
ファンタジー
ある日、学校から帰ってきて机を見たら即席異世界転移と書かれたカップ麺みたいな容器が置いてある事に気がついた普通の高校生、華崎 秦(かざき しん) 秦は興味本位でその容器にお湯と中に入っていた粉を入れて三分待ち、封を開けたら異世界に転移した。 そして気がつくと異世界の大半を管理している存在、ユーリ・ストラスに秦は元の世界に帰れない事を知った。 色々考えた結果、秦は異世界で生きることを決めてユーリから六枚のカードからスキルを選んだ。 秦はその選んだスキル、薬草師で異世界を生きる事になる。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

主人公は高みの見物していたい

ポリ 外丸
ファンタジー
高等魔術学園に入学した主人公の新田伸。彼は大人しく高校生活を送りたいのに、友人たちが問題を持ち込んでくる。嫌々ながら巻き込まれつつ、彼は徹底的に目立たないようにやり過ごそうとする。例え相手が高校最強と呼ばれる人間だろうと、やり過ごす自信が彼にはあった。何故なら、彼こそが世界最強の魔術使いなのだから……。最強の魔術使いの高校生が、平穏な学園生活のために実力を隠しながら、迫り来る問題を解決していく物語。 ※主人公はできる限り本気を出さず、ずっと実力を誤魔化し続けます ※小説家になろう、ノベルアップ+、ノベルバ、カクヨムにも投稿しています。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。