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25.精霊術師、友達認定される
しおりを挟む「…………」
喫茶店の入り口前で、頬を膨らませていじけたように座り込むエリス。
(遅いなあ、レオン、何してるんだろう……。もしかして、ソフィアと浮気中なのかな? あの人、属性は違うけどわたしと同じオリジナルの精霊だから、心配……)
「――うー……」
それから一向にレオンが戻ってくる気配がなく、エリスは堪らずといった様子で立ち上がった。
(ふんだ……いいもんいいもん。そんなにわたしを待たせるなら、一人でおでかけして、レオンにいっぱい心配させて困らせちゃうんだもん……)
エリスは強い表情でうなずくと、何度か振り返りつつもその場を立ち去った。
「――むー……」
喫茶店から少し離れた人気のない路地にて、不満そうに振り返るエリス。
「ねえ、そこにいるのは誰なの? ずっと前からこっそりわたしのこと追いかけてきてるの、とっくにわかってるよー?」
「ぐっ……」
エリスの声に反応して、気まずそうに物陰から出てきたのは、白いローブを纏った男だった。
「い、いやあ、そんなにちっこいのによくわかったなぁ。鋭いねえ、お嬢ちゃんは……」
「おじさん、だあれ?」
「ん、おじさんはねえ……って、僕はまだおじさんじゃないぞ! 今すぐ撤回しろ!」
白いローブの男が大声で怒鳴るも、エリスはあっけらかんとしたものだった。
「そうなんだ?」
「そ、そうに決まってるだろう、当たり前だ! 僕はこう見えてもまだ30代だぞ。これからはお兄さんと呼べ、メスガキめが!」
「えー? わたし、メスガキっていう名前じゃないよ? エリスっていうの!」
「ふん、お前なんぞメスガキで充分だ、バカタレめが」
「えー、おじさん、変わってるねえ」
「こ、こいつ、まだ言うかっ! そもそも、僕にはドルファンという名前が――あ、今のは聞かなかったことにしてくれ」
「うん、いいよー」
ドルファンと名乗った男に対して笑顔でうなずくエリス。
「コホン……それより、見た目も幼いからおそらくは目の保養目的の雑用係かなんかだろうが、お前に聞きたいことがある!」
「わたしに聞きたいことー?」
「そうだ。お前は最近、ギルドで噂になっているパーティー【名も無き者たち】にいるだろう」
「そ、それは……ダメだよー。誰にも教えたらダメだってレオンに言われてるし……」
エリスの言葉に対し、ドルファンは待ってましたとばかりニヤッと嫌らしい笑みを浮かべてみせた。
「それなら教えても大丈夫だ」
「え、どうして?」
「何を隠そう、僕はレオンと友達だから、まったく問題ないというわけだっ!」
「あ、そうなんだ!」
「うむ。レオンとは最近会っていないが、かつては親友と呼べるほどの間柄だったのだよ」
「へー……」
「さあ、教えてくれたまえ。あのパーティーは何故、ダンジョンで新記録を連続で達成できるほど強いのか……」
「どうしてって言われてもー……」
血眼になったドルファンが、困惑した様子のエリスの両肩を掴む。
「さあ、思い切って話してみなさい。精霊術師のレオンに何か秘密があるのだろう……? やつには契約できる精霊など皆無だったはずだが、実際は違ったはずだ。一体どんな精霊と契約していたのだ?」
「わたしとだよ!」
「……は、はあ? お前、ふざけてるのか!?」
「ふざけてないけど……」
「いや、実際にふざけてるだろう! 大体、お前が精霊ならこうして触れられないはずだし、しょぼい精霊と契約したところで、たった二人だけで新記録など達成できるものか! 一体、どれだけ凄い精霊と契約したのだ!?」
「それはねえ」
「う、うむ……!」
「それはねえー!」
「もっ、もったいぶらずに早く言いたまえっ!」
「わ、た、し!」
「…………」
ぽかんとした表情をしたのち、見る見る顔を赤くするドルファン。
「こ、このメスガキッ、いい加減にしろっ!」
「もー、メスガキじゃないって、エリスだよ。レオンは、本当にわたしと契約したんだよ?」
「はあ。もういい。いくら白魔術師の僕でも、精霊の名前くらい有名なのは幾つか知っているわけだが、エリスなんて聞いたこともないぞ! いいか? 今度レオンに聞いておけ。一体なんの精霊と契約したのか」
「それを聞くだけでいいの?」
「そうだ! お前はどうせアホだからあまり多くのことは覚えられんだろうし、それだけでもしっかり頭の中に叩き込んでおけ!」
「うん、わかったー!」
「やれやれ――」
「――おーい、エリス―! どこだー!?」
「あ、レオンだー」
「な、何いっ!?」
かなり近くからレオンの声が聞こえてきたため、見る見る青ざめていくドルファンであった……。
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