底辺ジョブ【清掃師】で人類史上最強~俺はドワーフ娘たちに鍛えてもらって超強力な掃除スキルを習得する~

名無し

文字の大きさ
5 / 61
第一章

清掃師、仕事が認められる

しおりを挟む

「賭けって?」
「すぐにわかる。ほれ、、出てくるんじゃっ!」
「あ……」

 ゴーグルをつけた少女がドヤ顔で振り返ると、壺やらクローゼットやらゴミ箱やら、色んな場所から残念そうな顔をした女の子たちが出てきた。なんか見覚えがあると思ったら、最初に俺を囲んでた子たちだ。彼女たちもいずれも低身長で、ドワーフを象徴する特徴的な耳がついてるのがわかる。

「はあ~、負けましたですわ。悔しい! てっきり逃げ出すものとばかり思っていましたのに……」
「我も誤算だった。命乞いをすると思っていたのだが……」
「死んだ振りをすると思ってたのれふ……」
「……」

 なるほど、俺がどういう反応を示すかっていうのを賭けの対象にしてたわけか。それにしても、喋り方とか髪型や服装とかドワーフの中でもそれぞれ違うんだな。

「おっと、自己紹介がまだじゃったな、人間よ。コホンッ……」

 ゴーグルをつけたポニーテールの子が俺のほうに向き直って偉そうに咳払いする。

「まずわしはマリベル。見ての通りドワーフ一族で、ジョブ等の特殊な『能力』を精錬することが得意なのじゃ!」
「の、能力を精錬……?」
「うむ、大怪我をして虫の息だったお主の自然治癒能力を大幅に向上させ、ここまで動けるようになったのも、わしが鍛えたからであるのじゃぞっ」
「な、なるほど……」

 それでこんなに飛躍的に回復してるってわけか……。お、今度は肩ほどまである漆黒の髪の子が一歩前に出てきた。

「我はカミュ。『パワーやスピード』を精錬するのが得意だ。以上」
「……」

 実に淡々とした自己紹介だな。格好も白いワンピース姿だし、全体的に地味な雰囲気を漂わせるドワーフだ。

「下等生物が相手とはいえ、相変わらずカミュは淡白ですことっ。さあ人間、よく聞きなさい? わたくしの名前はルカ。このハンマーで『ハート』を鍛えることができちゃいますのよ、どんな弱虫さんでもっ! オホホッ!」

 このとても長い金髪の子、服装も派手なドレスを着込んでて、カミュって子とは対照的に色んな意味で目立つドワーフだな……。

「えっとー、ユリムのお名前は……もう言っちゃったけどユリムなのれふ。ユリムは『センス』を鍛えることができまふっ。タイミングとか、間合いとかを読む力でしゅっ」
「……」

 最後に自己紹介した桃色のピッグテールの子はとても不思議な感じのする子で、フリルのついた子供っぽいミニスカートとかやたらと舌足らずなところとか、とてもメルヘンチックなドワーフだった。しかもゴミ箱の中に隠れてたんだよな……って、彼女たちだけじゃなくて俺も自己紹介しなきゃまずそうだ。

「お……俺の名前はアルファ。登山をやってる人間で、ジョブは【清掃師】っていうんだ。よろしく!」
「「「「……」」」」

 あれ、ドワーフたちが静まり返ってる。まずかったのかな? 俺が勝手に自己紹介したことで、人間なんかがドワーフと対等だと勘違いしていると思われたのかもしれない。しかも馴れ馴れしくよろしくなんて言っちゃったしな。生意気だからって粛清されたりして……。

「おおっ、掃除か、そりゃいいの!」
「あら、部屋を綺麗にしてもらえますの?」
「それなら助かる。我は掃除が大の苦手でな……」
「綺麗綺麗にしてほしいのれふー」
「……」

 よかった。どうなることかと緊張したが、俺の予想に反してドワーフたちはみんな俺のジョブに好意的な反応を示してくれた。

「うわ……」

 よく見ると、床は足の踏み場もないくらい散らかってる。早速【収集】を使って一つにまとめてゴミ箱に入れると、歓声と拍手が沸き起こった。なんか照れるな。掃除なんて当たり前で、誰にでもできると見下されてばかりだっただけに。

「でも……こんなの誰でもできるし……」
「ほむ? アルファとやら、そんなことはないぞ?」
「え?」
「みんな怠けてばかりで掃除などしようともせんのじゃ! わ、わしも含めてじゃが、意地でもなっ!」
「だ……だって、そういうのはわたくしには似合いませんものっ……」
「我も苦手だ。掃除のことを考えただけで頭が痛くなってくるレベルでな……」
「ユリムも疲れちゃうのれふー……」
「……」

 なるほど、みんなそれでやりたがらないってわけか。

「とはいえ、ゴミが腰まで浸かるほど溜まったときはさすがに放っておくわけにもいかなくなっての、ジャンケンで誰が掃除するか決めたものじゃっ」
「うあ……」

 そんなになるまで放置してたのか。てかマリベルって子、ドヤ顔で言うことじゃないだろうと……。まあそんな調子だと、一度綺麗にしたところですぐゴミだらけになっちゃうんだろうなあ。

「……って、まさかそれで俺を掃除役にするために助けたとか……?」
「ぎくっ!」
「……」

 マリベルって、口調は年寄りそのものなのに反応は凄く素直なんだな……。

「ま、まあそれもあるが、のじゃ」
「探してた……?」
「うむっ、ほかの者たちは懐疑的だったが、わしはどうしても人間をスカウトしたかった。それでこのFランクの迷宮山『アバランシェ・ブレード』の麓近くに山小屋を置き、見込みのありそうな人間を探していたというわけなのじゃ」
「なるほど……って、スカウトって、俺に一体何をさせるつもりで……?」
「もちろん、登山じゃっ」
「えええっ……?」

 あまりにも意外すぎる。人間百人とドワーフ一人が戦えば間違いなくドワーフが勝つって言われてるくらい力の差があるのに、人間をスカウトするのか……。

「そう驚くな。わしはな、確かに脆いが人間こそ無限大の可能性を秘めておると踏んでおるのじゃ。特にアルファよ、お主のジョブにはを感じる……」
「え、俺のジョブに……?」

 なんかとんでもないことになってきたな。俺、底辺ジョブなのに……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...