底辺ジョブ【清掃師】で人類史上最強~俺はドワーフ娘たちに鍛えてもらって超強力な掃除スキルを習得する~

名無し

文字の大きさ
17 / 61
第一章

清掃師、べた惚れされる

しおりを挟む

「ぢ、ぢくしょう……」

 雪原でひざまずく【弓使い】ジェイクの赤い目から大粒の涙が零れ落ちる。

「「……」」

 その様子に対し、【回復師】レイラと【鑑定師】クエスは声をかけようにもかけられず戦々恐々とした面持ちだった。

「何がだ……? ジョブどころか人類底辺のゴミアルファなんかにああも見下されるなんてよ。どうしようもねえクソ無能のくせに……あああああっ!」
「で、でもさジェイク、あいつ狼の大群を追い払ってなかったかい……?」
「しかも、なんか前と違って自信たっぷりだったよね? あいつユニークジョブだし、何か凄いスキルでも習得しちゃったんじゃ……?」
「うるせえぇっ! んなわけねえ、騙されんなっ。あれはきっとやつの後ろにいた仲間のおかげなんだろっ! ゴミアルファなんてゴミ拾いしかやってきてねえし、あんなカスに狼の群れをなんとかできるはずがねえんだっ!」
「「……」」

 ジェイクのあまりの剣幕に黙り込む二人。

「……畜生、チックショー……クソクソクソクソッ、クソがああぁっ! 今に見てろ……必ずあいつが無様に死ぬ瞬間をこの目で見届けてやる……!」
「……そ、そう言うけどさ……ジェイク、何かほかに手立てはあるのかい……?」
「そうだよ。もうあれ以上の手段なんて――」
「――あるさ!」
「「えっ……?」」
「ほら、耳を貸せっ!」

 レイラとクエスに耳打ちするジェイク。それまで二人は懐疑的な表情だったが、今では納得した顔で何度もうなずいていた。

「――それなら上手くいきそうだねえ……」
「うん。僕もこれはさすがに成功すると思う。ジェイクの悪知恵、ホント尊敬に値するよ……」
「へへっ……だろ? どんどんインスピレーションが湧いてくるぜ。ゴミアルファを仕留めるためならな……って、こんなところでいつまでもぐずぐずしてる場合じゃねえ。レイラ、【加速】を頼むぜっ! クエスは【鑑定】で第二セーブポイントまでの最短ルートを詳しく調べてくれ!」
「「あいあい」」



 ◇◇◇



「のう、アルファよ……」
「ん、マリベル、どうしたの?」

 いつの間にか元の姿に戻ったマリベルから俺は心配そうに声をかけられた。

「あんなふざけたことをしてきたやつをじゃな……あのまま放っておいてもよいものかとわしは思ったのじゃ」
「確かに、マリベルどのの言う通りだ。比較的温厚なドワーフ一族の一員である我も、あれはその場で始末してもいいくらい卑劣な人間だと思ったぞ、アルファどの……」
「わたくしもですわ。愚劣な下等生物の上に粗相までして……はしたない。思い出すだけで鳥肌ですのよ……」
「ユリムもビビッと来ましたでしゅ。あれはとっても悪い人間しゃんれふう」
「……」

 みんなの気持ちは痛いほど理解できる。俺もあんなやつに生かしておく価値なんてあるのかと疑問に思うが、なんだ。

「これから俺の考えを話すつもりだ。みんな、よく聞いてくれ」

 切り出した俺に対し、マリベルたちが神妙な顔でうなずく。

「気持ちは痛いほどわかるけど……だからこそ、あいつらにはもう一生俺にかなわないんだって骨の髄まで思い知らせてやらないといけない。何度も何度も叩きのめすことでな……。そうじゃないと俺が何年も苦労してきたことの意味がやつらには伝わらないだろうし、何より一度で終わらせてしまったらもったいないだろ?」
「「「「……」」」」

 俺の台詞にドワーフたちはみんな呆然としてる様子。結構えぐいことを言った気がするし、さすがにちょっと引かれちゃったかな……?

「そっ、それはいい案じゃ。それでこそわしだけのアルファ。小物がいくら絡んできたところで無駄だと思い知らせてやらねばのうっ!」
「同意だ。さすがは我だけのアルファどの……」
「渡さんのじゃっ!」
「それは我の台詞だっ!」
「「ぐぬっ……」」
「もおぉ、アルファしゃんはユリムのれふよお?」
「……はぁ、はぁ……」

 ん? ルカがさっきから下を向いて息を荒くしてる。顔も火照ってるしまた怒らせちゃったっぽいな。ドワーフが人間の取り合いなんかするなって。

「……す、素晴らしいですわ。……」
「えっ……?」

 俺を見つめるルカの目は、完全にハートマークの形になっていた。おいおい……。

「アルファ様が思う存分、ビシバシとあの下等生物を躾けて自分好みに調教してくださいましっ……」
「ちょ……」

 とんでもない変わり様だが、とにかく俺の言ったことに対して凄く共感してるのは確かの様子。ルカってかなり強気な子に見えて、もしかしたらドMなのかもな……。

「……」

 あ、気が付くと周囲に濃厚な霧が立ち込み始めた。一向に晴れる気配がないし、また例の特殊な自然現象が発生しそうだな。とはいえ、マリベルたちはまったく意にも介さない様子。

 急ごうかとも思ったけど、よくよく考えてみると俺には【一掃】という最強スキルがある上、仲間たちはいずれも屈強この上ないドワーフたちだった。なんせこうなったのはつい最近だから、短期間での想像を絶する飛躍的な強さの向上という現実にまだ思考が追い付いてないんだろうな……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...