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第一章 リトア王国

気付いたらキラキラ幼女でした

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「マリー様、マリー様いかがされました?」

私を呼ぶ声に、自分がぼんやりしていた事に気がついた。

「マリー様、旦那様がお呼びですがご気分が優れないようですとお伝えしましょうか?」

侍女のアイリーンが心配そうにこちらを見つめている。

「いいえ。すぐに参りますと伝えて…。」

ください。という言葉を飲み込みつつ自分が出した声の幼さに驚く。

「かしこまりました。」

アイリーンが出て行くとすぐに読んでいた本を下ろして立ち上がり、姿見の前に立った。

「うわ~」

鏡にはゆるくウェーブがかった桜色の髪に水色の瞳の幼女が引きつった笑みを浮かべている。

「この髪色見慣れないな~目なんか宝石みたい。この濁りのない澄みきった瞳はまだ子供だから?」

小さく呟いてから私は髪に手をやる。
ツヤツヤふわふわ。
毎朝アイリーンが丁寧に整えてくれるから髪一本一本が輝いている。

マリーの中に入り込んだような感覚だが、幼いながらも今までの人生の記憶もちゃんと残っているし、感情もマリーとゆきがうまく混ざり合っているようだ。ゆき率が高いのは生きた年月や自我の量の差があるので仕方がないのだろう。

「でも何でこんな事に?リアルな夢ってこと?」

首をかしげていると、扉がノックされ、アイリーンが私を連れに戻ってきた。
鏡の前にいる私が身だしなみを気にしていると思ったのか、ドレスの裾や髪を軽く直してくれる。

「突然のお呼び出しに戸惑われていらっしゃるとは思いますが、大丈夫です。私も側に居りますし、旦那様も大奥様も大変…い、威厳のあるお姿ですが、とてもお優しい方ですから。」

目を泳がせながら言葉を選んでくれているのがおかしいやら嬉しいやらで私はクスッと笑ってしまった。

「ありがとう。すごく心強いです…わ。」

するとアイリーンはわずかに頬を赤らめながら私の小さな手を取り勇気づけるように軽く握ってくれた。
そのまま、まだ裾の長いドレスに慣れない私の手を引き父の元へ案内してくれる。
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