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第一章 リトア王国
私、ヒロインでした
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アイリーンにお屋敷の様子を見てもらいに行っている間、私たちは二人きりで話し込む。
「ゆき、いや間違えそうだからマリーって呼ぶよ。
さっきも話した通り、俺は赤ん坊の頃から望の記憶を持ってた。」
「ええ?!赤ちゃんの時から?」
「そうだよ。それがどんなか分かるか?言葉は話せない。体も思い通りに動かせない。着替えも風呂も入れてもらわなきゃいけない。
ある程度大きくなったらまだマシだったけど、年齢以上の知識があることは隠さなきゃならないし。まぁ、兄貴も親父も規格外だったから俺も目立たなくて助かったけど。」
「わぁ~大変だったんだね~。」
「そうだよ、それにこの世界…
マリーはゆきの人生で最後に俺とやってたゲーム覚えてる?」
「ゲームってあの変な人が色々出てくる?」
「変な人じゃなくて攻略対象な。
やっぱり気付いてないか。
マリーはあのゲームのヒロインだよ。
マリーベル・スリジェ辺境伯令嬢。
ちなみに兄貴のアンディーブは攻略対象の一人。宰相の息子だよ。」
「え?攻略対象ってなんかみんな裏がありそうな性格してたよね。お兄さんも?」
私はのんちゃんが見せてくれたタブレットの画面を必死に思い出す。
「あぁ、まあ。そうなる予定だったけどちょっと手を加えて変えたよ。
今じゃ武芸に秀でた、ただのイケメン。」
「ただのってつくのおかしくない?
私があのゲームの女の子…じゃあ、のんちゃんは?」
「俺は攻略対象じゃない。」
「ええ!そんな~じゃあゲームには出てなかったってこと?」
「いや。出てたけど…ゆ、マリーもバッチリ見てたけど。」
「アロイスって名前の人いたかな?」
「名前はアロイスじゃなかった。」
訳が分からず私は首をかしげる。
「俺も気付いてなかったよ。早く気付いたら回避したのに。」
突然頭を抱えたのんちゃんに私はオロオロしてしまう。
「どうしたの、大丈夫?」
「大丈夫…にしてやる。絶対に!
悪役令嬢になんてなってたまるか!」
「悪 役 令嬢?」
「そうだよ、どのルート行っても邪魔してくるあのウザい女。そんでもって最後は必ず追放、失踪、処刑。ふざけんなよな。一つくらい無事に生き延びるルート作れっての。しかもうちみたいなデカい公爵家が失脚したら国が乱れまくるから。普通ありえねーだろ。」
「え、え?追放?失踪?処刑?失脚?
ごめん。のんちゃん。私なんだか訳わかんないよ」
「ゆき、いや。マリー大丈夫。マリーのあの無駄に重い過去も作らせないから。」
ポカンとする私と決意に目を輝かせたのんちゃんをアイリーンが呼びにやってきたのはその数分後のことだった。
「ゆき、いや間違えそうだからマリーって呼ぶよ。
さっきも話した通り、俺は赤ん坊の頃から望の記憶を持ってた。」
「ええ?!赤ちゃんの時から?」
「そうだよ。それがどんなか分かるか?言葉は話せない。体も思い通りに動かせない。着替えも風呂も入れてもらわなきゃいけない。
ある程度大きくなったらまだマシだったけど、年齢以上の知識があることは隠さなきゃならないし。まぁ、兄貴も親父も規格外だったから俺も目立たなくて助かったけど。」
「わぁ~大変だったんだね~。」
「そうだよ、それにこの世界…
マリーはゆきの人生で最後に俺とやってたゲーム覚えてる?」
「ゲームってあの変な人が色々出てくる?」
「変な人じゃなくて攻略対象な。
やっぱり気付いてないか。
マリーはあのゲームのヒロインだよ。
マリーベル・スリジェ辺境伯令嬢。
ちなみに兄貴のアンディーブは攻略対象の一人。宰相の息子だよ。」
「え?攻略対象ってなんかみんな裏がありそうな性格してたよね。お兄さんも?」
私はのんちゃんが見せてくれたタブレットの画面を必死に思い出す。
「あぁ、まあ。そうなる予定だったけどちょっと手を加えて変えたよ。
今じゃ武芸に秀でた、ただのイケメン。」
「ただのってつくのおかしくない?
私があのゲームの女の子…じゃあ、のんちゃんは?」
「俺は攻略対象じゃない。」
「ええ!そんな~じゃあゲームには出てなかったってこと?」
「いや。出てたけど…ゆ、マリーもバッチリ見てたけど。」
「アロイスって名前の人いたかな?」
「名前はアロイスじゃなかった。」
訳が分からず私は首をかしげる。
「俺も気付いてなかったよ。早く気付いたら回避したのに。」
突然頭を抱えたのんちゃんに私はオロオロしてしまう。
「どうしたの、大丈夫?」
「大丈夫…にしてやる。絶対に!
悪役令嬢になんてなってたまるか!」
「悪 役 令嬢?」
「そうだよ、どのルート行っても邪魔してくるあのウザい女。そんでもって最後は必ず追放、失踪、処刑。ふざけんなよな。一つくらい無事に生き延びるルート作れっての。しかもうちみたいなデカい公爵家が失脚したら国が乱れまくるから。普通ありえねーだろ。」
「え、え?追放?失踪?処刑?失脚?
ごめん。のんちゃん。私なんだか訳わかんないよ」
「ゆき、いや。マリー大丈夫。マリーのあの無駄に重い過去も作らせないから。」
ポカンとする私と決意に目を輝かせたのんちゃんをアイリーンが呼びにやってきたのはその数分後のことだった。
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