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第一章 リトア王国
ランギャー伯爵家から中継です 2
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カイル伯爵は話しながら熱が入ったのか立ち上がり机の前を行き来し始めた。
「父が亡くなり、後を追うように実家に戻った母も死んだ。あんなに仲が悪かった二人がおかしなものだ。
役立たずな妹は遠縁にあたるスリジェ辺境伯家へと嫁いだ。
厄介者が片付いたと思っていたのに、あろうことか彼女がはらんだ赤子に強い魔力があることが報告された。
しかもそれはとても希少な力であることも。
あり得ない。あのいつも笑っていることしかできない出来損ないが我が子よりも力のある子を産む?そしてその子はランギャー家ではなくスリジェ家の子になる?
あり得ない。あってはいけない。リトア王国一魔力を持つ家はランギャーでなければ。
私は報告してきたものに妹の子を殺すように毒を渡した。
だが、毒はなぜか当主の口に入り妹は赤ん坊を連れて消えてしまった。
辺境伯は私を疑う様子もなく、あのメイドも辺境伯当主に毒をもったなど自身の不利益にしかならないようなことは触れ回らないだろう。
そう思い、妹の行方を探しながら私はひたすら息子に魔力を鍛えさせた。
だが、ディルは魔法より机で学ぶ勉学の方が面白いなどと言い私を失望させてばかりいる。
更に先の戦、イシェラ王国と真逆に隣接するフロン公国との戦いで騎士団長にまで登り詰めた兄が戦果をあげ、戦を収束へと導いた功績からフロン公国との国境を守る辺境伯の位を得たのだ。
妹は出奔したとはいえ離縁はされていない。
ランギャー家といえば東西の辺境伯と縁を持つ家。
我が家はそんな目で見られるようになった。
違う。違う。違う。ランギャー伯爵家はリトア王国一の魔力を持つ家でなければいけないのだ。
誰もがランギャー家と聞けばすぐに自分たちは持ち得ない力を持つ家だと畏怖するような。
ディルではだめだ。しゃくに触るが妹の、ランギャーの血を引く強い魔力を持つあの子供でなければ。
辺境伯家の者を皆殺しにし、子供を我が家に引き取ればいい。
幸い子供は女だ。ディルと結婚させればランギャー家の本来の姿が戻る。
私はランギャー家の名誉を守る為にスリジェ辺境伯家を潰さなければいけないわけだ。」
狂気に満ちた笑みを最後にアロイス様が手を振り見えていた映像が消えた。
カイル・ランギャー伯爵の企みを手っ取り早く説明するとアロイス様が始めた魔法はまるでテレビの録画を見ていたように鮮明で、一緒に映像を見ていた皆が緊張を解いたように動き始める。
「すごいね、アロイス様。これどうやって盗撮したの?」
こっそりアロイス様に近づいて聞いてみると呆れた顔をされた。
「盗撮とか言わない。しかもこれ、リアルタイムな映像だから。」
「わぁ。まさかの生中継?」
コソコソ話す私たちにお父様が近づいてきた。
「この様子はどうやって?」
アロイス様は慌てて顔を引き締める。
「ディル様にあらかじめ渡しておいた私の魔法を込めた道具でこちらに映像を飛ばしてもらいました。」
「ディル殿に?他人と魔力を合わせるのがどれほど困難なことか分かっているのか?しかも、そなたは遠く離れたここにいてその魔法を込めた道具とやらが扱えると?」
「大丈夫です。赤ん坊でも使えるくらい簡単操作にしてあるので。」
にっこり笑ったアロイス様から視線を外したお父様は公爵様を振り返る。
「だから言ってるじゃん。アロイスは規格外なんだよ~」
公爵様も困ったように眉尻をさげた。
「父が亡くなり、後を追うように実家に戻った母も死んだ。あんなに仲が悪かった二人がおかしなものだ。
役立たずな妹は遠縁にあたるスリジェ辺境伯家へと嫁いだ。
厄介者が片付いたと思っていたのに、あろうことか彼女がはらんだ赤子に強い魔力があることが報告された。
しかもそれはとても希少な力であることも。
あり得ない。あのいつも笑っていることしかできない出来損ないが我が子よりも力のある子を産む?そしてその子はランギャー家ではなくスリジェ家の子になる?
あり得ない。あってはいけない。リトア王国一魔力を持つ家はランギャーでなければ。
私は報告してきたものに妹の子を殺すように毒を渡した。
だが、毒はなぜか当主の口に入り妹は赤ん坊を連れて消えてしまった。
辺境伯は私を疑う様子もなく、あのメイドも辺境伯当主に毒をもったなど自身の不利益にしかならないようなことは触れ回らないだろう。
そう思い、妹の行方を探しながら私はひたすら息子に魔力を鍛えさせた。
だが、ディルは魔法より机で学ぶ勉学の方が面白いなどと言い私を失望させてばかりいる。
更に先の戦、イシェラ王国と真逆に隣接するフロン公国との戦いで騎士団長にまで登り詰めた兄が戦果をあげ、戦を収束へと導いた功績からフロン公国との国境を守る辺境伯の位を得たのだ。
妹は出奔したとはいえ離縁はされていない。
ランギャー家といえば東西の辺境伯と縁を持つ家。
我が家はそんな目で見られるようになった。
違う。違う。違う。ランギャー伯爵家はリトア王国一の魔力を持つ家でなければいけないのだ。
誰もがランギャー家と聞けばすぐに自分たちは持ち得ない力を持つ家だと畏怖するような。
ディルではだめだ。しゃくに触るが妹の、ランギャーの血を引く強い魔力を持つあの子供でなければ。
辺境伯家の者を皆殺しにし、子供を我が家に引き取ればいい。
幸い子供は女だ。ディルと結婚させればランギャー家の本来の姿が戻る。
私はランギャー家の名誉を守る為にスリジェ辺境伯家を潰さなければいけないわけだ。」
狂気に満ちた笑みを最後にアロイス様が手を振り見えていた映像が消えた。
カイル・ランギャー伯爵の企みを手っ取り早く説明するとアロイス様が始めた魔法はまるでテレビの録画を見ていたように鮮明で、一緒に映像を見ていた皆が緊張を解いたように動き始める。
「すごいね、アロイス様。これどうやって盗撮したの?」
こっそりアロイス様に近づいて聞いてみると呆れた顔をされた。
「盗撮とか言わない。しかもこれ、リアルタイムな映像だから。」
「わぁ。まさかの生中継?」
コソコソ話す私たちにお父様が近づいてきた。
「この様子はどうやって?」
アロイス様は慌てて顔を引き締める。
「ディル様にあらかじめ渡しておいた私の魔法を込めた道具でこちらに映像を飛ばしてもらいました。」
「ディル殿に?他人と魔力を合わせるのがどれほど困難なことか分かっているのか?しかも、そなたは遠く離れたここにいてその魔法を込めた道具とやらが扱えると?」
「大丈夫です。赤ん坊でも使えるくらい簡単操作にしてあるので。」
にっこり笑ったアロイス様から視線を外したお父様は公爵様を振り返る。
「だから言ってるじゃん。アロイスは規格外なんだよ~」
公爵様も困ったように眉尻をさげた。
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