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第一章 リトア王国
ディルの気持ちを探ります
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頬を染め、恥ずかしそうに頭をかくディル様はまさに恋する乙女みたいだった。
やっぱり、やっぱりそうなんだね?あなたもアロイスのことが…
ショックを受けながらも私は何とか笑顔を浮かべてうなずいた。
「自分の無力さを嘆いていただけの私と母にアロイス様は助けの手を差し伸べてくださいました。
アロイス様の魔力の強さ、賢さ、そして何よりその心根に惹かれ私もそうありたいと、少しでも近づければと思い日々鍛錬しているのです。
尊敬するアロイス様がマリーを心の底から愛しているのは誰の目から見ても明白です。
ですからどうか、不安に思わずにマリーはマリーらしくいてください。」
うん、これはどっちなんだ?
私はジッとディルを見つめる。
「ディルはアロイスと…その…こんな関係になりたい…とかあるんでしょうか?」
私の問いにディルはキョトンとしてから恥ずかしそうな顔になった。
「アロイス様からお聞きになりましたか?
お恥ずかしいです。感情のままに言ってしまったので…どうか気になさらないでください。キッパリ断られましたし。」
なんですと!!何何、なんの話。私何も聞いてないですけど?!
「こ、断られたのですか?」
「はい、自分はまだそんな覚悟もないから。と言われました。それよりも友人になりたい。と」
お友達からお願いします。ってこと?
私はついに頭を抱えてしまった。
「マ、マリー様?大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ちょっと衝撃だったというか、私もちゃんとしなきゃというか…あ、また様付けで呼んでる。」
顔をあげた私にディルは不思議がるような表情を見せる。
「失礼しました。マリーがちゃんとするとは?マリーは婚約者になるのであって弟子になりたいわけではないですよね?」
「弟子?」
「はい、アロイス様の弟子です。」
私たちは見つめ合って固まった。
「え…、えっと…ディルはアロイスの弟子になりたいんであって、その、パートナーになりたいとかでは…」
「え?」
ディルは眉をひそめて私をジッと見つめてくる。
「そんな大それたことは考えていません。」
お、怒らせた?
「ご、ごめんなさい。おかしな事を言って。」
「いえ。マリーが今、人生の大事な岐路に立っているのは分かっていますから。
まぁ、私もなんですが…」
ディルはサッと立ち上がり扉へ向かう。
「まもなく出発の準備ができるでしょう。
もし陛下に認めていただければ私たちは義兄妹になるのですね…」
ハッとして私も立ち上がった。
「嫌…ではないですか?」
恐る恐る尋ねられて私はディルの隣に駆け寄った。
「嬉しいです。これからよろしくお願いします。」
顔を覗き込んでニコッと笑うとディルも優しく微笑んでくれた。
しかし、ディルが部屋から出て何かを押し込めるかのようにグッと手を握り胸に当てたのがチラッと見えてしまい。私の心に再び疑念が持ち上がるのだった。
やっぱり、やっぱりそうなんだね?あなたもアロイスのことが…
ショックを受けながらも私は何とか笑顔を浮かべてうなずいた。
「自分の無力さを嘆いていただけの私と母にアロイス様は助けの手を差し伸べてくださいました。
アロイス様の魔力の強さ、賢さ、そして何よりその心根に惹かれ私もそうありたいと、少しでも近づければと思い日々鍛錬しているのです。
尊敬するアロイス様がマリーを心の底から愛しているのは誰の目から見ても明白です。
ですからどうか、不安に思わずにマリーはマリーらしくいてください。」
うん、これはどっちなんだ?
私はジッとディルを見つめる。
「ディルはアロイスと…その…こんな関係になりたい…とかあるんでしょうか?」
私の問いにディルはキョトンとしてから恥ずかしそうな顔になった。
「アロイス様からお聞きになりましたか?
お恥ずかしいです。感情のままに言ってしまったので…どうか気になさらないでください。キッパリ断られましたし。」
なんですと!!何何、なんの話。私何も聞いてないですけど?!
「こ、断られたのですか?」
「はい、自分はまだそんな覚悟もないから。と言われました。それよりも友人になりたい。と」
お友達からお願いします。ってこと?
私はついに頭を抱えてしまった。
「マ、マリー様?大丈夫ですか?」
「大丈夫です。ちょっと衝撃だったというか、私もちゃんとしなきゃというか…あ、また様付けで呼んでる。」
顔をあげた私にディルは不思議がるような表情を見せる。
「失礼しました。マリーがちゃんとするとは?マリーは婚約者になるのであって弟子になりたいわけではないですよね?」
「弟子?」
「はい、アロイス様の弟子です。」
私たちは見つめ合って固まった。
「え…、えっと…ディルはアロイスの弟子になりたいんであって、その、パートナーになりたいとかでは…」
「え?」
ディルは眉をひそめて私をジッと見つめてくる。
「そんな大それたことは考えていません。」
お、怒らせた?
「ご、ごめんなさい。おかしな事を言って。」
「いえ。マリーが今、人生の大事な岐路に立っているのは分かっていますから。
まぁ、私もなんですが…」
ディルはサッと立ち上がり扉へ向かう。
「まもなく出発の準備ができるでしょう。
もし陛下に認めていただければ私たちは義兄妹になるのですね…」
ハッとして私も立ち上がった。
「嫌…ではないですか?」
恐る恐る尋ねられて私はディルの隣に駆け寄った。
「嬉しいです。これからよろしくお願いします。」
顔を覗き込んでニコッと笑うとディルも優しく微笑んでくれた。
しかし、ディルが部屋から出て何かを押し込めるかのようにグッと手を握り胸に当てたのがチラッと見えてしまい。私の心に再び疑念が持ち上がるのだった。
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