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第三章 魔法学園
隣の席は皇女様
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驚いて声の主に目を向けた私も目を見張った。
漆黒の長い髪に褐色の肌。黒々とした長いまつ毛は瞬きをしたら風が起こせそうなほどで、大きな栗色の瞳は微塵も揺るがずにこちらに向けられている。
背が高く手足も長く私たちが着ているゴテゴテしたドレスの余計なものを全て取り払ったようなスラリとしたアイボリー色のドレスを着ている。大ぶりのゴールドのバングルやネックレスは私たちがつければ下品に見えるだろうけど彼女にはピッタリ似合っていた。
彼女の背後に立っていた男性がハフスさんと奥に固まっている令嬢たちに苦々しい視線を向ける。
「カミル先生。」
圧倒されたように突然現れた漆黒の髪の美女を見つめていたハフスさんが急に甘い声になって男性に近づく。
「ロベリア・ハフス。教師を名前で呼ぶんじゃない。」
男性はひどく嫌そうに腕にかけられた手を払い除けるとスッと私の隣に腰掛けた女性に軽く会釈をする。
「では、レディ・ランタナ。こちらで失礼します。この先は皇女といえど一生徒として扱いますので。」
「ワカッています。ごくろうサマ。」
彼女はまっすぐ前を向いたまま返事をし、両手を膝の上に置いた。
皇女様??南の帝国の第五皇女様が隣に!!
緊張してセーラさんに目を向けると彼女も困っているのか膝に目を向けている。
さっきのこともあるし彼女と話したいけど皇女様を無視して二人で話し込んでもいいのかな?
「南の帝国の皇女様ですよね?初めまして。同じクラスになれて嬉しいです。
私、ロべ…」
「ロベリア・ハフスさん。セキに戻った方ガよろしいのでは?先生がイらっしゃいマシたよ。」
彼女の言う通り、白髪に白い口髭を蓄えたおじいさん先生がクラスに入ってきた所だった。
私は持っていたメモ帳に走り書きをして机に置いてあったセーラさんの手元に滑り込ませ皇女様を見習ってまっすぐ先生を見つめた。
先生に引率されて入学式のため巨大な講堂へ向かう道すがらも皇女様は黙って私の隣にピッタリくっついてくる。
おかげで私たちの周りは少し空間ができていて、少ししたらいつの間にか列の最後尾になっていた。
「あ、あの…」
反対隣を歩くセーラさんがおずおずと話しかけてきた。
「先ほど、ありがとうございます。」
そっとメモ紙をポケットから出して見せる。
『タシャナンさんでもローランドさんでもなくセーラさんとして、これから仲良くして欲しいです。よろしくお願いします。』
急いで書いたから少し右肩上がりになってしまったその文章をセーラさんは嬉しそうに眺めてからポケットに大事そうに戻す。
「私のことはセーラと呼んでください。」
「ありがとうございます。私もマリーと呼んでください。」
皇女様は微笑み合う私たちをジッと見ている。
こちらから話しかけていいものか悩んで皇女様に目を向けると、彼女は不思議そうにこちらを見てからハッと何かに気づいたような顔つきになった。
「私はランタナ帝国第5皇女。ルルシア・フォン・ランタナ。2人からはルルと呼んで欲しイ。よろしいカ?」
一瞬浮かんだ上手く通じているか少し不安そうな顔がちょっと可愛い。私は急いで足を止めて頭を下げ名前を名乗り、セーラさんもそれに続く。
皇女様は安心したように数回うなずきながら
「マリー、セーラ。」
と口の中で呟いている。
漆黒の長い髪に褐色の肌。黒々とした長いまつ毛は瞬きをしたら風が起こせそうなほどで、大きな栗色の瞳は微塵も揺るがずにこちらに向けられている。
背が高く手足も長く私たちが着ているゴテゴテしたドレスの余計なものを全て取り払ったようなスラリとしたアイボリー色のドレスを着ている。大ぶりのゴールドのバングルやネックレスは私たちがつければ下品に見えるだろうけど彼女にはピッタリ似合っていた。
彼女の背後に立っていた男性がハフスさんと奥に固まっている令嬢たちに苦々しい視線を向ける。
「カミル先生。」
圧倒されたように突然現れた漆黒の髪の美女を見つめていたハフスさんが急に甘い声になって男性に近づく。
「ロベリア・ハフス。教師を名前で呼ぶんじゃない。」
男性はひどく嫌そうに腕にかけられた手を払い除けるとスッと私の隣に腰掛けた女性に軽く会釈をする。
「では、レディ・ランタナ。こちらで失礼します。この先は皇女といえど一生徒として扱いますので。」
「ワカッています。ごくろうサマ。」
彼女はまっすぐ前を向いたまま返事をし、両手を膝の上に置いた。
皇女様??南の帝国の第五皇女様が隣に!!
緊張してセーラさんに目を向けると彼女も困っているのか膝に目を向けている。
さっきのこともあるし彼女と話したいけど皇女様を無視して二人で話し込んでもいいのかな?
「南の帝国の皇女様ですよね?初めまして。同じクラスになれて嬉しいです。
私、ロべ…」
「ロベリア・ハフスさん。セキに戻った方ガよろしいのでは?先生がイらっしゃいマシたよ。」
彼女の言う通り、白髪に白い口髭を蓄えたおじいさん先生がクラスに入ってきた所だった。
私は持っていたメモ帳に走り書きをして机に置いてあったセーラさんの手元に滑り込ませ皇女様を見習ってまっすぐ先生を見つめた。
先生に引率されて入学式のため巨大な講堂へ向かう道すがらも皇女様は黙って私の隣にピッタリくっついてくる。
おかげで私たちの周りは少し空間ができていて、少ししたらいつの間にか列の最後尾になっていた。
「あ、あの…」
反対隣を歩くセーラさんがおずおずと話しかけてきた。
「先ほど、ありがとうございます。」
そっとメモ紙をポケットから出して見せる。
『タシャナンさんでもローランドさんでもなくセーラさんとして、これから仲良くして欲しいです。よろしくお願いします。』
急いで書いたから少し右肩上がりになってしまったその文章をセーラさんは嬉しそうに眺めてからポケットに大事そうに戻す。
「私のことはセーラと呼んでください。」
「ありがとうございます。私もマリーと呼んでください。」
皇女様は微笑み合う私たちをジッと見ている。
こちらから話しかけていいものか悩んで皇女様に目を向けると、彼女は不思議そうにこちらを見てからハッと何かに気づいたような顔つきになった。
「私はランタナ帝国第5皇女。ルルシア・フォン・ランタナ。2人からはルルと呼んで欲しイ。よろしいカ?」
一瞬浮かんだ上手く通じているか少し不安そうな顔がちょっと可愛い。私は急いで足を止めて頭を下げ名前を名乗り、セーラさんもそれに続く。
皇女様は安心したように数回うなずきながら
「マリー、セーラ。」
と口の中で呟いている。
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