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第三章 魔法学園

部屋に皇女様がやって来ました

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その日、女子寮へ戻った私はぐったりしていてアイリーンに心配されていた。

今日の出来事を細かく報告しているとイライザとリノアがやってくる。今度はのんちゃん本人だ。

2人にもクラスでのあれこれを話して少しスッキリする。

「正直、マリーがセーラさんを友人に選んだのは意外でしたわ。」

「どうして?元タシャナン家のご令嬢だから?」

セーラさんの兄はあの襲撃事件の主犯格。タシャナン家当主は爵位の降格を甘んじて受け入れたけど娘を巻き込みたくなくて義理の兄にあたるローランド家に養女に出した。
もう何年も前の話なのにそのことをしつこく持ち出す人間は一定数存在する。

「いいえ、そこはいかにも気にしなさそうだけど、どちらかというと大人しいタイプの方だから。マリーは淑戦に在籍しているようなちょっと変わった方を友人に選びそうだと思ってましたの。まぁレディ・ランタナは大人しい方ではなさそうな気がしますが。」

「ルルはあちらから話しかけてくれたから。南の帝国の皇女様だなんて緊張しちゃうけど。」

ちょうどその時、アイリーンが慌てた様子でこちらにやって来た。

「レディ・ルルシア・フォン・ランタナ様がお目にかかりたいといらっしゃっています。


私たちは顔を見合わせてから椅子から立ち上がり彼女を出迎えることができるよう並んだ。

「約束もなく訪ねてしまいごめんなさい。」

ルルは着心地の良さそうな白いワンピースに着替えていてイライザやリノアを見ても驚くことなく軽く挨拶をする。

「私たちもご一緒させていただいてよろしいでしょうか?」

リノアの申し出にもすぐにうなずき、案内した椅子に座る。
彼女について来た侍女の方が胡散臭そうに2人を眺めているくらいだ。

「Q&#jt/rtw」

「mja/wQtjg&w?!」

ルルと侍女が何かを話して揉めている。

「tjgapmdkePmtg#.」

突然リノアが2人と同じような言葉を話し、ルルも侍女の女性も驚いた目を向けている。

もう一度ルルが何かを言うと彼女はこちらに鋭い視線を向けながら部屋を出て行った。

「すごいリノア、ルルの国の言葉が話せるの?」

「まぁ、少しなら。」

「くっ、私だって少しならできますわよ。」

「何か揉めていたみたいだけど…」

恐る恐るルルに尋ねると彼女はフゥっとため息をつく。

「大丈夫。ここでの話は外に聞こえない。」

のんちゃんがゆっくりとルルに話すと彼女は言葉を繰り返すように少し口をうごかしてから顔を覆い一際大きくため息をついた。

「部屋のソト待つよう言ったけど離れたがらない。カノジョは私を監視してる。いつも。」

「レディ・ランタナ。貴女は帝国の争いから逃れてこの国へ?」

のんちゃんの言葉を聞いてルルはしばらく黙っていたけれどゆっくりと瞬きをしてからうなずいた。

「貴女は帝国のことを知ってる。精霊と近しい者。」

のんちゃんもうなずいたけど照れたように頭に手をやる。

「そのことは内密にして欲しいんだけど…私のことはリノアと呼んでください。
あ、内密ってここだけの秘密ね。」

ルルはゆっくりうなずく。

「話さない。マリーイライザだけ。もう一つの秘密も言わない。ชาย。」

「わぁ、ありがとう助かります。」

「ちょっと精霊と近しいなんて私は聞いてませんわよ。」

「ごめん、言い忘れてた。」

「忘れ!もう。ひどいですわ。いつも頼みごとばかりで私をいいように使うんですから!」

「そんな~感謝してるよ。いつもお礼持っていくじゃない。」

「お礼なんていりませんからもっと私にも事情を話したり心を開いてくださる方がうれし…コホン。なんでもありませんわ。」

イライザは真っ赤になってそっぽを向いたけど

「イライザは、リノア大好き。」

ルルにとどめをさされた。

「レディ・ランタナ!」

「ルルでよい。」

「ルル様。それは誤解といものです。お分かりいただけますか?」

「誤解、言葉ワカル。でも分からない。誤解ちがう思う。」

イライザは黙り込んでしまった。

「レディ・ラン…ルル?」

話しかけようとしたのんちゃんはルルに睨まれて呼びかけを変えた。
ルルは満足そうにうなずく。
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