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第三章 魔法学園
反省塔に入れられました
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最初はざわめく生徒たちの視線をチラチラと向けられながら歩いていたけどだんだん人気がなくなり入ったことのないスペースに来ていた。
黙って歩く私たちの足音がやけによく響く。
「まったく、塔に隔離されるほど悪さをする生徒などほとんどいないというのに入学して半年たらずでここに入れられるなんてな。恥ずかしいことだぞ!」
ベルン先生はチラッと振り返って私を睨む。
「お言葉ですが、塔に隔離される生徒は何も悪さをした者ばかりではありません。魔力が強すぎて制御しきれないと判断されたものや希少魔法の使い手を保護する意味で塔に滞在させた例もあります。」
カミル先生がフォローしてくれる。
「フンっそんなのはごくごく一部の話だ。大抵は悪さをした生徒を反省させるために入れるんだ。反省塔と呼ばれているのを知らんわけじゃないだろう。」
「そう呼び始めたのは確かベルン先生だと聞いた気が…」
カミル先生は少し呆れたような顔つきで首をかしげている。
何かベルン先生私にあたりがきつい気がする…何でだろう?
「お前の婚約者も好き放題やっていて塔に放り込んでやろうと思っていたのにのらりくらりとかわしてまた学校をサボってるだろう。まったく、人よりちょっと魔力量が多いからって調子に乗ってここらで締め付けとかないと学内は荒れる一方だ。」
のんちゃん…貴方ベルン先生にも何かやらかしたね?
そうこうしているうちに塔の入り口である古ぼけた小さな木の扉の前まで来た。
「さぁ、ここからは限られた者しか足を踏み入れることは許されない。カミル。お前もだ。新米教師のくせにでしゃばりやがって。
さっさと戻れ。
あぁ、それと。」
私の背中をぐいぐい押して扉をくぐらせながら自分はぴったり私の後ろについてディルたちが近づくのを防いでいる。
「ロベリア・ハフスの様子が心配だから1時間後、いや。夕食をとった後私の専用書斎室へ来るよう伝えておけ。」
チラッと振り返ってディルを見ようと思ったけどサッサと入れと頭に手を置かれ下げさせられたから全然顔を合わせる隙がなかった。
バタンと扉が閉ざされると薄暗く螺旋階段にポツポツと置かれている小さな光だけが頼りだった。
「さぁ、さっさと登れ。」
またぎゅうぎゅう後ろから押される。
あの、思いっきりお尻触ってますけど。チカン~!!って叫びたいけど叫んでも誰もいないし何なら大声出したってまた怒られる。
せっせと登り始めてるのに、早くしろ!っとまたお尻をぎゅうぎゅう触られ…いや押してくれてるつもりなのかな?…ので、本気モードで急ぎます。
貴族令嬢としてはしたなくない動きで!でも機敏に!なんなら魔力を使って光の速さで!
「はい!急いで登ります!」
礼儀正しくキッパリ返事をすると私は急いで、1度も振り返ることなくまっすぐ上を向いて登っていった。
「はぁ?おい、こら!」
螺旋を描いて飛んでいく鳥のような気持ちだ、風がさっきまで耳に残っていた辛い言葉たちを吹き飛ばしていく。
何やら喚いていた先生の声も聞こえなくなり誰の目もないことをいいことに2、3段飛ばしで登る。気持ちいい!スリジェ家に引き取られてから全力疾走なんて出来なかったから。
いつの間にか無心になって登り最後の段を踏みしめそのままの勢いで目の前にあった扉を開き中へ飛び込む。
パタンっと扉が閉ざされる音と同時にガシャン。チーン。と何やら機械的な音と先生の声がする。
「全くなんて速さだ。だがさすがに昇降機より早いなんてことはないだろう…ん?」
ガチャガチャドアノブが回される音がする。
「おい、まさか先に着いてたのか?おい、開けろ。クッソなんで開かないんだ。」
先生の声を背中で聞きながら私は呆然としていた。
柔らかく爽やかな緑の香りを乗せた風が吹き抜け火照った頬を冷やしてくれる。
白や黄色の小さな花がフワフワと風に揺られまるで呼んでいるように手招きする。
見慣れた滑らかな墓石。小さく控えめなその表面にはベル・スリジェの名前が刻み込まれている。
「お母さん…」
懐かしい。まだ有希の記憶がなかった頃毎日来ていたお母さんのお墓が目の前にあった。
黙って歩く私たちの足音がやけによく響く。
「まったく、塔に隔離されるほど悪さをする生徒などほとんどいないというのに入学して半年たらずでここに入れられるなんてな。恥ずかしいことだぞ!」
ベルン先生はチラッと振り返って私を睨む。
「お言葉ですが、塔に隔離される生徒は何も悪さをした者ばかりではありません。魔力が強すぎて制御しきれないと判断されたものや希少魔法の使い手を保護する意味で塔に滞在させた例もあります。」
カミル先生がフォローしてくれる。
「フンっそんなのはごくごく一部の話だ。大抵は悪さをした生徒を反省させるために入れるんだ。反省塔と呼ばれているのを知らんわけじゃないだろう。」
「そう呼び始めたのは確かベルン先生だと聞いた気が…」
カミル先生は少し呆れたような顔つきで首をかしげている。
何かベルン先生私にあたりがきつい気がする…何でだろう?
「お前の婚約者も好き放題やっていて塔に放り込んでやろうと思っていたのにのらりくらりとかわしてまた学校をサボってるだろう。まったく、人よりちょっと魔力量が多いからって調子に乗ってここらで締め付けとかないと学内は荒れる一方だ。」
のんちゃん…貴方ベルン先生にも何かやらかしたね?
そうこうしているうちに塔の入り口である古ぼけた小さな木の扉の前まで来た。
「さぁ、ここからは限られた者しか足を踏み入れることは許されない。カミル。お前もだ。新米教師のくせにでしゃばりやがって。
さっさと戻れ。
あぁ、それと。」
私の背中をぐいぐい押して扉をくぐらせながら自分はぴったり私の後ろについてディルたちが近づくのを防いでいる。
「ロベリア・ハフスの様子が心配だから1時間後、いや。夕食をとった後私の専用書斎室へ来るよう伝えておけ。」
チラッと振り返ってディルを見ようと思ったけどサッサと入れと頭に手を置かれ下げさせられたから全然顔を合わせる隙がなかった。
バタンと扉が閉ざされると薄暗く螺旋階段にポツポツと置かれている小さな光だけが頼りだった。
「さぁ、さっさと登れ。」
またぎゅうぎゅう後ろから押される。
あの、思いっきりお尻触ってますけど。チカン~!!って叫びたいけど叫んでも誰もいないし何なら大声出したってまた怒られる。
せっせと登り始めてるのに、早くしろ!っとまたお尻をぎゅうぎゅう触られ…いや押してくれてるつもりなのかな?…ので、本気モードで急ぎます。
貴族令嬢としてはしたなくない動きで!でも機敏に!なんなら魔力を使って光の速さで!
「はい!急いで登ります!」
礼儀正しくキッパリ返事をすると私は急いで、1度も振り返ることなくまっすぐ上を向いて登っていった。
「はぁ?おい、こら!」
螺旋を描いて飛んでいく鳥のような気持ちだ、風がさっきまで耳に残っていた辛い言葉たちを吹き飛ばしていく。
何やら喚いていた先生の声も聞こえなくなり誰の目もないことをいいことに2、3段飛ばしで登る。気持ちいい!スリジェ家に引き取られてから全力疾走なんて出来なかったから。
いつの間にか無心になって登り最後の段を踏みしめそのままの勢いで目の前にあった扉を開き中へ飛び込む。
パタンっと扉が閉ざされる音と同時にガシャン。チーン。と何やら機械的な音と先生の声がする。
「全くなんて速さだ。だがさすがに昇降機より早いなんてことはないだろう…ん?」
ガチャガチャドアノブが回される音がする。
「おい、まさか先に着いてたのか?おい、開けろ。クッソなんで開かないんだ。」
先生の声を背中で聞きながら私は呆然としていた。
柔らかく爽やかな緑の香りを乗せた風が吹き抜け火照った頬を冷やしてくれる。
白や黄色の小さな花がフワフワと風に揺られまるで呼んでいるように手招きする。
見慣れた滑らかな墓石。小さく控えめなその表面にはベル・スリジェの名前が刻み込まれている。
「お母さん…」
懐かしい。まだ有希の記憶がなかった頃毎日来ていたお母さんのお墓が目の前にあった。
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