悪役令嬢とヒロインはハッピーエンドを目指したい

ゆりまき

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第三章 魔法学園

その頃、私たちは

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「ロベリア・ハフスが見つからない?」

少し苛立ちをにじませたような王弟殿下の言葉に学園側の人たちが身をすくませる。

理事長や前学園長は申し訳なさを滲ませながらも堂々としているのに今主力で学園の運営を担っている人たちはオロオロするばかりだ。

「はっ、今学園の教師や一部の生徒たちにも探させていますが影も形も見つからず…」

「その生徒の世話役は?」

「は、彼女は子爵家の令嬢でして家からの使用人は認められておりません。学園側が用意した侍女が世話をしておりまして…」

「まさかその侍女も見つからないなどと言うのではないでしょうね?」

ニコニコたずねるエシャルロット公爵様に学園長の体が更に縮こまる。

「しゃあないさ。あいつは人の中に溶け込むのが上手いからね。」

ニリーナ様の言葉にテーブルの端で大人しくしていた私は顔をあげた。
ハフスさんたちの侍女だという女性。黒髪の目立たない容姿の女性だと言われてるけど私にはミルクティー色の髪に見えた。そう、昔会ったことがある。偽ニリーナ様によく似た姿…

「イライザ、その人に話しかけられてたよね?」

小声で話かけるとギョッとしたようにこちらを見る。

「え?いつですの?」

「ほら、私が浄化をかける直前。」

「あぁ、あの時。なんでしょう。記憶が曖昧で、始めは世間話に相槌をうっていただけでしたけど。
そういえば色々聞かれて…」

気づいたら周りがシンとしていて皆んなが私とイライザに注目していた。

「なるほど、他の生徒の方があいつの魔力の気配が強かったから気づかなかったね。」

ニリーナ様がチョイと失礼。
と言ってイライザの額に手をかざす。

「ほぉほぉ、あいつ。アンタから周りの人間の弱みを握ろうとかぎまわってたみたいだね。」

その言葉にイライザは青い顔をする。

「あぁ大丈夫。心配しなくてもアンタは何も話しちゃいないよ。
それにあいつが植え付けようとした疑念のタネもちゃんと自分で弾いてるし弾いた残がいはその魔力馬鹿力が綺麗さっぱり浄化してるし。」

ニリーナ様にニヤリと目を向けられて私はショックを受けた。
魔力馬鹿力って言われた…

「その侍女は何者なの?」

公爵様の言葉に私は気を取り直してニリーナ様の方を向く。

「あんたは気づいてるよな?」

そう問いかけられ首をかしげつつ答える。

「合っているかは分かりませんが彼女の姿を昔見たことがあります。
ニリーナ様を語っていたミルクティー色の髪の女性…」

「偽ニリーナか。」

クリアフォルト様とニリーナ様が目で何か合図している。

二人は偽ニリーナが学園に現れたことに全く驚いていないようだし。何か知ってるのかな。

そう思っていた時、大人しく側に伏せていたホープが耳をピンっと立てて頭を持ち上げた。

(不思議な気配がする。)

(何か悪いもの?)

(ううん。初めてみたいな家族みたいな~うーん、難しい。不思議。でも悪いのとは違う。絶対違う。それは大丈夫。)

初めてみたいな家族みたいな?新しい家族でも生まれたんだろうか?
首をかしげる私たちをニリーナ様がじっと見つめていたことには気づかなかった。
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