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第三章 魔法学園
ついに帰ってきました
しおりを挟む「ア、ア、ア~」
アロイスの名前が出ずに口をパクパクさせる私を懐かしい香りがフワッと包み込む。
「ただいま、マリー驚かせてごめんね。」
優しく背中を撫でられて私は込み上げてくる涙を必死に押し戻しながらアロイスを抱きしめ返した。
帝国に行く前は私の方がちょっぴり背が高かったのにはっきり分かるくらい抜かされている。
いくらなんでも急に成長しすぎじゃ?色々疑問もあるけどアロイスの温もりを感じていたら全部どうでも良くなってしまった。
「お、遅いよ~色々、本当に色々大変だったんだから~」
「そうだよね、ごめん。」
ちっとも驚かない。さすがアロイス。見た目や雰囲気は変わっても規格外なところは変わってない。
私の色々についてももう把握済みなのかな?
「よく無事に戻ったなアロイス。」
陛下の言葉に、ケッとニリーナ様が頬杖をついて一蹴する。
「たりめーじゃないか。私の弟子がほいほいくたばっちゃこっちの面目も丸潰れだっての。」
いつもに増してすごい言葉使いなのは無事に帰ってきた嬉しさ隠しなのかな?
そんなニリーナ様にアロイスが苦笑しながら深々と頭を下げるとニリーナ様は眉をひそめジッとアロイスを見つめてから思わずという様子で立ち上がった。
「アロイス、お前…」
そっとアロイスに近寄り周りをぐるぐる回って眺めた後、戸惑った様子のアロイスのおでこをピンっと弾いた。
「あんた、師匠を早々に超えようなんていい度胸してんじゃないか。」
「いて!」
おでこをさすりながらアロイスは目を白黒させている。
「師匠を超える?」
陛下の戸惑った声も聞こえるけど私は頭に響いてきたホープの言葉に気をとられていた。
(不思議な気配すぐそこにいるよ。
ホープとそっくりだけど似てなくて、すごく強い。)
(え?すぐそこ?)
慌てて辺りを見回した時、アロイスの隣から青白い光が発光し、黒い生き物が現れた。
小型犬?にしては尻尾は猫みたいだし…
(マリー出たい出たい!)
ホープが珍しく騒ぐので驚いてしまう。
(いいよホープ。でもちゃんと側にいてね。)
ちゃんと聞いていたのか分からない勢いでホープはスッと私の中から出てくる。
呆気に取られてアロイスの方を見ていた部屋の皆んなが今度はホープの放つ強い光でこちらに注目してくる。
姿を現したホープは何も気にしていないらしくプルプルッと光を弾き飛ばすように身震いしてから真っ直ぐにアロイスの側に向かう。
(こら、ホープちょっと待って。)
急いで後を追おうとしたけどアロイスの側にいた生き物がクルリと振り返って真っ直ぐ私を見つめてきたから足が前に進まなくなってしまった。
ホープはクンクンとその生き物の匂いを嗅ぎまわり相手も嫌がりもせず好きにさせている。しばらくして二人は鼻と鼻をチョンとすり合わせ、ご機嫌なホープが私の元へ戻ってきた。
(マリー彼は仲間だった。賢者アロイスに仕えてる)
「賢者アロイス?」
驚いて思わず大声をあげてしまうとアロイスが照れたように頭の後ろに手をやる。
「いや~何かいつの間にかそんなことになっちゃって。」
「な~にがいつの間にかだ食えないガキだよ。」
「あ痛!もうニリーナ様それやめてくださいよ。地味に痛いんですから。」
再びピシッと額を弾かれたアロイスが不満げに声を上げる。
「いつの間にか賢者と認められて守護獣との契約まで果たしたってのか?次は何だ?いつの間にか神にでもなってんじゃないのか?」
「さすがにそれは…ないですよ。」
少し迷いながら答えるアロイスに周りの他の人の方が固まっている。
「へん、ちゃっちゃと全部説明しな。
こっちはあんただけじゃなくてあの女の子たちもかわいい顔して無茶するからそっちの対応もしなきゃいけなくて忙しいんだ。
全くどいつもこいつも手がかかるったらありゃぁしない。」
さすがのニリーナ様も疲れたのか椅子にどかっと座り足を組んで額を揉んでいる。
申し訳ない…
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