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第三章 魔法学園
アロイスの登場です
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偽物だと分かっていても懐かしい姿が嬉しくて私は思わず笑顔があふれてしまう。
「アロイス!」
声を出してからしまったと思い振り返るとのんちゃんが呆れ顔をしている。
「もう婚約者ではないのだから呼び名を改めてもらおうかな?まったく。」
今まで聞いたことがないほど冷たい声だけど確かにアロイスの声だ。
すごいそっくり!
妙に感心してしまって黙っていたらショックを受けていると勘違いされたらしく、これまた初めて見るような不敵な笑みを浮かべられた。
「今まで様々な異性に好意を寄せられはしても嫌われることには慣れていないとか?まったく俺も散々騙され…ぅぐっ!」
あっあっアロイスの顔、顔に!!
ハイヒールが!!!
鮮やかに飛んできたハイヒールがアロイスの美しい顔面に見事に突き刺さる勢いで飛んできた。
私は口をパクパクさせながらぼう然と顔に靴を貼り付けたままのアロイスを見つめてしまう。
やっぱり偽物は偽物だよね。
あののんちゃんが避けられないはずがないもん。
「なっ、なっ…」
同じように言葉を失って呆然としていた偽ロベリアの足元にもう片方のハイヒールが流星のような勢いで飛んでくる。
私は床に確実に突き刺さったその靴を見つめてから後ろを振り返った。
壇上では殿下たちも言葉を失って立ちつくす中、リノアだけが両手を腰に当ててこちらを睨んでいた。
会場は騒然として様々なささやきが聞こえてくる。
「何なに?何が起きたの?」
「あの靴はやはりエシャルロット公爵令嬢が投げたのか…」
「兄妹間での揉め事ということ?」
「殿下の御前で嘆かわしい。公爵家ともあろう者が。」
「いや、王族の婚姻に関する重大な発表をこのような場で行うことも不自然だ。これは何か余興の一つなのでは?」
「次期王妃はローランド家か。帝国の皇女だとばかり思っていたが…」
そんな会場のざわめきを打ち砕いたのはやはりのんちゃんだった。
「ばかばかしい、笑えない茶番は終わり終わり。」
パンパンっと2回手を叩いた後に響いたリノアのよく通る声はいつもよりかなりハスキーで…ってのんちゃん!
声を変えるの忘れてるよ!アロイスの声になってるから!
のんちゃんは私が必死に送る合図に目もくれず素早く壇上から降りてくると瞬く間に私の隣に立ち少し強いくらいに私の肩を抱き引き寄せた。
「俺にこんな目くらましは通用しないよ。偽ニリーナ。」
のんちゃんが真っ直ぐ前に手をかざし呆然と立ちつくすアロイスから見えない布を剥がすような手振りをすると、その瞬間彼の姿が消え白い上等なハンカチが1枚ひらりひらりゆっくりと回りながら地面にふわりと着地した。
「幻覚をかける人員まで調達できなかったの?
まぁこの間捕まえまくっちゃったからなぁ。その点は俺にも責任があるか」
のんちゃんが発した偽ニリーナという言葉に会場にいた人たちはさらにざわめき始める。
みんなが私たちから距離を置き始めロベリアさんの姿をした彼女は不審そうに眉をひそめながらじっとのんちゃんを見つめている。
「嫌だなぁまだわかんないの?
あんなにさんざんおしゃべりしたのに傷ついちゃうなぁ。」
のんちゃんは今度は自分の肩に手をかけさっと自分にかけていた幻覚をドレスごと脱ぎ捨てる。
シャツにズボン姿、化粧も凝った髪型も今日は全て幻覚だったらしくそこに立っているのは間違えようもなくアロイスだ。
それなのに周りの人達はポカンとしたまま。
「?誰だ?」
「エシャルロット家の顔立ちだけど…」
不思議そうに顔を見合わせている。
のんちゃんは周りの反応に首をかしげ
「あれ?分からないですか?
正真正銘のアロイス・エシャルロットですが。」
と名乗ってお辞儀をしてみせた。
そうだった。アロイスは社交界にあまり顔を出さないから著しく成長する前なら幼い頃の面影から認識できただろうけど今の成長した姿だとすぐには分からなそう…
困惑気味の会場の中でロベリアさんがギュッとこぶしを握りしめてこちらを睨んでいる。
「アロイス!」
声を出してからしまったと思い振り返るとのんちゃんが呆れ顔をしている。
「もう婚約者ではないのだから呼び名を改めてもらおうかな?まったく。」
今まで聞いたことがないほど冷たい声だけど確かにアロイスの声だ。
すごいそっくり!
妙に感心してしまって黙っていたらショックを受けていると勘違いされたらしく、これまた初めて見るような不敵な笑みを浮かべられた。
「今まで様々な異性に好意を寄せられはしても嫌われることには慣れていないとか?まったく俺も散々騙され…ぅぐっ!」
あっあっアロイスの顔、顔に!!
ハイヒールが!!!
鮮やかに飛んできたハイヒールがアロイスの美しい顔面に見事に突き刺さる勢いで飛んできた。
私は口をパクパクさせながらぼう然と顔に靴を貼り付けたままのアロイスを見つめてしまう。
やっぱり偽物は偽物だよね。
あののんちゃんが避けられないはずがないもん。
「なっ、なっ…」
同じように言葉を失って呆然としていた偽ロベリアの足元にもう片方のハイヒールが流星のような勢いで飛んでくる。
私は床に確実に突き刺さったその靴を見つめてから後ろを振り返った。
壇上では殿下たちも言葉を失って立ちつくす中、リノアだけが両手を腰に当ててこちらを睨んでいた。
会場は騒然として様々なささやきが聞こえてくる。
「何なに?何が起きたの?」
「あの靴はやはりエシャルロット公爵令嬢が投げたのか…」
「兄妹間での揉め事ということ?」
「殿下の御前で嘆かわしい。公爵家ともあろう者が。」
「いや、王族の婚姻に関する重大な発表をこのような場で行うことも不自然だ。これは何か余興の一つなのでは?」
「次期王妃はローランド家か。帝国の皇女だとばかり思っていたが…」
そんな会場のざわめきを打ち砕いたのはやはりのんちゃんだった。
「ばかばかしい、笑えない茶番は終わり終わり。」
パンパンっと2回手を叩いた後に響いたリノアのよく通る声はいつもよりかなりハスキーで…ってのんちゃん!
声を変えるの忘れてるよ!アロイスの声になってるから!
のんちゃんは私が必死に送る合図に目もくれず素早く壇上から降りてくると瞬く間に私の隣に立ち少し強いくらいに私の肩を抱き引き寄せた。
「俺にこんな目くらましは通用しないよ。偽ニリーナ。」
のんちゃんが真っ直ぐ前に手をかざし呆然と立ちつくすアロイスから見えない布を剥がすような手振りをすると、その瞬間彼の姿が消え白い上等なハンカチが1枚ひらりひらりゆっくりと回りながら地面にふわりと着地した。
「幻覚をかける人員まで調達できなかったの?
まぁこの間捕まえまくっちゃったからなぁ。その点は俺にも責任があるか」
のんちゃんが発した偽ニリーナという言葉に会場にいた人たちはさらにざわめき始める。
みんなが私たちから距離を置き始めロベリアさんの姿をした彼女は不審そうに眉をひそめながらじっとのんちゃんを見つめている。
「嫌だなぁまだわかんないの?
あんなにさんざんおしゃべりしたのに傷ついちゃうなぁ。」
のんちゃんは今度は自分の肩に手をかけさっと自分にかけていた幻覚をドレスごと脱ぎ捨てる。
シャツにズボン姿、化粧も凝った髪型も今日は全て幻覚だったらしくそこに立っているのは間違えようもなくアロイスだ。
それなのに周りの人達はポカンとしたまま。
「?誰だ?」
「エシャルロット家の顔立ちだけど…」
不思議そうに顔を見合わせている。
のんちゃんは周りの反応に首をかしげ
「あれ?分からないですか?
正真正銘のアロイス・エシャルロットですが。」
と名乗ってお辞儀をしてみせた。
そうだった。アロイスは社交界にあまり顔を出さないから著しく成長する前なら幼い頃の面影から認識できただろうけど今の成長した姿だとすぐには分からなそう…
困惑気味の会場の中でロベリアさんがギュッとこぶしを握りしめてこちらを睨んでいる。
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