23 / 31
▲▼22プレイ
しおりを挟む
「挑戦してもらうのはこちらです」
優勝を決めるクレーンゲームの景品は定番のぬいぐるみであった。単純なだけにこれを一回で取っていかないと優勝はない。僅かなミスも許されないプレッシャーに神谷は勝つことができるのだろうか。
「では、クレーンゲーム優勝決定戦開始です」
宇野が勝負開始を宣言した。
神谷も影山も無表情で景品のぬいぐるみ一点を見つめていた。アームは動き出した。
神谷も影山も手前の景品を一発取りで掴むことはせず、滑らせるように取り出し口に引きずり出した。
「はい。次の景品も狙って下さい」
続けてアーム操作をする二人。だが、僅かなミスで勝敗は決まってしまう。影山はアームを操作するボタンを離す際にスライドするような形でボタンを離しているのだが、それがアダとなった。手をスライドした際にうまく滑らずにボタンから離れず引っかかってしまったのだ。本来止めなければならない位置を大きく過ぎてしまい、景品からアームが遠ざかってしまったのだ。景品獲得ならず。
対する神谷はアームを手足のように扱える達人だ。まるでキーボードを打つかのようにその動きに迷いはない。思い描いたようにアームを操作した。その結果、神谷は連続でぬいぐるみの獲得に成功した。
「決まった! 優勝は神谷達人選手だ!」
目を離せない一瞬で勝敗が決まってしまった。僕は自分が優勝したかのように喜んだ。
「やった! 神谷勝ったよ」
僕は同意を求めるかのように隣にいた柊祐奈に言う。
「良かったじゃない。これで一躍有名人になれたわね」
柊祐奈は他人事のように言うが実際どのように思っているのか僕にはわからない。もしかしたら素で言っているかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
「優勝した神谷選手にはクレーンゲームのトロフィーと賞金百万円を贈呈します。ただし、神谷選手は鈴木選手とペアを組んでいた為、山分けという形になりますので間違えないように。優勝おめでとうございます」
スタッフ一同拍手を湛えた。
「記念撮影を撮ります。神谷選手、影山選手、柊選手は前に来てください」
スタッフにそう言われ、柊祐奈はなんで私が? と、いったような反応をした。よく見ると一位、二位、三位の凸の踏み台が用意されていた。
「ほら、ゆうちゃんは実質三位だから当てはまるんだよ。行ってきなよ」
僕は彼女の背中を押した。彼女仕方がないといった感じで神谷たちの元に行く。配置についてカメラを持ったスタッフが位置につく。
「はい! 撮りますよ。はい、チーズ!」
カシャッ!
神谷は王様のように胸を張っていた。対する柊祐奈はカメラ目線ではない斜め横を見つめる。どこを見つめているのかわからない。影沼に至っては長い前髪で表情が見えていない。
写真撮影も終わり、一同リフレッシュした気分でいる時、司会の宇野は柊祐奈に近づいた。
「はい。柊さん。これを」
宇野は柊祐奈に何かを渡した。
「これは?」
「三位の賞金です。三十万円。おめでとうございます」
「え? 賞金出るの?」
「はい。一位が百万円。二位が五十万円。三位が三十万円です」
「そうなんだ」
「小さい字で書いてあったはずなんですがね」
僕はチラシに目を凝らして見る。確かに三位までには賞金が出ていた。
「あ、ありがとうございます」
柊祐奈はお金を受け取って嬉しそうにはしゃぐ。目標の百万円には程遠いけど賞金が出るだけでも嬉しいはずだ。
「優勝、勝ち取ったぞ! 鈴木」
神谷は僕の元に来てトロフィーを見せつけた。この時のドヤ顔はとてつもなくいやらしかったが、優勝したらそのような顔になるのは間違いない。
「おめでとう。神谷。これでクレーンのチャンピオンだ」
僕はとりあえず拍手をして褒めたたえた。
「一人じゃここまで来られなかった。鈴木がそばにいてくれたおかげだ」
神谷は手を差し伸べた。僕はその意味を察し、手を握り返して握手を交わしたのだ。
スタッフ一同、僕と神谷に大きな拍手が鳴り響いた。こうして神谷と僕のクレーンゲームの大会は幕を閉じたのだ。
優勝を決めるクレーンゲームの景品は定番のぬいぐるみであった。単純なだけにこれを一回で取っていかないと優勝はない。僅かなミスも許されないプレッシャーに神谷は勝つことができるのだろうか。
「では、クレーンゲーム優勝決定戦開始です」
宇野が勝負開始を宣言した。
神谷も影山も無表情で景品のぬいぐるみ一点を見つめていた。アームは動き出した。
神谷も影山も手前の景品を一発取りで掴むことはせず、滑らせるように取り出し口に引きずり出した。
「はい。次の景品も狙って下さい」
続けてアーム操作をする二人。だが、僅かなミスで勝敗は決まってしまう。影山はアームを操作するボタンを離す際にスライドするような形でボタンを離しているのだが、それがアダとなった。手をスライドした際にうまく滑らずにボタンから離れず引っかかってしまったのだ。本来止めなければならない位置を大きく過ぎてしまい、景品からアームが遠ざかってしまったのだ。景品獲得ならず。
対する神谷はアームを手足のように扱える達人だ。まるでキーボードを打つかのようにその動きに迷いはない。思い描いたようにアームを操作した。その結果、神谷は連続でぬいぐるみの獲得に成功した。
「決まった! 優勝は神谷達人選手だ!」
目を離せない一瞬で勝敗が決まってしまった。僕は自分が優勝したかのように喜んだ。
「やった! 神谷勝ったよ」
僕は同意を求めるかのように隣にいた柊祐奈に言う。
「良かったじゃない。これで一躍有名人になれたわね」
柊祐奈は他人事のように言うが実際どのように思っているのか僕にはわからない。もしかしたら素で言っているかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
「優勝した神谷選手にはクレーンゲームのトロフィーと賞金百万円を贈呈します。ただし、神谷選手は鈴木選手とペアを組んでいた為、山分けという形になりますので間違えないように。優勝おめでとうございます」
スタッフ一同拍手を湛えた。
「記念撮影を撮ります。神谷選手、影山選手、柊選手は前に来てください」
スタッフにそう言われ、柊祐奈はなんで私が? と、いったような反応をした。よく見ると一位、二位、三位の凸の踏み台が用意されていた。
「ほら、ゆうちゃんは実質三位だから当てはまるんだよ。行ってきなよ」
僕は彼女の背中を押した。彼女仕方がないといった感じで神谷たちの元に行く。配置についてカメラを持ったスタッフが位置につく。
「はい! 撮りますよ。はい、チーズ!」
カシャッ!
神谷は王様のように胸を張っていた。対する柊祐奈はカメラ目線ではない斜め横を見つめる。どこを見つめているのかわからない。影沼に至っては長い前髪で表情が見えていない。
写真撮影も終わり、一同リフレッシュした気分でいる時、司会の宇野は柊祐奈に近づいた。
「はい。柊さん。これを」
宇野は柊祐奈に何かを渡した。
「これは?」
「三位の賞金です。三十万円。おめでとうございます」
「え? 賞金出るの?」
「はい。一位が百万円。二位が五十万円。三位が三十万円です」
「そうなんだ」
「小さい字で書いてあったはずなんですがね」
僕はチラシに目を凝らして見る。確かに三位までには賞金が出ていた。
「あ、ありがとうございます」
柊祐奈はお金を受け取って嬉しそうにはしゃぐ。目標の百万円には程遠いけど賞金が出るだけでも嬉しいはずだ。
「優勝、勝ち取ったぞ! 鈴木」
神谷は僕の元に来てトロフィーを見せつけた。この時のドヤ顔はとてつもなくいやらしかったが、優勝したらそのような顔になるのは間違いない。
「おめでとう。神谷。これでクレーンのチャンピオンだ」
僕はとりあえず拍手をして褒めたたえた。
「一人じゃここまで来られなかった。鈴木がそばにいてくれたおかげだ」
神谷は手を差し伸べた。僕はその意味を察し、手を握り返して握手を交わしたのだ。
スタッフ一同、僕と神谷に大きな拍手が鳴り響いた。こうして神谷と僕のクレーンゲームの大会は幕を閉じたのだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる