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第4章 魔の力
189話 一撃必殺
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扉を抜けると廊下のような場所に出た。
天井はアーチ状になっており一定の間隔で端に石柱がある。そこにはやはりランプがぶらさがっていて、それが小刻みに揺れていた。
その原因はこの先から響く振動音だろう。おそらくノーマンは何かと戦っている。
「ぬおおおおおっ!」
廊下を進むと広間に出た。
そこでは予想通りノーマンが戦闘を繰り広げていた。
対峙するのはカーデリーに来た時に見たゴーレムよりもさらに大きなゴーレムだ。
体の中心からドロドロとしたマグマのようなものを吹き出しているのは通常のゴーレムと同じだが、全身を覆う岩は不気味な紫色に輝いている。手には諸刃の斧が握られており柄の部分からは鎖のように連なった岩がマグマの吹き出している場所に繋がっていた。
「負けぬっ、筋力では絶対に負けんぞおおおおっ!!」
熱く叫んではいるもののノーマンの状況はかなり悪い。
ゴーレムの持った斧で壁に押しつぶされるような状態になっている。
「うおおおおっ!! こりゃとんだ熱いお出迎えだぜっ!! そんなにオレのライブがききてーのかっ!」
「不可解だよこれは。これが幻覚や投影ならばともかく、この質感と音、そして僕の体に走る痛みは現実のものと認識せざるを得ない。これは先にノーマンが扉を開けた直後の事象としては──ぐはっ!?」
この広間に来てから初めて気づいたが、この場所にはジョニーとフレッドも居た。
そして敵もノーマンが対峙するゴーレムだけではないらしい。同じ見た目のゴーレムが二体、二人に襲い掛かっている。
それを確認したのとほぼ同じタイミングでフレッドがゴーレムのパンチを貰い壁に叩き込まれる。
「ジョニーさんっ、フレッドさんっ!」
ノーマンの方も状況は悪いがすぐに致命傷を負うとも思えない。
俺は急いでフレッドの方にかけより追い打ちをかけようとするゴーレムの斧を拳で弾く。
「フオオオオオ! リーダーッ! お前、なんて熱い登場の仕方してんだっ!! いいぜヒーロー、おいしいところもってきなっ!!」
……ジョニーの反応はスルーしておくとして。
フレッドを狙っていたゴーレムは自分の斧に引っ張られて体勢を崩している。
もう一匹のゴーレムはジョニーを狙っていたがどうやら彼は逃げるのは上手いようだ。敵が大振りな攻撃しかしていないせいもあるだろうが、ひょいひょいと攻撃をかわしている。
「すぐに治しますっ」
「っ……ぁ……」
俺はあまりフレッドの姿が見えないように視線を動かしながらヒールを使う。
彼が身に着けている戦闘服はズタボロになっている。それだけならまだしも腹部も一部が削り取られているように見えたのだ。
どう考えても致命傷にしか見えないそれは、直視するに堪えがたいものだった。
「かっ……! ぐっ! リ、リーダー……?」
エメラルドグリーンの光が消えたのとほぼ同時にフレッドが声をあげる。
信じがたいものを見たと言わんばかりに自分の体を見下ろすフレッド。
「な……なるほど、ヒールか。やはり君は修道士だったようだね。しかし解せないな。今、君は詠唱をしていなかったよね。例え死の淵に居たとしても僕は冒険者だ。最後まで生存と勝利の可能性を模索する義務と熱意までは手放していない。故に君の言動を把握するぐらい──」
直前まで瀕死の重傷を負っていたとは思えないような見事な早口を披露するフレッド。
しかしそれに付き合う余裕はなさそうだ。
「んぬううううううううっ!! なんて重さだっ!! 何故筋肉を持たないただの岩の塊にすぎんキサマがっ……! ごっ、あっ……」
明らかにノーマンが限界に近づいている。斧ごと体が半分壁にめりこんでいた。
ほぼ反射的に俺はフレッドの腰にあるハンドガンに手をかける。
「む。何をするつもりだい。それは僕の──」
「借りますっ!」
フレッドの言葉を遮りノーマンの方にふり返る。
先に斧を弾いたゴーレムは体勢を立て直し俺達の方に近づいてきている。
その二匹のゴーレムが斜線上に入るように横にステップ。
そして、この状況で最も役立つであろうスキルの名を叫んだ。
「ワンショットキル!」
それは、魔法を使う時の感覚に良く似ていた。
体の中心部分から何かが右手に移動していくような感触。
それが手に持ったハンドガンを包み込んでいくのが分かった。おそらく俺の『気』が銃へ移動したのだろう。
そして引き金を引いた瞬間、俺の頭にある考えがよぎった。
──あ。このスキル、強すぎたかも……?
とりあえず移動していく気の流れを抑え込むように意識をしておいた。
その次の瞬間───
「ッ!!」
響いたのは銃声というか、轟音だった。
てもハンドガンという武器から出たとは思えないような派手な破裂音。
その音に弾かれたように、トワが俺の後ろに向かってビュンと飛んでいく。
銃口から放たれるのは青白い光を螺旋状に放ちながら進む弾。
刹那という言葉でもなお表現するのが不適切なのではないかと思える程の一瞬の間に、二匹のゴーレムは螺旋状の光に巻き込まれるように破裂し、その姿を消した。
弾が壁に当たると、より一層青白い光を強く放ちながら爆発。その衝撃でこの遺跡全体が地震でも起きたかのように揺れ始める。
「ちょっ、リーダー君やりすぎっ!」
天井はアーチ状になっており一定の間隔で端に石柱がある。そこにはやはりランプがぶらさがっていて、それが小刻みに揺れていた。
その原因はこの先から響く振動音だろう。おそらくノーマンは何かと戦っている。
「ぬおおおおおっ!」
廊下を進むと広間に出た。
そこでは予想通りノーマンが戦闘を繰り広げていた。
対峙するのはカーデリーに来た時に見たゴーレムよりもさらに大きなゴーレムだ。
体の中心からドロドロとしたマグマのようなものを吹き出しているのは通常のゴーレムと同じだが、全身を覆う岩は不気味な紫色に輝いている。手には諸刃の斧が握られており柄の部分からは鎖のように連なった岩がマグマの吹き出している場所に繋がっていた。
「負けぬっ、筋力では絶対に負けんぞおおおおっ!!」
熱く叫んではいるもののノーマンの状況はかなり悪い。
ゴーレムの持った斧で壁に押しつぶされるような状態になっている。
「うおおおおっ!! こりゃとんだ熱いお出迎えだぜっ!! そんなにオレのライブがききてーのかっ!」
「不可解だよこれは。これが幻覚や投影ならばともかく、この質感と音、そして僕の体に走る痛みは現実のものと認識せざるを得ない。これは先にノーマンが扉を開けた直後の事象としては──ぐはっ!?」
この広間に来てから初めて気づいたが、この場所にはジョニーとフレッドも居た。
そして敵もノーマンが対峙するゴーレムだけではないらしい。同じ見た目のゴーレムが二体、二人に襲い掛かっている。
それを確認したのとほぼ同じタイミングでフレッドがゴーレムのパンチを貰い壁に叩き込まれる。
「ジョニーさんっ、フレッドさんっ!」
ノーマンの方も状況は悪いがすぐに致命傷を負うとも思えない。
俺は急いでフレッドの方にかけより追い打ちをかけようとするゴーレムの斧を拳で弾く。
「フオオオオオ! リーダーッ! お前、なんて熱い登場の仕方してんだっ!! いいぜヒーロー、おいしいところもってきなっ!!」
……ジョニーの反応はスルーしておくとして。
フレッドを狙っていたゴーレムは自分の斧に引っ張られて体勢を崩している。
もう一匹のゴーレムはジョニーを狙っていたがどうやら彼は逃げるのは上手いようだ。敵が大振りな攻撃しかしていないせいもあるだろうが、ひょいひょいと攻撃をかわしている。
「すぐに治しますっ」
「っ……ぁ……」
俺はあまりフレッドの姿が見えないように視線を動かしながらヒールを使う。
彼が身に着けている戦闘服はズタボロになっている。それだけならまだしも腹部も一部が削り取られているように見えたのだ。
どう考えても致命傷にしか見えないそれは、直視するに堪えがたいものだった。
「かっ……! ぐっ! リ、リーダー……?」
エメラルドグリーンの光が消えたのとほぼ同時にフレッドが声をあげる。
信じがたいものを見たと言わんばかりに自分の体を見下ろすフレッド。
「な……なるほど、ヒールか。やはり君は修道士だったようだね。しかし解せないな。今、君は詠唱をしていなかったよね。例え死の淵に居たとしても僕は冒険者だ。最後まで生存と勝利の可能性を模索する義務と熱意までは手放していない。故に君の言動を把握するぐらい──」
直前まで瀕死の重傷を負っていたとは思えないような見事な早口を披露するフレッド。
しかしそれに付き合う余裕はなさそうだ。
「んぬううううううううっ!! なんて重さだっ!! 何故筋肉を持たないただの岩の塊にすぎんキサマがっ……! ごっ、あっ……」
明らかにノーマンが限界に近づいている。斧ごと体が半分壁にめりこんでいた。
ほぼ反射的に俺はフレッドの腰にあるハンドガンに手をかける。
「む。何をするつもりだい。それは僕の──」
「借りますっ!」
フレッドの言葉を遮りノーマンの方にふり返る。
先に斧を弾いたゴーレムは体勢を立て直し俺達の方に近づいてきている。
その二匹のゴーレムが斜線上に入るように横にステップ。
そして、この状況で最も役立つであろうスキルの名を叫んだ。
「ワンショットキル!」
それは、魔法を使う時の感覚に良く似ていた。
体の中心部分から何かが右手に移動していくような感触。
それが手に持ったハンドガンを包み込んでいくのが分かった。おそらく俺の『気』が銃へ移動したのだろう。
そして引き金を引いた瞬間、俺の頭にある考えがよぎった。
──あ。このスキル、強すぎたかも……?
とりあえず移動していく気の流れを抑え込むように意識をしておいた。
その次の瞬間───
「ッ!!」
響いたのは銃声というか、轟音だった。
てもハンドガンという武器から出たとは思えないような派手な破裂音。
その音に弾かれたように、トワが俺の後ろに向かってビュンと飛んでいく。
銃口から放たれるのは青白い光を螺旋状に放ちながら進む弾。
刹那という言葉でもなお表現するのが不適切なのではないかと思える程の一瞬の間に、二匹のゴーレムは螺旋状の光に巻き込まれるように破裂し、その姿を消した。
弾が壁に当たると、より一層青白い光を強く放ちながら爆発。その衝撃でこの遺跡全体が地震でも起きたかのように揺れ始める。
「ちょっ、リーダー君やりすぎっ!」
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