転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ

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旅立ち

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「ソラ君流石っすね」

アレク様とクリスさんが部屋から出てくる。1日中座りっぱなしは体に悪いからと定期的に散歩に出ているそうだ。アレク様の後ろをついて行く。

「クリスさん!!2~3日に1人って言ってたじゃないすか!!」

本当は大きな声で怒りたかったが一応勤務中なので小声でクリスさんに文句を言う。
あの2人が言っていたのはこのことなんだろう。

「普段はそのくらいっす。でも10日ごとに一気に暗殺者が来るんすよ。それが今日だったんです」
「知ってましたね?」
「まぁ。かれこれ2ヶ月は続いてますからね」
「なんで言ってくれないんですか」
「だって面白くないからっすよ」
「はぁ……」

これ以上話しても埒が明かない
この話はここでやめておこう。とりあえずこの後も暗殺者が来るかもしれないんだよな。
でもアレク様はなんで2ヶ月も放置してたんだろ。黒幕が分からないのかな

「何故私が2ヶ月も何もしてないのか気になるんだろ?」

ギクリ。声には出してなかったはずだけどなんでバレたんだろう。もしかして神様と同じように考えてることがわかるとか?でもそんな人は居ないはずだけど…

「ソラ君はわかりやすいっす。考えてることがすぐに顔に出るっす」
「え、本当」

俺の言葉にアレク様もクリスさんも頷く。そっか…気が付かなかったな。これからはポーカーフェイスでも目指すかな。

「まぁ私が罰した貴族たちがやっているのは分かっているのだが、問題はそのバックなんだよ。彼らには資金が無いはずだ。
なのに毎度の如く大量の暗殺者を送り込んできたり、あんなキメラを召喚したり、彼らだけでは到底出来ないことをやっているんだ。それは彼らに手を貸している人物がいるということ。
だからその人物を特定するためにあえて放置してるんだよ」
「ある程度分かってるんですか?」
「それは秘密だ。いつ誰が聞いてるか分からないからな」
「わかりました」

そりゃそうだ。まぁこの世界には盗聴器なんてものはないだろうから直接聞くしかないだろうけど。索敵をしたところ近くに暗殺者はいなさそうだけど、誰が敵か味方かわからないもんな。

30分ほど庭を歩くと執務室に戻るアレク様。その後も1時間に1人暗殺者がやってきたけど全て捕まえた。なんで、こんなにおおいんだか……。

「交代の時間です」
「はい。ありがとうございます」


この人は確か昨日休憩室にいた気がする。もう1人はクリスさんに声を掛け、クリスさんは部屋の外に出てくる。

「じゃあソラくん行くっすよ」

交代した人達に頭を下げ、クリスさんについて行く。城内の護衛は思ったよりも簡単だったけどあの暗殺者の数だけはもうしたくない。24時間で何人の暗殺者を捕まえたことか。むしろこんなのが定期的にあるって、この辺りの暗殺者はいなくなるんじゃないのか。

「それにしても流石にロイさんのお墨付きっすね。初めての護衛任務でしかもあの人数を相手にしてるのに疲れた様子がないっす」

まぁ地球にいた頃もよく完徹してたからな。それにこの身体はまだ10代前半。そんなにすぐには疲れないさ。

「依頼で1日中起きなければいけない時もあるんですよ。それに暗殺者はたまたま弱かっただけですから」
「たまたま…ね。まぁそういうことにしとくっす」

まただ。一瞬だけ冷たい目。確認しようとするとすぐにいつも通りに戻ってしまう。
何故そんな目で俺を見るのか。聞きたいが聞ける訳もなく、その後も他愛もない話を続けながら休憩室に戻った。

休憩室にはすでにライド達が戻ってきていた。2人とも疲れたようで椅子に座り突っ伏している。

「ソラっち、クリスっちおつかれー」
「お疲れでごじゃる」
「皆さんお疲れ様です。2人は大丈夫じゃなさそうですね」

声をかけると手だけを上げる2人。ネルはともかくライドは鍛冶に集中すると二徹ぐらいしてたんだけどな。
とりあえず2人を連れて帰らないとだな。

「とりあえず2人を連れて帰りますね」
「待つにゃ。ソラっちじゃ2人を持てな…」
「大丈夫ですよ」

俺は身体強化のスキルを使い2人を両肩に担ぐ。2人の体重が変わったわけではないので重さを感じるが、身体強化のおかげで難なく持つことが出来ている。

(こんな風に持つことがあるなら物体の重さを変える魔法があると便利そうだ)

「今日も宿舎をお借りしてもいいですか?」
「あ、大丈夫だと思うっす」
「わかりました。ありがとうございます」

3人に頭を下げ部屋を出ていく。礼儀としてどうなのかわからないが少し早足で且つ、振動を最小限にして宿舎を目指す。こんな状態で揺らすと吐く可能性があるもんな。

すれ違う人に2度見されながら来た時の半分の時間で宿舎につく。ネルの部屋は分からないから、近くにいた女性にネルを預ける。急いでライドも部屋に連れていきベットに横にする。
すぐに寝たライドを確認すると部屋に置いてある椅子に腰掛ける。いくら完徹できるからといって眠くないわけじゃない。今だって目を瞑ればすぐに眠れそうだ。

「でも綺麗にしないと……」

1日中暗殺者をあいてにして立ちっぱなしだったんだ。汚れてないわけが無い。自分にマジックバスを使い服と身体を綺麗にする。ついでにライドにもかけておく。

(ネルにもかけとけばよかったな)

ネルは女の子なんだ。綺麗な方が良いに決まってる。俺も頭が回ってなかったようだ。ベットに横になる。

「夕食までには……」

そこで俺の意識は途切れてしまった。

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