ダンジョンや魔物が溢れる世界になったけど、『ガチャ』に全財産突っ込んで最強になったので問題ない

きのこすーぷ

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第4話 世界がおかしくなった日

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「UR確定ガチャ……一回百万円、か。ここまで来たんだ、今退けないよな」

 ここまで金額が高騰するなんて、どんなスキルが貰えるのか気になりすぎる。
 やばい、今までの比じゃないくらい緊張してきたぞ。だって、単発なのに十連三回分の値段なんだ。確定じゃなかったら絶対に引いてなかった。深呼吸を入れて、俺は画面を穴が空くほど注視する。正真正銘、残高的にも最後のガチャだ!
 よし、いける。引くぞ!

「お願いします、良いスキル来てください!」

 思い切って十連のボタンを押した。

 ――UR【スキルボード】

「これが、URスキル……スキルボード」

 思わず口から言葉が零れる。それと同時だった。
 画面一杯にこれまで修得したスキル。そして――スキルポイントの表記が現れたのは。下には、なにやら説明が記載されている。

 『レベルアップ時にスキルポイントを獲得。スキルポイントは修得済みスキルのレベル上昇に使用可能。スキルの派生で新たなスキルの修得も可能』

 現段階でレベルアップの方法は分らないが、レベルさえ上がればどんなスキルでも上げられる。このガチャがなくなったとしてもだ。それは、新しいスキルだって。

「やった、やったっ!」

 当たりも当たり。大当たりだ。最高のスキルを手に入れてしまった。
 これで、まだ見ぬスキルも見つけられるかもしれない! 柄にもなくガッツポーズをしてしまう。

 この二日、大きな出費をしてしまったが、それを加味しても充実していた。お金はまた貯めていけば良い。それに俺には魔法があるんだ。職を無くしたって生きていけるだろうし、なんなら魔法を使ってお金を稼ぐことも出来るかも知れない。
 あのブラック企業から脱却できる日も近いかもしれない! 何か魔法を活用できる仕事を探して早く辞めよう! もちろん、安定した職になるよう全力で頑張るのは大前提だ。

「っと、緊張から解放されて急に眠くなってきたな」

 思い返せば、今日は半日近く運動していたのだ。どれだけ身体が強靱になっても疲れるのは当たり前。精神的にもはしゃぎすぎたしな。

 くあっと背伸びしてベットで横になる。そのまま手を伸ばしテレビのリモコンを取って電源を付けた。部屋が狭いとこういうときに楽で良い。

 映し出されたのは、昨日とは違いひと味変わった報道。
 新種の動物を発見から始まり、虫や植物まで。それも、世界中で同じようなことが起こっているらしい。

「いったい何が起きてんだか……」

 専門家達も大忙しだろうな。原因は分っていないみたいだし。まぁ、人に害をなす物が見つかっていないだけいいだろうけど。
 寝そべりながら頬杖を付いて、色んなチャンネルを行ったり来たり。何処も同じような内容で飽きてくる。いくつかは、いつも通りの放送に戻っていたが。

 ――と、昨晩の地震の報道を見ているときだった。
 ドンッと部屋が……世界が揺れ始めた。

「な、なんだ!?」

 これまで感じたこともない大きさの地震。部屋の家具が次々倒れていく。外からは疎らに悲鳴が聞こえてきた。

「くそっ、一端ここから出よう! このままじゃ下敷きになっちまう」

 ミシミシと壁に亀裂が入っていくのを見て俺は咄嗟に判断する。建物が崩れちまったら、机の下に居たって意味が無い。スマホだけを持って外に出る。

『規定数の魔物がダンジョンより外界に出たことを確認。人類にレベルシステムの実装』

 揺れが収まった頃、AIみたいな生気を感じない声が頭に響いた。
 
「誰だ!?」

 返事はない。辺りを見渡すも声の主らしき人物の姿はなかった。だけど絶対に聞き間違えじゃない。妙なくらい鮮明に思い出せるのだ。

 周囲の民家からぞろぞろと人が出てくる。警報も鳴って避難の放送が街を木霊し始めた。俺も指示に従って動く。

 と、不意に頭上を巨大な影が覆った。
 俺は視線を上げて、その正体に驚愕する。

「おい、どうなってんだよこれ。何が起きてるって言うんだ。なんだよあれ!?」

 一瞬、飛行機かと思ったが、直ぐに全く違う物だと判断が付いた。
 なぜなら、翼は上下に振られ。身体は赤い鱗を纏って。トカゲのような尻尾が生えていたから。

 夢じゃない、ゲームでもない。この現実に居たのだ。
 まさしく、”ドラゴン”が。

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