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女の子発見

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 移動していると、硬い地面になった。
 落ち葉もなくなり、針葉樹の雑木林になる。
 やがて、川のせせらぎが聞こえてきて、獣道ではない、何者かが手を加えたような歩道に出た。

 何処だろう。
 ノブナガは山の上に向かっていたのだ。
 こんな山中にもブタ人間が住んでいるのかと呆れ、ノブナガはうんざりした。
 そして思い出す。
 キノコ神のおっさんの言葉を。

 進化した豚。豚人間が支配しする世界を救うのだ。
 キノコだらけにするがよい!!
 人間と共存でもよいぞ!

 やれやれ。
 ぬるぬる移動していると、
 
「あああっ! あれ……なに」

「えっ、どうしたの?」

「……いなくなった」

「何かいたの?」

「おちんちん。……おちんちんが歩いていた」

「はあ? なにバカなこと言ってるのよ、もーっ。
 心配して損しちゃった」

「嘘じゃないモン! 本当だモン。
 可愛らしいおちんちんが、トテトテ歩いていたんだモン!」

「あのね。歩くようなものじゃないでしょう、おちんちんって」

「足が生えていたよ。始めてみた、あんな生き物……」

 女の子だ。
 女の子が二人いるじゃないかっ!
 どう見ても人間、それも日本人、日本語で会話しているっ!

 女の子との距離は約10m。
 咄嗟に大木に隠れたノブナガは、我が皮膚を疑った。(皮膚が目の役割なのです)

 この異世界がたまたま同じ言語。
 日本語を使用していた――、とは考え難い。
 じゃ……ここは日本? 
 そうなのか? 

 一人は小学2~3年生。
 もう一人は中学生くらい。姉だろう。
 二人ともシャツにもんぺ、戦時中みたいな姿だ。
 竹カゴを背負い、山菜採りの最中のよう。 

「あっちの方に歩いていった。たぶんあの木にいると思う」

「ふーん……で、大きさはどれくらい?」

「こんくらい」

「手のひら半分くらいか……。危険はなさそう?」

「おちんちんだもん」

「じゃー確かめてみようか」

「うん!」
 
 足音が近づく。
 ヤバいぞ。
 どうする!

 逃げても、ノブナガの最大速度は陸に上がったタコ程度。人間から逃れられるわけがない。
 
 土にもぐるか?
 運悪くここの土は硬く、掘るのに時間がかかる。

 落ち着け! 
 早くしないと。
 足音が大きくなって、ついに木の幹から巨大な顔がぬっと出現した。
 ぶち怖えぇぇぇ~~~っ!!


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