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☆クローゼットの彼女たち
しおりを挟む「えーっ!! 謝らずに帰ってきちやったのっ?!」
「愛里ちゃんが優しくしてくれたから?」
「あなたに好意があるみたい? 嘘でしょそれ」
「そうだとしても、トイレでやっちゃった変態行為が許されちゃうわけ?」
「ばっかじゃないのっ?」
「引くわあ~。男として問題あるわあ~」
「しかも謝罪文を風に飛ばされて失くしちゃった? ダッサ~」
僕は岩田家から帰宅すると自室のクローゼットの彼女たちにさんざんぼろカスに言われた。
「ゆ、許してくれええぇぇっっ!! みんなっ」
じぃ~と冷たい目線を浴びせられる。呆れられたようだ。
「そうなんだよ。わかっちゃいるんだけど、つい言えなかったんだよぉぉおおお。いま卑怯って言ったのだれ。もしかしてマミ? 君の魔法で何とかしてくれないかっ!」
晩御飯よ~、と母さんに呼ばれ、僕はクローゼットを閉じてキッチンに降りた。
「なに一人でぶつぶつ言ってたのよ。大丈夫? 受験は大切だけど根を詰めてノイローゼにならないでよ」
母さんが心配そうに言ってくれた。
「ああ。大丈夫」
現在あなたの息子は受験よりも大きい難問に喘いでいるのだ。
愛里が何も言わなかったからって、このまま事を終わらせるつもりはない。正々堂々と罪を償わないといけない。
よし、明日の夜。直接岩田ママと話しをしょう。勉強会の後でなどとやっているから、言いそびれてしまうのだ。
目的を一本に絞る。
電話で岩田ママに『どうしても直接会って、お話したい事があるのですが。今からお伺いしてよろしいでしょうか?』こう言ってしまえば、もう後には引けない。
ようし明日の夜だ。今度こそ絶対に打ち明けるのだ。
来週K大受験だというのに、気合いを入れる部分が違う僕だった。
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