一目ぼれした小3美少女が、ゲテモノ好き変態思考者だと、僕はまだ知らない

草笛あたる(乱暴)

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★ブラック再び

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 ブラックに追いつかれちゃう!!

 運動会のマラソンみたいに息を吐き、生徒たちを追い抜いて激走です! 
 小学校の校舎が見えてきて、後ろを振り向くと、

「早朝のジョギングは気持いいね、岩田さん♪」 

「ブッ、ブラック……ッ!!」

 なんと追従していたとは、超キモ過ぎ~~~っ。

 真後ろで無駄な白い歯をきらりん輝かせ、呼吸は乱れてません。
 テニスのお陰で体力はあるみたい、腹立ちます。
 クラスメイトの女子たちが「羽沢く~ん。おはよー」と挨拶すると、ブラックが「やあ、みなさん、おはよう。声をかけてくれてありがとう」とおべんちゃらを振りまきます。

「きゃーっ『ありがとう』って羽沢くんに言われたーっ♪」

 ブラックめ、前髪が気になるならバッサリカットすればいいにの、目にかかるくらい伸ばして無意味な事を。
 そういえば、勇者さまの彼女さんも前髪を眉毛のギリギリまで伸ばして真横にカットしてますね。
 前髪を伸ばすのが異性にモテる秘訣? だったらあたしも……。

「朝から岩田さんと出逢えるなんて、今日の僕はラッキーだ」

「……、……」

 やっぱり止めときましょう。
 ブラックの真似をしたと思われたら最悪です。

「勝手について来ていて、ラッキーもない」

「僕たちは引き寄せられる運命」

 繋ごうとする手をかわし、先を急ぎました。
 ブラックは自分勝手に妄想するタイプ、我が道を行くタイプ。
 危険です! このタイプが将来危ないおじさまになるのです。 
 近寄ってきたブラックが耳元で囁きました。

「安心してね。公園の覗きは誰にも話さないからね。僕たちの秘密さ♪」

 どーでもいいんですけどー。山柿さまに迷惑がかかるのが心配なだけで、後はホントどーでも良いんですけどー。

「どうしたんだい? 僕たちはお兄様公認の仲じゃないか?」

「はいっ?!」

 今何て……? それ初耳! 
 公認の仲って、なになに、兄さんと話しが進展してるのっ?
 彼女さんのパパが営んでいる剣道クラブに、ブラックを参加させる話しまで知ってるけど、あたしとの仲なんて……聞いてない。兄さん大事な事は、妹に黙って決めないで。
『愛里の彼氏はお兄ちゃんが良い人間を見つけるから、安心しろ』なんて言ってましたが、まさかその相手がブラック? 
 ブラックが安心できる良い人間? 
 あわわわわわ……急にめまいが。

「大丈夫。岩田さん?」

 ってさり気なく身体に触らないで欲しい。
 あっ! 抱きつかれてます。
 ブラックに、にちゃにちゃに抱きつかれてしまった。

「痛ってててて……」

「きゃーっ。羽沢くーん。大丈夫ーっ」
 
 思いっきり突き飛ばし、歩道に尻もちをつくブラックに、駆け寄る女子たち。

「ちょっと岩田さんっ!! 羽沢くんに抱きつかないでくれない。嫌がって飛び退いたら危ないでしょ、ほら!」

 どこが『ほら』ですか。あんたたちの王子は、とっとと立ち上がって、へらへらしているじゃない。
 それに抱きついたのはコイツです。どこ見ているのよーっ!

「いいんだよ、みんな、ありがとう……」
 
 わざとらしく哀愁を漂わせると、女子たちの目はハートマーク。
 モテるなあ。どこが良いんだろう不思議。
 ブラックが女子にたかられている隙に校内に入り、教室に逃げ込みました。

「どうしたの愛里。走ったりして」

 美咲が、ランドセルを外してボックスに入れてくれました。

「抱きつかれちゃった」

「……、……」

 美咲が瞬きを数回。

「誰に……?」

「えっと……」

 眉をひそめて怖い顔。言っていいのでしょうか……心配ですけど。

「だれだれだれだれだれだれ?」

「えっ、あっ、そのっ」

「言い難いのね。じゃ来て!」

 手を引っ張られて向かったのは別館のおトイレ。女の子の幽霊が出ると噂があるので誰もきません。二人で個室に入り施錠。

「誰に抱きつかれたの?」

「えっと……羽沢くん……」

「そうか、やっぱり……。アイツ……」

 美咲が拳を握りしめ、怒りが湧いているよう。怖いんですけど。

「どうんな風にされたの? こう? それともこう? 強くこう?」

 正面から美咲が抱きついてきて、あたしのレベル1の貧弱胸に美咲の大きな胸がむぎゅーっと押し付けられました。
 美咲のレベルはいくつでしょうか、彼女さんよりは下でしょうが、かなりのボリューム感で心地よさ高め。羨ましい。
 一度離れた美咲はあたしの横から後ろから、手の回し方を色々変えながら抱きついてきました。

「えっと、横からだよ」

「えっ? あ、そうなの……」

 抱きついたまま考えているようでしたが離れます。

「羽沢がしつこいわけね。それも異常じみて」

「うん。嫌で嫌で。あの性格も顔も白い歯も全部が気持ち悪いし。あっ、本当の意味で気持わるいんだよ」

「愛里がそこまで言うのは珍しいね。でも昨日羽沢にはっきり言って今日こうなんだから、こりゃーちゃんと退治しておかないと後々ストーカーになりそうだね」

「ストーカー……」

 知っています。ドラクエの主人公勇者の後ろをず~っと尾行する、戦士、魔法使い、僧侶みたいなもんです。
 羽沢くんは役に立ちそうにないし、逆に邪魔をしそうなので遊び人でしょう。ほぼ序盤からゴミ扱いキャラで、一度クリアーした人がおふざけでプレイするか、あたしのようにドラクエ愛が深い人が、高レベルの遊び人を作って満足しているくらいな程度です。

「抱きつかれたんだから、羽沢の担任の先生に言って注意してもらうのが簡単でいいかもね」

「うん、そうだね、……そうだけど」

 いやー。勇気いるんですけど。
 先生に言うってそう簡単には出来ないよ、やっぱり。
 美咲をじっと見つめると、ニカッと笑って、

「大丈夫。あたしが言ってあげるから、付け足しでOK」

 ごめん美咲、催促しちゃったみたいです。

「じゃ、早速行こう。ホームルームが始まる前にっ」

 向い合った美咲と合図の手をぎゅっと握り合い、トイレを後にしました。


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