神は眷属からの溺愛に気付かない

グランラババー

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二章・管理人

心配性な従者

「分かりましたか?私がどれほどあなたを心配していたかを。」

「え、あ、うん、分かった。とてもよく分かったよ。」

 僕はジークハルトから、一通りの愚痴を聞いた。愚痴というか、僕のことをどれだけ心配していたかという、ちょっと聞くのが恥ずかしいような内容だけど。  
 
 だだし、ジークハルトの内容はあまり頭に入っていない。
 だって、僕、ジークハルトにはお姫様抱っこされたままなんだよ。
 別に、同じベットで寝た仲だから恥ずかしいとかはないけど、混乱はするよね。
 混乱というか、疑問だけど。この状態はいつになったら解放されるのかっていうね。

「あ、あのさ、ジークは主人と従者の距離感大切にしてなかった?」

 賢い僕の頭は、最善の疑問をジークハルトにはぶつけることに成功した。
 以前なら、僕に直接触れることすら躊躇っていたのに、何故こんなことになってしまったのか。

「以前は確かにそうでした。ですが、私も学びました。ラント様は目を離すと危険なことを仕出かすと。」

 まるで僕が問題児のように言うではないか。失礼するよ。

「でも、僕が気絶した時は、ジークハルトが引き金を引いた、おぉ、すまん。そこまで落ちこないでよ。」

 ちょっと揶揄うつもりで、僕が以前世界樹の前で気絶したことを言ってみたら、思いの外ジークハルトが悲しい顔をする。
 心なしか、金髪も元気がない。

「そ、その、僕はジークと一緒にいれて嬉しいよ。」

「本当ですか!!」

 さっきまでの気落ちが嘘のように、顔を上げて満面の笑みで僕をみてくる。

「うん、そうだよ。僕はジークがいないとダメなんだ。」

 少し大袈裟に言ってみた。
 まあ、これぐらいの言葉でジークハルトが元気になるなら安いものだろう。

「えへへ、そうですか~ぁ。」

 少し気分を上げすぎたみたいだ。ジークハルトが壊れた。
 いつもなら絶対しないようなこと、具体的にはギュと僕に抱きついてくる。

「で、ジークはなんで、あんなに必死になって僕を呼んでいたの?」

「あんなにって、ラント様は2時間も立ったままで、なんの反応もなかったんですよ。」

「いや、たったの2時間かよ。それぐらい、、」

「ダメです。」
  
「え、ええ~」

 食い込んで、否定をされた。何がそんなにダメなんだろうか?

「もし、あの時私がラント様をお呼びしていなかったら、ずっと知識の宮殿に篭ってましたよね?」

「まあ、そりゃ、楽しかったしね。」

「それですよ!!ラント様は、私の心配をよそに、自分の好きなこと一直線でどんどん先に進んでしまうんです。」

 そんなつもりは、ない、ような?あるような?
 少し自信はないが、僕って丈夫だからね。少しばかり、自分の能力を過信して、己の好きなことに突き進んでいるような気がする。
 でも、本当に丈夫だから。心配しなくても良いよ。

「しますよ!!」

「あれ?声に出てた?」
  
「いえ。心配しなくても良いよとか言いそうだったので、先んじて否定させていただきました。」

 どんどんジークハルトが生意気になっていってる。悲しい。
 でも、ジークハルトが生意気になるってことは成長したってことだよね。いや、まあ、出会った当初から彼は成長しきっていたけど。
 もしや、これは親心?子供が育ったことによる、嬉しさと悲しさ。
 僕が感じた悲しみは、親心からなのかもしれない。

「くれぐれも、街に出た時に私から離れないでください。」

「分かった!」

「本当に、お願いしますよ。」

「うん。」

 その後も、ジークハルトは、「絶対ですよ」とか、「これ以上私に心配をかけないで下さい」と言われた。
 顔を落ち込ませながら、切実に言われてしまえば、僕の「まあ大丈夫だろう」と言う気持ちもなくなるよね。
 これから街に出たら、ジークハルトと離れ離れにならないようにしないと。

「でもさ、働いてる時はどうする?」

「影から見守ります。」
 
 すごいね。徹底的に僕を視界から外さないつもりだよ。
 まあ、ジークハルトの仕事は、僕の付き添いだからね。
 主人が働いてるのだから、従者も働けやとも思わなくはないが、さっきほどからの態度からジークハルトは僕と離れて仕事はしないだろう。
 まあ、良いや。
 僕の完璧な仕事っぷりを見てもらうとするか。

「さて、これから僕はまた知識の宮殿にいくよ。じゃあね。」

「え、ちょっ、ダメに決まっ」
 
 なんか、ジークハルトが焦って止めようとしてるけど、こればっかりは止められないよ。

 大体の歴史は読み終えたから、次は魔術についてみてみようかな。

「興奮するね。」

 魔術と言えば、異世界アルアルで最もポピュラーで最も熱い分野である。
 それが行えるとなると、嬉しい。
 僕は魔法は使えるが、魔法は願えばその現象が実現してしまう。つまり、理論がないってこと。
 一方、魔術は魔法ほど自由度はないがしっかりと確立した理論がある。

 やっぱり、思考して、確実な結果が出せる方が良いよね。
 単純に面白そうだし。

 しばらくは、魔術ライフへと洒落込むとするか。

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