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最悪の真実
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あれから月日は流れ、8年もの時が経とうとしていた。
僕は変わらず、ただひたすらに人間を退治し続けている。
今日も今日とて、それは変わらない。
ただ一つ、少年たちが僕の目の前に現れたことを除いて。
「あなたが、“人狩りの悪魔”?」
「……人間は、そう呼ぶな。」
「僕たちあなたに会いに来たんだ。」
「ならば望みは叶ったわけだ。心置無く死ぬといい。」
「待って!僕たち、あなたに会って話がしたかったんだ!」
ここまでは、物語通りだ。
このあと、僕は黙って話を聞く。
「あなたのこと、母さんに聞いたんだ。あなたは、髪と目の色が理由で、生まれて間も無く森に捨てられた、あの、僕の、兄さんだって。」
母親に聞いたということは、血の繋がりのことは旅に出る前から知っていたようだ。
"わたし"が読んだ話とは若干の違いがあるのか、それとも単なる"わたし"の記憶違いか。
まぁ、話にそんなに大きなズレがあるわけではないし、どちらでも構わないか。
しかし、捨てられた、とは。
まるで他人事のような言い方に、ますますもって呆れた。
「あなたに会うために旅をする中で色んなところを見てきて、僕たちの村がいかに小さいかを知った。間違った考え方をしていたことも、よくわかった。あなたを“悪魔”にしてしまったのは、紛れもなく、僕たちだ。」
「……俺は、今でもお前を許せないし、正直、許したくない。でも、悪いのはお前だけじゃないって、俺たちも、許されないことをしたんだって、知ったんだ。」
自信に満ち溢れた目をした少年と、とても不服だけどそれをこらえて僕を許そうとする親友。
先程の考えが、ここで180度変わった。
やはり記憶違いなどではなく、この話は"わたし"の知るそれの大筋をなぞった別物の可能性がある。
そもそもこの時点では、親友は僕を恨んでいたはずだ。
今まで僕の感情以外でこんなにも違いを感じたことはない。
それに言葉選びも、僕を勘違いさせようとしているような、決定的なことを言わないようにしているような、そんな感じだ。
「お前たちの言う、僕を“悪魔”にしてしまった、許されないことというのは、何だ?」
「そ、れは……」
言葉に詰まるということは、やはり僕をはぐらかそうとしていたと言うことか。
でもどうして?
まさかとは思うが、コイツらは、この物語の登場人物じゃない?
ダメだ、何とかして引き出してやらないと、このままじゃもやもやして話に身が入らない。。
「答えられないことに対して許すも許さないもないだろう。」
「お、俺は、お前が俺の家族を殺したことを、許せない!」
「だが、その気持ちを押さえ付けなければならないほど、お前たちは僕に許されないことをしたんだろ?それはなんだと聞いているんだ。」
「俺たちの、村が……」
「待って!!」
親友の言葉を遮るように少年が大きな声を上げた。
どうやら、何かを企んでいるのは少年の方らしい。
今も必死に親友を宥めようとしている姿は、若干異様だ。
聞き出すなら親友からだが、嫌な予感がする。
「お前たちの村が、何だ?そういえば、さっき言っていたな。僕は捨てられたとか。別に捨てられた人間なんてどこにでもいるだろ。そいつらは皆“悪魔”なのか?」
「違う!お前は家族を殺されただろ!」
「家族を、な。」
確かに僕は、家族を人間に殺された。
しかし、それは僕が話の流れで告白してわかることだったはずだ。
今この時点で彼らが知っているということは……
「そういえばさっき、僕がそこにいる奴の兄だとも言っていたな。まさかとは思うが、そいつは死んでいるのか?」
「そんなわけないだろ!コイツは俺の親友だ!復讐に心をとらわれそうになった俺を、正しい道に導いてくれようとしてる、お前なんかのことも救おうとしてくれてる、優しい奴なんだ!お前のような血も涙もない極悪非道な奴の家族なわけない!お前の家族は、人の住み処を荒し平和な生活までも脅かす、あの卑しくて醜い、獣だ!」
興奮しきった親友は、真っ赤な顔で僕を睨み付けている。
彼のここまでの憎しみを押さえ込ませていたあの少年は、一体何者なんだろう。
なんて考えたところで、今のままではまとまるはずがない。
だって、僕も今の言い分には大分怒りを感じている。
しかし、僕が親友を殺そうとする前に慌てて少年が前に飛び出してきた。
「待って!違うんだ!彼はちょっと今……気が、そう、気が立っていて!僕が無理をさせてしまっていたから、だから、今のは彼の本心じゃないんだ!」
少年のひどい焦りぶりに、疑念が確信に変わった。
ただ、少年だけではなく、親友もまたひどく取り乱している。
「すまない、すまない、お前は、君は一生懸命にやってくれた。すべて俺のせいだ。俺の浅はかさが、こんな結果を招いた。君は、救おうとしてくれていたのに。俺を、コイツを、この物語を、そしてあの子までも……」
嫌な予感は当たるものだ。
「何を言ってるんだよ!まだ終わってないじゃないか!諦めちゃダメだ!負けちゃダメなんだ!こんな終わり誰も望んじゃいない!貴方の手で、最高のハッピーエンドにするんだ!」
何て傲慢で、何て独善的。
「……お前たちは、創造神か?それとも、信者か?」
まったく、虫酸が走る。
僕は変わらず、ただひたすらに人間を退治し続けている。
今日も今日とて、それは変わらない。
ただ一つ、少年たちが僕の目の前に現れたことを除いて。
「あなたが、“人狩りの悪魔”?」
「……人間は、そう呼ぶな。」
「僕たちあなたに会いに来たんだ。」
「ならば望みは叶ったわけだ。心置無く死ぬといい。」
「待って!僕たち、あなたに会って話がしたかったんだ!」
ここまでは、物語通りだ。
このあと、僕は黙って話を聞く。
「あなたのこと、母さんに聞いたんだ。あなたは、髪と目の色が理由で、生まれて間も無く森に捨てられた、あの、僕の、兄さんだって。」
母親に聞いたということは、血の繋がりのことは旅に出る前から知っていたようだ。
"わたし"が読んだ話とは若干の違いがあるのか、それとも単なる"わたし"の記憶違いか。
まぁ、話にそんなに大きなズレがあるわけではないし、どちらでも構わないか。
しかし、捨てられた、とは。
まるで他人事のような言い方に、ますますもって呆れた。
「あなたに会うために旅をする中で色んなところを見てきて、僕たちの村がいかに小さいかを知った。間違った考え方をしていたことも、よくわかった。あなたを“悪魔”にしてしまったのは、紛れもなく、僕たちだ。」
「……俺は、今でもお前を許せないし、正直、許したくない。でも、悪いのはお前だけじゃないって、俺たちも、許されないことをしたんだって、知ったんだ。」
自信に満ち溢れた目をした少年と、とても不服だけどそれをこらえて僕を許そうとする親友。
先程の考えが、ここで180度変わった。
やはり記憶違いなどではなく、この話は"わたし"の知るそれの大筋をなぞった別物の可能性がある。
そもそもこの時点では、親友は僕を恨んでいたはずだ。
今まで僕の感情以外でこんなにも違いを感じたことはない。
それに言葉選びも、僕を勘違いさせようとしているような、決定的なことを言わないようにしているような、そんな感じだ。
「お前たちの言う、僕を“悪魔”にしてしまった、許されないことというのは、何だ?」
「そ、れは……」
言葉に詰まるということは、やはり僕をはぐらかそうとしていたと言うことか。
でもどうして?
まさかとは思うが、コイツらは、この物語の登場人物じゃない?
ダメだ、何とかして引き出してやらないと、このままじゃもやもやして話に身が入らない。。
「答えられないことに対して許すも許さないもないだろう。」
「お、俺は、お前が俺の家族を殺したことを、許せない!」
「だが、その気持ちを押さえ付けなければならないほど、お前たちは僕に許されないことをしたんだろ?それはなんだと聞いているんだ。」
「俺たちの、村が……」
「待って!!」
親友の言葉を遮るように少年が大きな声を上げた。
どうやら、何かを企んでいるのは少年の方らしい。
今も必死に親友を宥めようとしている姿は、若干異様だ。
聞き出すなら親友からだが、嫌な予感がする。
「お前たちの村が、何だ?そういえば、さっき言っていたな。僕は捨てられたとか。別に捨てられた人間なんてどこにでもいるだろ。そいつらは皆“悪魔”なのか?」
「違う!お前は家族を殺されただろ!」
「家族を、な。」
確かに僕は、家族を人間に殺された。
しかし、それは僕が話の流れで告白してわかることだったはずだ。
今この時点で彼らが知っているということは……
「そういえばさっき、僕がそこにいる奴の兄だとも言っていたな。まさかとは思うが、そいつは死んでいるのか?」
「そんなわけないだろ!コイツは俺の親友だ!復讐に心をとらわれそうになった俺を、正しい道に導いてくれようとしてる、お前なんかのことも救おうとしてくれてる、優しい奴なんだ!お前のような血も涙もない極悪非道な奴の家族なわけない!お前の家族は、人の住み処を荒し平和な生活までも脅かす、あの卑しくて醜い、獣だ!」
興奮しきった親友は、真っ赤な顔で僕を睨み付けている。
彼のここまでの憎しみを押さえ込ませていたあの少年は、一体何者なんだろう。
なんて考えたところで、今のままではまとまるはずがない。
だって、僕も今の言い分には大分怒りを感じている。
しかし、僕が親友を殺そうとする前に慌てて少年が前に飛び出してきた。
「待って!違うんだ!彼はちょっと今……気が、そう、気が立っていて!僕が無理をさせてしまっていたから、だから、今のは彼の本心じゃないんだ!」
少年のひどい焦りぶりに、疑念が確信に変わった。
ただ、少年だけではなく、親友もまたひどく取り乱している。
「すまない、すまない、お前は、君は一生懸命にやってくれた。すべて俺のせいだ。俺の浅はかさが、こんな結果を招いた。君は、救おうとしてくれていたのに。俺を、コイツを、この物語を、そしてあの子までも……」
嫌な予感は当たるものだ。
「何を言ってるんだよ!まだ終わってないじゃないか!諦めちゃダメだ!負けちゃダメなんだ!こんな終わり誰も望んじゃいない!貴方の手で、最高のハッピーエンドにするんだ!」
何て傲慢で、何て独善的。
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まったく、虫酸が走る。
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