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窮鶏獅子を噛む
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どんなに嫌だと思っても朝は来るもので、つか寧ろ俺さっき寝たばっかだよ。
昨日は家に着くなり服も着替えずベッドに沈んだ。
そして気付いたら携帯のアラームが鳴る時間になっていた。
それを止めるため携帯を開き電源ボタンを二度押すと、アラームから待ち受け画面に切り替わる。
そこには、受信メールと着信があったことがアイコンとなって表れていた。
嫌な気もしたが、それらを確認してみると、メールは友達からの詳細教えろと心配する内容がほぼで、着信も友達からだった。
ますます学校行きたくなくなったが、休むとも言いづらいので仕方なく準備をする。
嫌な時間は過ぎるのが早い。
さっきまでちんたら準備をしていたつもりが、もう学校の前に立っている。
というか、あんなことがあった次の日にもかかわらず、いつもの時間にちゃんと登校してしまう自分の真面目さが憎い。
教室に向かう途中、こそこそと話す声が耳に入り、そちらを見ると勢い良く目を逸らされる。
あ、なんかお腹痛くなってきた。
同じような状況がずっと続く中を歩き教室へ辿り着くと、いつもより長い距離を歩いたような疲れが肩にのしかかり、何時の間にやら俺の肩は限界まで下がっていた。
―ガラッ
教室のドアを開けると質問責めを覚悟していたが、不気味なほどシーンと静まり返っている。
昨日は散々向いていた視線も、こちらには一切向かってこないで、授業でもないのに皆前を向いて座っている。
いやに張り詰めた空気の中、自分の席に目を向けると、何者かが座っていた。
嫌な予感を抱きながらもそっとそいつに近づく。
「そこ、俺の席なんですが。」
恐る恐る声をかけると、周りがちらちら遠慮がちに見てくるのがわかった。
やはり、皆見たかったんだ。
どうやら見れなかった理由は俺の席に座っているコイツ。
「あの…」
声をかけても何の反応もしないことに苛立ちまた声をかけると、ソイツはゆっくりと立ち上がった。
そしてそのゆっくりとした動きのままこちらを向いた。
「アラマキ、リョータ。」
向けられた目は、眼鏡に隠れていて分かりにくいが、昨日俺を散々恐がらせたそれだった。
こちらを向くまで彼が獅子雄さんだということに気が付かなかったのにはわけがある。
髪は短く黒く、制服もキチンと着ていて(しかしよく見ればワイシャツにはボタンが付いていなくカーディガンで押さえられていた。)、アクセサリー類は一つも付けておらず、さっきも言ったが眼鏡を掛けていたからだ。
一見するだけだと、どこにでもいそうな男子高校生に見える。
これはもしかすると、いや、もしかしなくても、昨日の俺の言葉のせいだろうか。
そう思うと、昨日のそれとはまた違う、嫌な汗がじんわりとシャツを濡らした。
「昨日…」
重たい空気が漂う中、獅子雄さんが口を開く。
「お前に言われて、気付いた。当たり前のことなのに、今まで気付けなかった。」
獅子雄さんは、俺を真っすぐ見つめぽつぽつと話し出した。
「自惚れでもなんでもなくて、俺は自分が有名だと思ってた。少なくとも、この学校では。嫌な噂も多い。だから、俺を知らないと言った言葉を、軽く流しちまった。」
これはもしかして、昨日のことを全部、言い方は悪いが言い訳するつもりなんだろうか?
少し周りを気にすれば、遠慮を捨てた好奇の目達がギラギラとこちらに向いている。
「別に、もういいです。昨日のことは、俺も言い過ぎましたから。忘れてください。」
「よくねー。俺は、お前にちゃんと伝えたい。お前からの言葉も、忘れたくない。」
なんなんだこのこっ恥ずかしい人は!!
逃げたい。
この場から逃げ出したい。
しかも伝えたいって、まさか人前でまた告白でもするつもりじゃないだろうな!?
それだけは何が何でも阻止だ!
「いや、もう本当にいいです!俺が悪かったです!スミマセンでした!」
「お前はなんも悪くねーだろ。昨日のは俺がやったことだし、これからやることも俺がしたいことだ。」
なんて頑固な人だ。
周り見ようぜ!
とんだ見せ物だよ!
「じ、じゃあ場所変えましょう!もうすぐ先生も来ちゃいますから、此処じゃ迷惑になります!」
「迷惑、だと?」
ギロリと睨まれる。
俺は蛇に睨まれた蛙のごとく肩を竦め動けなくなった。
もう何で俺調子乗って意見なんかしちゃってんのバカバカ!
見た目に騙されちゃいけない!
ちょっと忘れてたけどこの人昨日思いっきり人殴った人なんだ!
もう黙っとこう。
ただでさえ昨日言いたい放題言っちゃってんだから。
「ッ…わかった。移動しよう。」
そうぼそっと言うと、獅子雄さんはこっちに向かって歩いてきた。
そして俺の横に差し掛かった時にスッと腕を振り上げる。
殴られる!
そう思った瞬間、動けなかったはずの俺の身体が無意識に後退っていた。
それを見て苛立った様子で顔を歪める獅子雄さん。
どうやら、今は殴られといた方がよかったようだ。
嫌だけどね。
昨日は家に着くなり服も着替えずベッドに沈んだ。
そして気付いたら携帯のアラームが鳴る時間になっていた。
それを止めるため携帯を開き電源ボタンを二度押すと、アラームから待ち受け画面に切り替わる。
そこには、受信メールと着信があったことがアイコンとなって表れていた。
嫌な気もしたが、それらを確認してみると、メールは友達からの詳細教えろと心配する内容がほぼで、着信も友達からだった。
ますます学校行きたくなくなったが、休むとも言いづらいので仕方なく準備をする。
嫌な時間は過ぎるのが早い。
さっきまでちんたら準備をしていたつもりが、もう学校の前に立っている。
というか、あんなことがあった次の日にもかかわらず、いつもの時間にちゃんと登校してしまう自分の真面目さが憎い。
教室に向かう途中、こそこそと話す声が耳に入り、そちらを見ると勢い良く目を逸らされる。
あ、なんかお腹痛くなってきた。
同じような状況がずっと続く中を歩き教室へ辿り着くと、いつもより長い距離を歩いたような疲れが肩にのしかかり、何時の間にやら俺の肩は限界まで下がっていた。
―ガラッ
教室のドアを開けると質問責めを覚悟していたが、不気味なほどシーンと静まり返っている。
昨日は散々向いていた視線も、こちらには一切向かってこないで、授業でもないのに皆前を向いて座っている。
いやに張り詰めた空気の中、自分の席に目を向けると、何者かが座っていた。
嫌な予感を抱きながらもそっとそいつに近づく。
「そこ、俺の席なんですが。」
恐る恐る声をかけると、周りがちらちら遠慮がちに見てくるのがわかった。
やはり、皆見たかったんだ。
どうやら見れなかった理由は俺の席に座っているコイツ。
「あの…」
声をかけても何の反応もしないことに苛立ちまた声をかけると、ソイツはゆっくりと立ち上がった。
そしてそのゆっくりとした動きのままこちらを向いた。
「アラマキ、リョータ。」
向けられた目は、眼鏡に隠れていて分かりにくいが、昨日俺を散々恐がらせたそれだった。
こちらを向くまで彼が獅子雄さんだということに気が付かなかったのにはわけがある。
髪は短く黒く、制服もキチンと着ていて(しかしよく見ればワイシャツにはボタンが付いていなくカーディガンで押さえられていた。)、アクセサリー類は一つも付けておらず、さっきも言ったが眼鏡を掛けていたからだ。
一見するだけだと、どこにでもいそうな男子高校生に見える。
これはもしかすると、いや、もしかしなくても、昨日の俺の言葉のせいだろうか。
そう思うと、昨日のそれとはまた違う、嫌な汗がじんわりとシャツを濡らした。
「昨日…」
重たい空気が漂う中、獅子雄さんが口を開く。
「お前に言われて、気付いた。当たり前のことなのに、今まで気付けなかった。」
獅子雄さんは、俺を真っすぐ見つめぽつぽつと話し出した。
「自惚れでもなんでもなくて、俺は自分が有名だと思ってた。少なくとも、この学校では。嫌な噂も多い。だから、俺を知らないと言った言葉を、軽く流しちまった。」
これはもしかして、昨日のことを全部、言い方は悪いが言い訳するつもりなんだろうか?
少し周りを気にすれば、遠慮を捨てた好奇の目達がギラギラとこちらに向いている。
「別に、もういいです。昨日のことは、俺も言い過ぎましたから。忘れてください。」
「よくねー。俺は、お前にちゃんと伝えたい。お前からの言葉も、忘れたくない。」
なんなんだこのこっ恥ずかしい人は!!
逃げたい。
この場から逃げ出したい。
しかも伝えたいって、まさか人前でまた告白でもするつもりじゃないだろうな!?
それだけは何が何でも阻止だ!
「いや、もう本当にいいです!俺が悪かったです!スミマセンでした!」
「お前はなんも悪くねーだろ。昨日のは俺がやったことだし、これからやることも俺がしたいことだ。」
なんて頑固な人だ。
周り見ようぜ!
とんだ見せ物だよ!
「じ、じゃあ場所変えましょう!もうすぐ先生も来ちゃいますから、此処じゃ迷惑になります!」
「迷惑、だと?」
ギロリと睨まれる。
俺は蛇に睨まれた蛙のごとく肩を竦め動けなくなった。
もう何で俺調子乗って意見なんかしちゃってんのバカバカ!
見た目に騙されちゃいけない!
ちょっと忘れてたけどこの人昨日思いっきり人殴った人なんだ!
もう黙っとこう。
ただでさえ昨日言いたい放題言っちゃってんだから。
「ッ…わかった。移動しよう。」
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そして俺の横に差し掛かった時にスッと腕を振り上げる。
殴られる!
そう思った瞬間、動けなかったはずの俺の身体が無意識に後退っていた。
それを見て苛立った様子で顔を歪める獅子雄さん。
どうやら、今は殴られといた方がよかったようだ。
嫌だけどね。
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