BL(?)短編集

土田

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罰ゲーム活用法

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「おい、お前コクられるらしいぞ!」

「はぁ?」


ウキドキしながら俺にそう言ってきたのは中学からの友人。
その時どきに応じて親友になったり腐れ縁になったりと立場の変わる、まぁ気心の知れた仲の奴だ。


「コクられるって?ついに俺にも春が来たカンジ?」

「ノンノン!いやソレがまた酷い話でな!ユーメンズにコクられるんだって!」


…Why?


「あのう、一応ミーもメンズの端くれなんですが。」

「だから酷い話っつーとろうが!罰ゲームだよ!罰ゲーム!」


罰ゲーム?


「なんか感じの悪ぅーい人たちが賭けして、ソレに負けた奴が男にコクるって罰ゲーム決めたんだって。んで、その対象が、」


そこまで言うと、じっちゃんの名前に泥を塗るまいと頑張る某少年バリにビシッ!と俺を指差す友人。


「ソレどこ情報?」

「感じの悪ぅーいおにいたま!」


ああ、コイツのおにいたま情報なら間違いねぇ。
一緒に賭けしてたんだろうし。

つか面識あんだから止めろよ!
面倒クセェ!!


「罰ゲームとは言え、男のボクチンにコクろうだなんてちょっと頭どうかしてるぜ!な殿方はイケてるメンズなんだろうな?」

「あ、そこ気になっちゃいますぅ?」

「ゲームの対象とか不名誉なことなんだから、どうせなら心揺り動かされるくらいの美男子が良い。」


だって振るなら不細工よりも格好よろしい奴の方が、なんか俺が偉くなった気分になるし。


「おにいたまね、誰かまでは教えてくれんかったのよ。ただ心身共にイケメンではあるらしい。」

「心がイケメンな奴は罰ゲーム付きの賭けなんざ参加しねーよ。」

「確かに。」


うーん…にしてもムカつくなぁ。
何故に俺が人がバカにされ笑われる為の手助けをしてやらにゃならんのだ。
運が悪けりゃ巻き込まれ笑われることになりかねん。
俺はどちらかというと笑いたい方の人間だっちゅーの。


「ねー、どーする?」

「嬉しい好き好き愛してるって言って抱きつくのと、顔がタイプじゃありませんって言って苦笑いするのと、どっちがいいと思う?」

「コクってるとこ動画で押さえて脅すついでにお金せびっちゃえばいいと思う。」

「オー!ナイスアイディーアー!!ユージーニアース!」

「俺は剣玉じゃ戦えないよ!」

「知ってる。だから場所と時間おにいたまからちゃんと聞き出しといてね。」

「アイアイサー!」


さてと、まずは高性能なデジタルビデオキャメラを準備するところから始めるか。


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