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水崎 智香は困っていた
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私、水崎 智香は困っていた。
「智香ちゃん智香ちゃん!今日こそは私に付き合ってよね!」
「は?なに言ってんの?智香は今日俺と買い物行くんだよ。」
「ちょっと待って!智ちゃんは俺の演技の練習手伝ってくれるんでしょ!」
上から順に、
上城 まりあ(カミシロ マリア/ヒロイン)
浮島 遥斗(アキシマ ハルト/後輩ワンコ)
滝谷 洸哉(タキタニ コウヤ/メイン俺様)
彼らは皆、あの一世を風靡した乙女系恋愛シミュレーションゲーム『君想い、永久を抱いて』略して『キミトワ』の主要登場人物だ。
あ、自己紹介がまだだったわね。
私は水崎 智香(ミズサキ トモカ/ヒロインのライバル)。
上記でもわかるように例に漏れず私も、まぁ他の面子と比べてしまうと主要とまではいかないけれど、そこそこ目立った登場人物に当たる。
さて、私が何で困っていたのかというと……
「そんなこと言って洸哉は昨日も演技見てもらってたじゃない!」
「だって独学より経験者に教えてもらった方がいいじゃん!」
「うっせぇな。とにかく智香は今日俺と乙女ロード巡りなの。」
「ちょっと智香ちゃんを腐らせないで!智香ちゃんは私と手芸店に行くの!」
なんかね、よくわかんないけど、最近私大人気なのよね。
ホーントなんでだろ?
「智香はもう腐ってんの。それに智香はコスなんかしねーよ一人で行けこのブス。」
「『キミトワ』のヒロインにたいしてブスとはなによブスとは!めちゃくちゃかわいいでしょうが!」
「俺は元々まりあより智香派だったし、つかそもそも女キャラに興味ねーの。」
「もう二人ともやめてよ!もっちゃんとみきるんの声で喧嘩しないで!」
あ、ついでに言うとここにいる皆転生成り代わり者だから。
神様もなかなかワイルドなことするよね。
「みんなぁ~お茶はいったよぉ~おかしもあるよぉ~!」
あ、ここにいるの私たち4人だけじゃありません。
今お茶を入れてきてくれたのは、橘 葵(タチバナ アオイ/和風美人先輩)。
もちろん主要登場人物のうちの一人。
そしてここは『キミトワ』の舞台である“聖ルノアール学園”のサロンルームの一室で、自由に使えるから私たちの溜まり場になってる。
「……眠い。」
「うふふ、私が膝枕したげよっか?」
「あぁッ!!!え、枝毛を見つけてしまった……ヤバイ……び、美容院予約……」
で、今のが上から、
坂西 駿一(サカニシ シュンイチ/爽やかスポーツマン先輩)
一ノ宮 優(イチノミヤ スグル/ツンデレ)
黒須 正義(クロス マサヨシ/世話焼き幼馴染)
例によって例のごとくみーんなまとめて主要登場人物。
何となくもうわかってると思うけど、上城 まりあはこの『キミトワ』の世界における主人公(プレーヤー)、他のメンバーは攻略対象で、私こと水崎 智香は一応、上城 まりあの恋のライバル、と、私がやっていた『キミトワ』ではそういう設定だった。
そう、私は生まれ変わる前にこのゲームをやっていた。
いや、やっていたなんてもんじゃない。
めちゃくちゃやり込んでいた。
だからこの世界に転生したと知ったときにはそりゃあもう焦った焦った。
え?なに?ゲーム通りに話進めなきゃダメなの?私当て馬にならなきゃいけない?一度っきりの青春よ?たった3年しかない高校生活よ?それを当て馬?え?クソかな?
そうやって、勝手に絶望してたの。
でもさ、小さい頃からこの水崎 智香をやってるとさ、案外自由だなぁって。
私、なんでも出来るんじゃないかなぁって、ふと、そう思ったんだよね。
そしたらさ、もう、やるしかないじゃん?
ゲーム漫画アニメ、極めるしかないじゃん?
だって元々乙女ゲーやり込むようなオタクなんだもん仕方ないじゃん!
むしろ0から始められるこの新たな人生を謳歌するしかないじゃん!
幸い美人だし!水崎 智香、美人だし!
あと家もそこそこの金持ちだし!
人生イージーモードなんじゃないの!?
薔薇色百合色待ってるんじゃないの!!?
って感じで好き勝手やってたら、まさかのみーんな転生者だったっていう。
しかも皆私より自由度高かったっていう。
しかもしかも皆漏れなくオタクだったっていう。
本当、私のちょっとだけ絶望して悩んだ数年間を返してほしい。
「つかれた顔してるのはだれかなぁ~?ともかちゃんかなぁ~?そんな子にはお星さまあげるねぇ~!」
過去を振り返っていた私の手のひらに、ぱらぱらと金平糖を落としてにこにこしてる橘 葵を見て思った。
「橘先輩……好き……」
やっぱり、皆顔がいい。
「智香ちゃん智香ちゃん!今日こそは私に付き合ってよね!」
「は?なに言ってんの?智香は今日俺と買い物行くんだよ。」
「ちょっと待って!智ちゃんは俺の演技の練習手伝ってくれるんでしょ!」
上から順に、
上城 まりあ(カミシロ マリア/ヒロイン)
浮島 遥斗(アキシマ ハルト/後輩ワンコ)
滝谷 洸哉(タキタニ コウヤ/メイン俺様)
彼らは皆、あの一世を風靡した乙女系恋愛シミュレーションゲーム『君想い、永久を抱いて』略して『キミトワ』の主要登場人物だ。
あ、自己紹介がまだだったわね。
私は水崎 智香(ミズサキ トモカ/ヒロインのライバル)。
上記でもわかるように例に漏れず私も、まぁ他の面子と比べてしまうと主要とまではいかないけれど、そこそこ目立った登場人物に当たる。
さて、私が何で困っていたのかというと……
「そんなこと言って洸哉は昨日も演技見てもらってたじゃない!」
「だって独学より経験者に教えてもらった方がいいじゃん!」
「うっせぇな。とにかく智香は今日俺と乙女ロード巡りなの。」
「ちょっと智香ちゃんを腐らせないで!智香ちゃんは私と手芸店に行くの!」
なんかね、よくわかんないけど、最近私大人気なのよね。
ホーントなんでだろ?
「智香はもう腐ってんの。それに智香はコスなんかしねーよ一人で行けこのブス。」
「『キミトワ』のヒロインにたいしてブスとはなによブスとは!めちゃくちゃかわいいでしょうが!」
「俺は元々まりあより智香派だったし、つかそもそも女キャラに興味ねーの。」
「もう二人ともやめてよ!もっちゃんとみきるんの声で喧嘩しないで!」
あ、ついでに言うとここにいる皆転生成り代わり者だから。
神様もなかなかワイルドなことするよね。
「みんなぁ~お茶はいったよぉ~おかしもあるよぉ~!」
あ、ここにいるの私たち4人だけじゃありません。
今お茶を入れてきてくれたのは、橘 葵(タチバナ アオイ/和風美人先輩)。
もちろん主要登場人物のうちの一人。
そしてここは『キミトワ』の舞台である“聖ルノアール学園”のサロンルームの一室で、自由に使えるから私たちの溜まり場になってる。
「……眠い。」
「うふふ、私が膝枕したげよっか?」
「あぁッ!!!え、枝毛を見つけてしまった……ヤバイ……び、美容院予約……」
で、今のが上から、
坂西 駿一(サカニシ シュンイチ/爽やかスポーツマン先輩)
一ノ宮 優(イチノミヤ スグル/ツンデレ)
黒須 正義(クロス マサヨシ/世話焼き幼馴染)
例によって例のごとくみーんなまとめて主要登場人物。
何となくもうわかってると思うけど、上城 まりあはこの『キミトワ』の世界における主人公(プレーヤー)、他のメンバーは攻略対象で、私こと水崎 智香は一応、上城 まりあの恋のライバル、と、私がやっていた『キミトワ』ではそういう設定だった。
そう、私は生まれ変わる前にこのゲームをやっていた。
いや、やっていたなんてもんじゃない。
めちゃくちゃやり込んでいた。
だからこの世界に転生したと知ったときにはそりゃあもう焦った焦った。
え?なに?ゲーム通りに話進めなきゃダメなの?私当て馬にならなきゃいけない?一度っきりの青春よ?たった3年しかない高校生活よ?それを当て馬?え?クソかな?
そうやって、勝手に絶望してたの。
でもさ、小さい頃からこの水崎 智香をやってるとさ、案外自由だなぁって。
私、なんでも出来るんじゃないかなぁって、ふと、そう思ったんだよね。
そしたらさ、もう、やるしかないじゃん?
ゲーム漫画アニメ、極めるしかないじゃん?
だって元々乙女ゲーやり込むようなオタクなんだもん仕方ないじゃん!
むしろ0から始められるこの新たな人生を謳歌するしかないじゃん!
幸い美人だし!水崎 智香、美人だし!
あと家もそこそこの金持ちだし!
人生イージーモードなんじゃないの!?
薔薇色百合色待ってるんじゃないの!!?
って感じで好き勝手やってたら、まさかのみーんな転生者だったっていう。
しかも皆私より自由度高かったっていう。
しかもしかも皆漏れなくオタクだったっていう。
本当、私のちょっとだけ絶望して悩んだ数年間を返してほしい。
「つかれた顔してるのはだれかなぁ~?ともかちゃんかなぁ~?そんな子にはお星さまあげるねぇ~!」
過去を振り返っていた私の手のひらに、ぱらぱらと金平糖を落としてにこにこしてる橘 葵を見て思った。
「橘先輩……好き……」
やっぱり、皆顔がいい。
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