眠り姫は目覚めを希望しない【改題】

里瀬ふゆ

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あなたは一体誰ですか?

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 振り返った少年としばし見つめ合った。
 ただ偶然にこっちを見たのだろうと最初は思ったが、琥珀色の少年の瞳はしかと私に焦点が合っている。
 じっと私を見つめている。
 正直びびった。
 まさか、あの子にも私の姿が見えるっていうの?

 そんな奇跡が、連続して起こり得る!?
 ジェシカに出会えただけで、すごい奇跡だっていうのに。
 立て続けに、私の姿が見える人が現れるなんて……信じられない。

 開いた口が塞がらないでいる私から、少年はすっと視線を外し、前に向き直った。ごく自然な動作で。


 ……なーんだ、やっぱりたまたまか。
 私はほっと息を吐き、ノートをとる少年の後姿を眺めた。

 やはり見覚えのない生徒だ。
 聖クシュハリスト学園の授業は単位制になっていて、生徒は自分の好きなようにカリキュラムを決めて、受けることが出来る。
 授業を受ける場所も、各々のカリキュラムによって移動するため、いつも同じ面子と居合わせているわけじゃない。だから、よく知らない生徒がいても不思議ではないけど……、それにしても一度も見覚えがない。

 一人ぼっちの私は、よく人間観察をして過ごしているし、女子たちの恋バナ談義に勝手に聞き耳を立てていたりもするので、生徒たちのことは並みの生徒よりも詳しいと自負しているのに。
 ここ数日、ジェシカのところに通うために休んでいたから、その間に入ってきた転入生だろうか。

 あれこれ考えている間に、世界史の授業は終わってしまっていた。

 周りの生徒たちが筆記用具を片付け、席を立ち始めたので、わたしも慌てて立った。
 ぼんやりしていると、私の姿が見えないみんなが、私の体がある場所をただの空間だと思って、通り抜けようとしたりする。
 そうなると、例の気持ち悪さを味わなくてはならないので、できる限り回避している。

 身の安全を確保した場所で、皆が移動し終わるのを待っていると、さっきの少年が真っ直ぐやってくるのが見えた。
 こっちに向かってやってくる。私以外、誰もいないのに。

「ねえ、ちょっと話できる? ここじゃなんだから、付いてきて」

 身を強ばらせている私に少年はそっと唇を寄せ、囁いた。

「あ……、あなた、私が見えるんですか?」

「うん。ほかの誰でもない、君に話しかけてるよ。どうか怖がらないで」

 少年は微笑んで言った。耳馴染みのいい、優しい声だ。座っていたときには分からなかったが、背が高い。
 琥珀色の瞳に同色の髪色。誰かに似ている気がするが、誰だか思い出せない。

 歩き出した彼の背中を追った。




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