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第11話 二年生 九九の話
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第三章 二 年 生 編
*2年生のはたのの話
大葉小では、2年生になってもクラス替えがなく、1年生と同じメンバーで次の学年に上がることになった。そんな中、小学校の同級生で一番最初に友達になったはたのが、あまり学校に来なくなってしまった。ぼくは家が近かったこともあり、毎日『連絡ノート』と呼ばれる明日の予定や必要な物、先生からのメッセージが書かれたものを持って行ってあげていた。
ただ、彼は本当に体調が悪いわけではなく、いわゆる『サボり』であり、彼の年の離れた兄と姉と一緒に家でゲームをやっていた。インターホン越しにゲームの音が聞こえて来たり、その兄と姉の声(はたのの家に遊びに行った時に何度か会ったことがある)が聞こえていたりとあまり気分のいい話ではなかった。それでも、たかた先生が
「けんたろうくんが行ってあげたら、はたのくんも学校に来やすくなるから大変だと思うけどお願いね」
と言ってくれたので少し嫌な気はしていたんだけど通っていた。ただ、はたのは完全に不登校というわけではなく、たまに学校には来ていたので、出席日数が足りるように要領よく来ていたのかもしれない。こういう生き方は非難されることもあるのかもしれないが、社会で生きていくには、当時のぼくのように正直に生きるのもいいが、はたのみたいに功利的な生き方をするのもまたありなのかもしれないと今になって思う。
*大葉小の避難訓練の話
大葉小学校では1学期に1回、『避難訓練』というものをやっていて、緊急避難警報が発令されたという体で訓練を行っていた。そこでは『防災頭巾』と呼ばれるアイテムが活躍していて、これは椅子の上に敷いてある座布団に付いているファスナーを開けると座布団が変形し、雪ん子の藁帽子のように頭にかぶる頭巾になるという優れものであった。この頭巾は柔らかい割に丈夫で、先生の指示で机の下に隠れた後に使用することになっていた。
そして、『おかしも』という呪文を意識しながら避難しており、これは『おさない』『かけない』『しゃべらない』『もどらない』の頭文字を取ったものであった。火災現場は一瞬の状況判断で、その命運が決定されることがあり、恐怖心が強く、冷静な判断が下せない生徒たちのために考えられたものであった。
毎回校庭に出た後に聞く校長先生の話が長いのはどこの学校でも定番なのだろうが、大葉小にいる間に実際に火災が発生せず、訓練だけで済んだのは幸せなことだったと言えるのだろう。
*九九の練習の話
2年生になってから、学年全体で『九九の練習』をやったことがあった。3つのクラスの教室にそれぞれ3つのテーブルを置いて、1組の先生が『1から3の段』、2組のたかた先生が『4から6の段』、3組の先生が『7から9の段』を担当して九九を覚えた。2年生の全生徒は好きなテーブルに行って、プリントに書いてある1つの段を覚え、テーブルに並んで何も見ずに先生に向かってそれを唱える。
全部合っていたらその段はOKで、プリントのその段の横にスタンプを押してもらえる。それを繰り返して、最終的に3人の先生から3つずつ、9つのスタンプを貰えたら合格という授業だった。なんとそれを土曜の午前中に半日かけて一気にやってしまおうというのだ。
先生たちが生徒たちにルールを説明して行くと、ぼくはまず、担任のたかた先生のところへ行き、4から6の段を終えると1から3、7から9の段もしっかり終えることができた。それからはみんなで覚えられない子の相手をしてちゃんと学年全体が合格できるまで練習を行った。
そして予定より30分早い午後3時、生徒たちはスタンプをもらい終え、九九の授業を終えた。ゲーム感覚で覚えられて凄く楽しかったし、この授業のお陰で、今でも九九を暗唱できるくらいなので、いい経験になったと思う。
*誕生日会の話
この地域は穏やかな人が多かったこともあり、大人同士も子供たちも仲が良かった。いろんな子の『誕生日会』があってそこに呼ばれていつもとは違う感じでケーキを食べたりゲームをしたりするのが好きだった。
ぼくも毎年『誕生日会』を開いてもらっていて、その中でも一番よく覚えているのは2年生の時の誕生日会だった。その時には、はたの、しょうちゃん、かわのくん、もっちゃん、かめちゃん、つるちゃん、ぼくの妹、妹の友達のたけしくんが来てくれていた。部屋に飾り付けをし、庭にアルミでできたカラーのいろんな色のスズをちりばめて探す、『宝探し』をやった。
みんなちょっとずつ遠慮してくれて、ぼくが1番多くスズを手に入れることができ、スズを持っている子は母から賞品を受け取った。その後にいちごのショートケーキを切り分けて食べ、みんなからプレゼントをもらった。
その時に親にリクエストして買ってもらっていた『がんばれゴエモン2』は、多分ぼくが小学生の時に一番やったテレビゲームだと思う。結構バブリーな話なのだが、1990年代前半で、バブルがはじけてすぐの、当時の日本だからできたことなんだと今にしてみれば思う。
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大葉小では、2年生になってもクラス替えがなく、1年生と同じメンバーで次の学年に上がることになった。そんな中、小学校の同級生で一番最初に友達になったはたのが、あまり学校に来なくなってしまった。ぼくは家が近かったこともあり、毎日『連絡ノート』と呼ばれる明日の予定や必要な物、先生からのメッセージが書かれたものを持って行ってあげていた。
ただ、彼は本当に体調が悪いわけではなく、いわゆる『サボり』であり、彼の年の離れた兄と姉と一緒に家でゲームをやっていた。インターホン越しにゲームの音が聞こえて来たり、その兄と姉の声(はたのの家に遊びに行った時に何度か会ったことがある)が聞こえていたりとあまり気分のいい話ではなかった。それでも、たかた先生が
「けんたろうくんが行ってあげたら、はたのくんも学校に来やすくなるから大変だと思うけどお願いね」
と言ってくれたので少し嫌な気はしていたんだけど通っていた。ただ、はたのは完全に不登校というわけではなく、たまに学校には来ていたので、出席日数が足りるように要領よく来ていたのかもしれない。こういう生き方は非難されることもあるのかもしれないが、社会で生きていくには、当時のぼくのように正直に生きるのもいいが、はたのみたいに功利的な生き方をするのもまたありなのかもしれないと今になって思う。
*大葉小の避難訓練の話
大葉小学校では1学期に1回、『避難訓練』というものをやっていて、緊急避難警報が発令されたという体で訓練を行っていた。そこでは『防災頭巾』と呼ばれるアイテムが活躍していて、これは椅子の上に敷いてある座布団に付いているファスナーを開けると座布団が変形し、雪ん子の藁帽子のように頭にかぶる頭巾になるという優れものであった。この頭巾は柔らかい割に丈夫で、先生の指示で机の下に隠れた後に使用することになっていた。
そして、『おかしも』という呪文を意識しながら避難しており、これは『おさない』『かけない』『しゃべらない』『もどらない』の頭文字を取ったものであった。火災現場は一瞬の状況判断で、その命運が決定されることがあり、恐怖心が強く、冷静な判断が下せない生徒たちのために考えられたものであった。
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先生たちが生徒たちにルールを説明して行くと、ぼくはまず、担任のたかた先生のところへ行き、4から6の段を終えると1から3、7から9の段もしっかり終えることができた。それからはみんなで覚えられない子の相手をしてちゃんと学年全体が合格できるまで練習を行った。
そして予定より30分早い午後3時、生徒たちはスタンプをもらい終え、九九の授業を終えた。ゲーム感覚で覚えられて凄く楽しかったし、この授業のお陰で、今でも九九を暗唱できるくらいなので、いい経験になったと思う。
*誕生日会の話
この地域は穏やかな人が多かったこともあり、大人同士も子供たちも仲が良かった。いろんな子の『誕生日会』があってそこに呼ばれていつもとは違う感じでケーキを食べたりゲームをしたりするのが好きだった。
ぼくも毎年『誕生日会』を開いてもらっていて、その中でも一番よく覚えているのは2年生の時の誕生日会だった。その時には、はたの、しょうちゃん、かわのくん、もっちゃん、かめちゃん、つるちゃん、ぼくの妹、妹の友達のたけしくんが来てくれていた。部屋に飾り付けをし、庭にアルミでできたカラーのいろんな色のスズをちりばめて探す、『宝探し』をやった。
みんなちょっとずつ遠慮してくれて、ぼくが1番多くスズを手に入れることができ、スズを持っている子は母から賞品を受け取った。その後にいちごのショートケーキを切り分けて食べ、みんなからプレゼントをもらった。
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