夏から夏へ ~SumSumMer~

崗本 健太郎

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第12話 ハンコ注射

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*ダジャレとゴロの話
2年生の時にクラスで流行っていたゲームがあって、それはダジャレを言い合って10秒たっても出てこなくなったら負けというゲームだ。ダジャレとあらば、ふとんがふっとんだ、アルミ缶の上にあるミカン、ロシアの殺し屋おそろしやなど、誰が考えたんだか知らないが、なぜか国民のほぼ全員が知っているというものがあった。

「電話に出んわ!」
「コンドルがめりこんどる!」
「内臓がないぞう!」
「惑星はくせー」
「木星もくせー」
「妖怪に用かい?」
「絶好調な校長!」

「ジャイアン死んじゃいやん!」
「トイレにいっといれ!」
「レモンのいれもん!」
「ジャムおじさんがジャムを持参!」
「ねこが寝込んだ!」

「ダジャレを言うのはだれじゃ?」
「ドイツ人はどいつだ?」
「みつかんがみつかんない!」
「え~っと~。あー、思いつかない」

 といった具合だ。負けたからといって特にバツゲームなどはなく、そのまま平和に2回戦を行って、休み時間の10分間を過ごしていた。

 また、世間にはおもしろいゴロがあり、富士山の標高である3776mにちなんで『みんななろう』というなれるわけもないようなものや、2、4、6、9、11月が31日まででないという『西向くサムライ』などというものもあった。
このゲームを行ったあとは、お後がよろしいようで、みんななんだかウキウキした気持ちで授業にのぞめていた。


*なわとびの話
2年生の時にクラス中が『なわとび』にハマっていて、ぼくもその例外ではなく休み時間に練習していた。授業の合間の10分間の小休憩の時に、いつも机の横に掛けていたなわとびをひっつかんで持って行き、一生懸命に練習していた。中でも小学生にでもできる技の定番として有名な『二重飛び』が流行っていて、みんなで回数を競って遊んでいた。

男女混じって練習している中でも回数は多い方だった。授業で最初に1回成功してからは、2、3,5、10とどんどん記録が伸び続け、3,40回くらいはできていた。あまり運動神経が良くない子などは脇を閉めずに腕全体を回して練習していたので、全然上達していなかったりした。コツとしては腕を体の横に固定し、手首のスナップだけで行うといいだろう。

後はできるなら足を曲げずに軽く曲げて伸ばしたまま飛ぶと、上級者に見えてカッコイイと思う。練習するのが楽しくて、こういう些細なことがスキルを身に付ける喜びというものを知るいいキッカケになるんだと思う。
残念ながらさくらちゃんに褒められたことはなかったのだが、最終的に飽きてしまうまでに50回くらいはできるようになっていたので、頑張った甲斐はあると言える。


*ハンコ注射の話
2年生の時にクラスで一斉に『BCG (カルメット・ゲラン桿菌(細長い菌バシル)』の注射を打つ機会があった。致死率がほぼ100%で死の病と言われていた『結核』と呼ばれる病気を予防するためで、日本では1965年に作られたワクチンが使われていた。

 これはまず、小さな注射をして『ツベルクリン反応』というのを見て、そこで陰性であった子が受けるのだが、だいたいの子は陰性なので、結局は全員が受けることになっていた。小学生にとって注射とは恐怖する対象であり、みんなドキドキしながら順番を待っていた。

出席番号2番のぼくは、こういう時には早く生まれたことを後悔せずにはいられなかったのだが、そんなことを言っても仕方ないので観念して待っていた。1番のりゅうじくんが注射を終えて、
「全然痛くなかったよ」と言っていたのだが、ぼくは“ウソだ。りゅうじくんだからだろ?”と思っていた。
だが、実際に注射を受けてみると本当に痛くはなく、

「みんな、本当に痛くなかったよ!なんだかスタンプを押されたみたいだった」
 と言って安堵していた。これは恐らく日本の医療技術の凄いところで、痛みに弱い小学生のために『なるべく痛くないように改良に改良を重ねて』くれていたのだろう。注射が終わると、左腕の外側の肩より少し下の部分に『六つの斑点』ができていて、ちょうどサイコロの6のようになっていた。普段は忘れているのだが、大人になってからもこの跡を見る度にこの出来事を思い出している。
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