夏から夏へ ~SumSumMer~

崗本 健太郎

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第34話 初めてのホームラン

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*初めてのホームランの話
 4年生の時、仲間内でよく野球をやっている時期があった。近所の中之町公園でよくやっていて、同じクラスのきたとけんちゃんとよくやっていた。ぼくは当時、バッティングセンターに行ったことがなく、走ってばかりで球技には触れて来なかったので、力強く空振りするだけということが多かった。

 ある時、いつものように野球をやっていると、外野で守っていたきたがトイレに行くと言ってその場を離れ、練習だからとけんちゃんがボールを投げていた。ぼくも練習だからと軽くバットを振っていたのだが、そのうち、けんちゃんが投げたボールをバットが捕らえ、ボールが天高く飛んで行ったのだ。
その時の爽快感と言ったら、それまで体験したことがないくらいのもので、それはそれは大きいものだった。けんちゃんから

「けんたろう、今打ってもしゃーないやん」
 と言われはしたのだが、ぼくの中ではそれまで野球に対して漠然と抱いていた苦手意識が一気に払拭され、少し野球が好きになり始めた瞬間だった。その後、公園の中を流れていた川までボールを拾いに行き、トイレから戻って来たきたに

「なんで今やねん」と言われながらも野球を続けた。
この経験の後、力んで思いっきりバットを振るよりも、むしろ力を抜いて楽に流して振った方がボールに当たりやすく、飛びやすいということを学び、少しづつではあるがヒットが打てるようになって行った。


*体操の授業の話
4年生になると、転校して初めての体操の授業があり、その日は『跳び箱』をやることになっていて、その上で宙返りをやるというものだった。これは一見難しく見えるのだが、『跳び箱』の高さの分着地するまでに時間があるので、普通にマットの上でやるよりは断然簡単だった。

男子は6人くらいはできていたのだが、クラスの女の子では唯一できている子がいて、それが紺野だった。紺野はかなり運動神経が良くて、他の授業でも目立っていたのだが、この時ばかりは
「凄げえ」と歓声が上がったくらいだった。

小学生くらいだと、身長や運動神経の関係で、努力ではどうしようもないくらい差がつくもので、5段くらいの『跳び箱』を飛べずに苦労している子もいるくらいだった。
仲一は大葉小にいた頃とは違い、ガンガン運動をやるようなところだったので、千葉にいた頃には普通に跳ぶだけで退屈していたぼくにとって、この授業は凄く楽しかった。

授業が終わって、『耳』と呼ばれるマットの長い方の辺に輪っかになってついているところ(躓くと危ないので、毎回これをしまうようによく言われていた)を持って倉庫にしまいながら、転校してきてよかったと思えたのであった。


*終わりの会の話
 日本の学校には『終わりの会』というものがあり、ここでは今日あった問題行動を報告するということが行われていた。要は告げ口大会であり、ぼくはこういうやりとりが大嫌いであった。

この会については、印象に残っている出来事が二つあり、一つは仲が悪かった麻木とのやりとりだ。この日ぼくはちょっとしたことで、麻木と喧嘩になっていて、どうしても腹に据えかねるものがあったので会の最後に手を上げて発言しようと考えていた。

「今日麻木と喧嘩になって、叩かれて」ぼくがこう言うと、
「すみません、うちの子が」
関西のオカンが息子のことを謝っているのをマネしたような、人を小バカにした態度に、これはさすがにみんなもカチンときたのか、

「なんやねんその言い方。ちゃんと謝れや」と口々にぼくに加勢してくれた。
関西人は口は悪いが根は正直なので、曲がったことが大嫌いだと考えるのは良いところだと今でも思う。
 そして、もう一つ印象に残っている出来事は、掃除についての話である。

 これに関しては、『理不尽』というものを体験した瞬間でもあった。
「先生、おかもとくんは掃除の時間、適当に掃いて私たちに協力的でないんです」
 同じクラスの武藤さんにそう言われ、ぼくは些かショックを受けながら反論した。

「先生、違います。ぼくは真面目にゴミを集めていました」
ぼくがそう言うと、むとうさんもすかさず意見を言う。
「先生。おかもとくんはウソをついています。誰の目から見ても、おかもとくんはやる気がなかったです。ねえ、みんな」

むとうさんがそう言い終わると、一緒に掃除をしていた子たちもそれに賛同してしまった。この件に関してぼくに全く悪気はなく、ただ掃除が下手で、強く掃いてゴミをまとめることができないでいただけなのだが、武藤さんから見るとサボってホウキで遊んでいるように見えたのだろう。

「みんな武藤さんの意見を支持してるわ。先生は見ていなかったから確かなことは分かんけど、むとうさんがウソをついているようには思えんのよね~」
それを聞いた瞬間、武藤さんは普段見せることのないような勝ち誇った表情を見せた。

「ごめんなさい。次からはちゃんと掃除します」
 納得が行かなかったが、このまま責めら続けるよりは謝っておいた方がいいと判断し、不本意だが謝罪の言葉を口にした。ぼくはこの『裁判のようなしきたり』にどうしてもなじめず、千葉に居た頃を思い出しては帰りたいと嘆いていたのであった。


*学校の遊具の話
 仲山第一小学校には、それぞれが重なってできている『お城のような遊具』があった。転校初日に校庭に出て最も気になったものであり、実際に使ってみて楽し過ぎて感動した覚えがある。そこにはサンダーバードに出てくるような10本ののぼり棒があって、クラスの子たちと早のぼり競争をやったり、蹴り合って落ちたら負けというゲームをやったりした。

また、高さ10mほどで間が1回くぼんでいて、途中で1回はねて横に落ちそうになるすべり台があった。ケイドロをしている時にここから逃げると、下で捕まってしまうので手すりをつかんでのぼったり、途中で横に下りたりして結構危なかった。今にして思えば、みんなよく怪我をしなかったものだと思う。

あとは、8つほどの連続した2コースの『つり輪』があった。ここでは5、6年生くらいになると、身長の高い子は足がついてしまい、向こうまで楽々行けたり、低学年の子が落ちて手を骨折したりしていた。

 それと、その遊具のお城から少し離れたところにある『ブランコ』でもよく遊んでいた。ブランコの前に安全のための柵があるのだが、悪ガキだったぼくたちは、勢いよくブランコをこいで、その柵を飛び越えていた。かなり危ない行為だが、当時からアホだったぼくたちは、何のためらいもなくそれをやっていた。

 この時代の遊具は安全管理が不十分なものも多く、回転する遊具で子供が指を切ってしまったり、体が挟まってしまったりしていた。今、子供がいる親御さんは、公園の遊具を信用し過ぎず、自分の判断で遊んでもいい遊具かどうかというのを見極めてほしい。
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