今の世界が嫌になったので転生したら不遇職なうえに美少女になったんだが!?~転生引継ぎチートは不遇職でも最強です~

セツナセイ

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6.最強の盗賊はファンクラブについて考える

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「おいおい、思ったよりも観客が多いな」

 俺は町の一角に位置する教会に集まった人の多さに思わず声を漏らす。

「ほんとだね。これ100人くらいはいるよね。普通神告なんて身内くらいしか来ないのに」

 俺の隣で純白のドレスを身に纏ったユミルが感嘆の声を漏らす。

 これだけ多くの人が訪れる理由はいくつかあるがそのうちの一つが町で一番と呼ばれる美少女のユミルの一世一代の晴れ舞台を生で見たいということだろう。

 今日のユミルはべトレイル家の女性が神告を受けるときに代々身に着けてきたという純白のドレスを着ていて、その精緻な意匠と身体のラインを強調するシルエットは一応女をやっている俺でも思わず見惚れてしまうほど美しい。

「うわぁユミルちゃん可愛いなぁ」

 俺がユミルに見蕩れていると観覧者からも感嘆の溜息が漏れてきた。

 思わずそう言ってしまう気持ちもよくわかる。

 あの出るところはちゃんと出ているにも関わらず腰元なんかはきちんとくびれているユミルの抜群のプロポーションが張り付くような純白のドレスでより強調されているのだ。

 それに比べて俺は割と普段着に近い恰好で教会に来ている。母さんと父さんは俺にドレスを着せたがっていたが、俺が断固拒否したためだ。

 まあ、拒否した理由は簡単だ。俺は生まれてこのかたスカートというものに強い苦手意識を持っているからだ。流石に前世最強とまで言われた俺があんな何を目的としているのかわからないひらひらを身に纏うのは抵抗がある。

 そもそも平穏を目指す俺は悪目立ちする必要はないのだ。幸い観客の注目はユミルに注がれてるし、俺は平然と神告を受けるだけでいいだろう。

「いやでもユミルちゃんも可愛いんだけど俺はギルハートちゃん派かな。あの切れ長の目に整った顔立ち何より全てを見下しているかのようなあの視線がたまらない」

「わかる! ユミルちゃんが小動物系の美少女だとしたらギルハートちゃんは狼系の美少女だよな」

「そうなんだよ! 二人のファンクラブに入ってる身からしたら今日この日に立ち会えるなんてほんとに生きててよかった」

  おい、ちょっと待てあいつら何言ってんだ!? ユミルはともかく俺にもファンクラブがあるのか!?

 予想外の言葉に思わず声のした方を振り返る。するとなぜか自分で自分を抱きしめ悶えるような仕草をされた。なお、あいつらの目はハートマークになっていた。

 マジか。あいつらの目は大丈夫か。確かに幸い俺は母さん似だから顔立ちは悪くないが、でも町一番の美少女のユミルに並べられる程ではないだろ!?

「ああ、この町のトップ2の美少女の神告に立ち会えるなんてほんと幸せだ。今日のこの観覧席も倍率100倍はあったからな」

 この町トップ2だと!? というか倍率100倍って俺らのファンクラブの規模っていったい……

 そこで俺はおもわず身を固めた。

「どうしたの? ギルちゃん。固まって。もしかして緊張しちゃった? ギュッてしてあげよっか?」

「いやなんでもない。てか、やめろ抱き着いてくるな! 人前だぞ」

 人前だというのに躊躇なく俺を抱きしめようとするユミル。

 なぜかギャラリーから黄色い声援が上った。

 そんな俺らの様子を見て二階席にいるユミルの父親と俺の親たちが何事か話し始める。

「はっはっは。相変わらずうちのユミルはギルハート君に懐いておるな」

「そんな恐縮ですアマギ様。こちらこそいつもユミル様にはギルハートと仲良くして頂き光栄です」

「アレクよ。そんなかしこまるな。アレでユミルは結構な人見知りでな。心許せる友人がいるというのは親としては本当に心強いのだ。ギルハート君にはほんとに感謝してるよ」

「そう言って頂けると私も一人の親として嬉しい限りです。お互い愛娘に幸ある神告であることを願うばかりですね」

「ああ、間違いないな」


 二階席から俺らを笑顔で眺めながら談笑する父とこの町の領主であるユミルの親父さんを尻目に教会の大神官が高らかに声を上げた。


「それでは皆様静粛に。これよりユミル・べトレイルならびにギルハート・フォルネウスの神告を開始いたします」

 その言葉にいままでのざわめきが嘘のように会場が静まりかえった。

 いよいよ神告が始まるのだ。
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