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10月23日
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朝起きると携帯電話にメッセージが届いていた。
「23日ね。了解。」
なんのことだろう。記憶を辿ってみるがすぐ諦める。メールをやり取りしたことなど全く覚えていないのだ、きれいサッパリ頭から抜け落ちている。答えをたぐりよせられそうなヒントのかけらも感じない。どうせラインのメッセージなのだから頑張って思い出そうとしなくてもアプリを開いてやりとりを確認してみればいいか。そうやってモノに頼って脳みそは退化していくのだろう。
「23日ね。了解。」
それだけ。前後のやりとりはない。相手はだいぶ前に退社した元同僚。やめてから何度かのみにいったがとくに次会う予定もない。はず。気安い相手なのですぐメールで確かめればいいのだけど猛スピードで退化していく自分の脳みそのことを思い、もうしばらく頑張ってみることにした。
10月23日。
この日付にとくにピンとくることはない。誰かの誕生日とか記念日でもなかったと思う。ためしにネットで検索してみる。
「電信電話記念日」、物質量の単位「モル」の日。なんだ、モルって。「1モルは6.02×10の23乗の」「アボガドロ定数の粒子のあれこれ…」当然アボカドが頭に浮かぶ。化学の成績は2だった。アボカドといえば最近、回転寿司屋で出てくるアボカドロールがお気に入りだ。アボカドとエビフライと卵焼き、とびっこ。生ものに少し飽きたタイミングにちょうどいい。そんな脱線をして、理解をすることから逃げ出そうとしたが、辛抱してもう少しモルについてがんばってみる。
小学生でもわかるmol解説と銘打ったネットの記事を読んでみる。親切な人がいるもんだ。
1mol=6000概。ダースの仲間。
親に「米粒1800粒炊いておいて」なんて言われたら、どうします?だから、お米にも3合とか、1俵とか、まとめて数える単位がありますよね。分子も一緒です。
なるほどなんだかとっつきやすくはなった。つまり、まぁ、そういうことなんだろう。と、納得したつもりになったとたん、オレの脳みそは大量のアボカドの映像を写し始めた。化学レベルが2しかないのだ。これ以上はむりのようだ。化学の時間は休憩にすることにして電車の窓から青い空を眺める。栗饅頭を二乗で増やし続け地球滅亡の危機に追いやったドラえもんのエピソードを思い出していたところで池袋についた。
昼まで考えて思い出さなければメールを送ってきた本人に聞いてみよう。多少負けた気持ちにはなるがそれほどでもないし、大事な用事だったら困ると思いながら仕事を始めた。
しかし、どういうわけかそのことはぷっつりとオレの頭のなかから消える。
大量のアボカドに埋まって消滅したか。クライマックスシリーズに苦戦しているライオンズへのモヤモヤもその要因のひとつかもしれない。そしてどんな偶然かその日妻が用意してくれていた晩ごはんは寿司だった。スシローのテイクアウトだ。オレの気持ちの大半を占めていたアボカドへの気持ちはアボカドロールを食べるというという最良の形で消化した。もう思い残すことはない。
ようやく思い出した、というか、思い出させられたのはその日の前日。メールが来たのだ。
ただし相手が違う。内容は「明日、よろしく」。
今度のやつは最初のやつとの繋がりはない。もちろん、というのもおかしな話だがまったく覚えがない。気味がわるい。
それで終わらなかった。
似たようなメールが6000件届いた。やめてほしい。
着信がひっきりなしでちっとも使用できないのでスマホは電源を切ってリュックの中に放り込む。なにも解決してはいないがとりあえずほっとして家に帰った。
家に着くのは10時過ぎだ。幼稚園児の娘と早起きの妻は大抵寝ている。この日もそうだ。シャワーを済ませて用意してもらった夕食をたべながらビールをのんでスポーツニュースを見ていた。クライマックスシリーズでライオンズにぼろ勝ちしたホークスとジャイアンツの日本シリーズ3戦目のダイジェスト。ホークスの一方的な展開ですでに3勝目。ジャイアンツファンの気持ちは痛いほどわかる。なすすべなし。
ピンポーン
誰だこんな時間に。23時。ふつうに怖いが恐る恐るモニタを覗く。誰もいない。けれどなにか違和感がある。モニタが揺れてるのか、どうも不明瞭だ。しかたがないので鍵を開け思い切ってドアを開けると目の前には品の良さそうなアボカドが立っていた。
夜分遅くに申し訳ない。しかし我々も急いでいてね。
我々。なるほど彼の後ろにも数十人アボカドがたっていた。
ご覧の通り我々はアボカド星人だ。家に帰りたい。
それならとっとと帰って欲しい。
とにかく中で話をしようじゃないか。
早く帰って欲しいのだがうちの周りにこんなにたくさんアボカドが、しかもこんな時間に集まってるとなるとご近所迷惑なので仕方がない。中に入ってもらうことにする。
アボカド星人の好みは知らないがとりあえずビールを出すとうまそうにのみはじめた。ほとんど一気にのみほした。いそいでここまできたのか。
われわれは200万年前から地球にいる。
太古の時代から人類と共存はするが干渉せず、たまに予言をさずけたり、知恵を授けたりして過ごしてきた。われわれの星は地球よりも遥かに文明が進んでいるからな。そしてこれからも大きな接触を持つ気はない。今まで通り普通にくらしていくだけだ。
夜中に何十人も家にあがりこまれて、初対面のアボカドとビールを飲んでることはお礼にとってはかなり大ごとの部類に入る出来事だが。
それでだ。初めにも言ったが明日、もう直ぐ明日を迎えるわけだが、田舎に帰ろうと思ってな。里帰りというやつだ。君の田舎はどこだ?
生まれは隣の狭山市なのでここが田舎みたいなもんです。両親は父親の生家がある北海道に移住してるんですが、故郷とは違いますね。
北海道。いいところだな我々も行ったことがあるぞ。カニを食べた。あとスキーをしたな。サラサラのパウダースノーだった。お土産にジャガポックルか白い恋人を買おうか悩んだんだが決められなくて両方買ったよ。
恐ろしく普通だとがっかりした。心のどこかでアボカド星人流北海道の楽しみ方みたいことを期待してたらしい。
なるほど。カニ美味しいですよね。それで、他には何をしたんですか?
他にはそうだな。
おおそうだ。知床岬という場所で流氷を見るツアーに参加したぞ。それはもう素晴らしい景色が---
もういい。
それで、いつ帰るんですか。故郷に。
そう、そのことだった。明日なのだ!いそがなければ。それでこんな遅くに君のところへきたのだ。
夜遅くという自覚があるようで少しほっとした。
きみの電話、壊れたのか?
え?いや、壊れてないですよ。
故郷から迎えを寄越してもらうのに君の電話を利用させてもらっていたんだ。しかし半日ぐらい通信ができなくなってしまってな。近くまで来てるはずなんだがこのままだと道に迷ってしまいかねない。迎えのUFOがね。
わずかに「UFO」のところで声色がかわる。喜ぶと思っているのだろう。図星だ。
携帯ならメールの着信がうるさすぎるので電源オフにしましたよ。
なんと!そうだったのか。すまないがいますぐ電源をいれてくれ。間に合わなくなる。おお、ありがとう。そうだそうだ。うん。しばらく利用させてくれ。ーーーよし、大丈夫だ。
何時間かたった。
オレのケータイはずっとブーブー言ってる。
流石に煩かったのかむにゃむにゃ起きてきた娘はいつのまにかアボカドたちにおもちゃのごはんをふるまっている。気が合うらしい。品の良いアボカドはしゃべるのがすきらしく、ずっと話しかけてくる。正直もう寝たい。
帰ろう、帰ろうと思っていたんだがなかなか、その機会がなくてね。
普段、何に忙しいのか一瞬気になったがどうせがっかりするだけなので聞かないでおいた。
だが、我々の仲間がこの日の存在を知った。帰るのはこの日だ。皆がそう思った。そうだ。今日はアボカドの日だからな!!
この人もきっと化学は2だったんだろう。
その瞬間外が明るくなった。ピカーッという光ではなく、全体に行き渡る豆電球みたいなぬるっとした明るさだった。がやがやといいながら入り口に近いアボカドたちから移動を始める。老人会のバス旅行みたいな感じ。娘はアボカドたちに向かって手を振ってる。自分も行くと言い出しかねなかったので心底ほっとした。
さて、名残惜しいがそろそろ行かなければならない。君には大変迷惑をかけた。
電波乗っ取りに深夜の集団訪問。迷惑どころじゃない。
ただ、UFOはひと目見たいと思って外まで見送ることにした。我が家の真横は元月極駐車場で空き地になってる。UFOはそこに鎮座していた。見上げたそれはまるっきり巨大なアボカドのそれだった。いったいどこまでがっかりさせれば気が済むのだろう。いや、むしろもはやこれを期待している自分がいるのだけど。
ガルウィング式に開いた扉から次々とみんなは乗り込んでいき、品の良いアボカドが最後に残った。
では、行ってくるぞ。だが地球人よ。近い将来われわれは必ずや戻ってくる。
ただの里帰りだからな。
くるっと振り向き、品の良いアボカドは階段に足をかけた。飛ぶためのエネルギーが充満しているのか巨大なアボカドは最初より明るく光を放っている。そこで彼は、おおそうだ!と立ち止まりまたこちらを向いた。
世話になった礼だ。君にわれわれから予言をさずけよう。そういうとアボカドは上を向く。ぶつぶつ呟く。強烈に発光しはじめる。雄叫びをあげる。やがて発光が収まる。汗だくになる。息が切れてる。呼吸を整える。キリッとこっちを正視する。読み上げる!!と言う。
多分、全部やらなくていいやつだろう。
ホークスが勝つ。
いや、言うなよそれは。
最初のメールの時みたくすっぽり忘れるもんかと思ったが、しっかりこの迷惑な出来事は覚えている。またくるといいね。と娘も無責任なことをたまにいってる。
またくるといいね。か。
そうだ。早く帰ってこい。
帰ってきて、このデタラメな携帯の請求額をなんとかしてくれ。
「23日ね。了解。」
なんのことだろう。記憶を辿ってみるがすぐ諦める。メールをやり取りしたことなど全く覚えていないのだ、きれいサッパリ頭から抜け落ちている。答えをたぐりよせられそうなヒントのかけらも感じない。どうせラインのメッセージなのだから頑張って思い出そうとしなくてもアプリを開いてやりとりを確認してみればいいか。そうやってモノに頼って脳みそは退化していくのだろう。
「23日ね。了解。」
それだけ。前後のやりとりはない。相手はだいぶ前に退社した元同僚。やめてから何度かのみにいったがとくに次会う予定もない。はず。気安い相手なのですぐメールで確かめればいいのだけど猛スピードで退化していく自分の脳みそのことを思い、もうしばらく頑張ってみることにした。
10月23日。
この日付にとくにピンとくることはない。誰かの誕生日とか記念日でもなかったと思う。ためしにネットで検索してみる。
「電信電話記念日」、物質量の単位「モル」の日。なんだ、モルって。「1モルは6.02×10の23乗の」「アボガドロ定数の粒子のあれこれ…」当然アボカドが頭に浮かぶ。化学の成績は2だった。アボカドといえば最近、回転寿司屋で出てくるアボカドロールがお気に入りだ。アボカドとエビフライと卵焼き、とびっこ。生ものに少し飽きたタイミングにちょうどいい。そんな脱線をして、理解をすることから逃げ出そうとしたが、辛抱してもう少しモルについてがんばってみる。
小学生でもわかるmol解説と銘打ったネットの記事を読んでみる。親切な人がいるもんだ。
1mol=6000概。ダースの仲間。
親に「米粒1800粒炊いておいて」なんて言われたら、どうします?だから、お米にも3合とか、1俵とか、まとめて数える単位がありますよね。分子も一緒です。
なるほどなんだかとっつきやすくはなった。つまり、まぁ、そういうことなんだろう。と、納得したつもりになったとたん、オレの脳みそは大量のアボカドの映像を写し始めた。化学レベルが2しかないのだ。これ以上はむりのようだ。化学の時間は休憩にすることにして電車の窓から青い空を眺める。栗饅頭を二乗で増やし続け地球滅亡の危機に追いやったドラえもんのエピソードを思い出していたところで池袋についた。
昼まで考えて思い出さなければメールを送ってきた本人に聞いてみよう。多少負けた気持ちにはなるがそれほどでもないし、大事な用事だったら困ると思いながら仕事を始めた。
しかし、どういうわけかそのことはぷっつりとオレの頭のなかから消える。
大量のアボカドに埋まって消滅したか。クライマックスシリーズに苦戦しているライオンズへのモヤモヤもその要因のひとつかもしれない。そしてどんな偶然かその日妻が用意してくれていた晩ごはんは寿司だった。スシローのテイクアウトだ。オレの気持ちの大半を占めていたアボカドへの気持ちはアボカドロールを食べるというという最良の形で消化した。もう思い残すことはない。
ようやく思い出した、というか、思い出させられたのはその日の前日。メールが来たのだ。
ただし相手が違う。内容は「明日、よろしく」。
今度のやつは最初のやつとの繋がりはない。もちろん、というのもおかしな話だがまったく覚えがない。気味がわるい。
それで終わらなかった。
似たようなメールが6000件届いた。やめてほしい。
着信がひっきりなしでちっとも使用できないのでスマホは電源を切ってリュックの中に放り込む。なにも解決してはいないがとりあえずほっとして家に帰った。
家に着くのは10時過ぎだ。幼稚園児の娘と早起きの妻は大抵寝ている。この日もそうだ。シャワーを済ませて用意してもらった夕食をたべながらビールをのんでスポーツニュースを見ていた。クライマックスシリーズでライオンズにぼろ勝ちしたホークスとジャイアンツの日本シリーズ3戦目のダイジェスト。ホークスの一方的な展開ですでに3勝目。ジャイアンツファンの気持ちは痛いほどわかる。なすすべなし。
ピンポーン
誰だこんな時間に。23時。ふつうに怖いが恐る恐るモニタを覗く。誰もいない。けれどなにか違和感がある。モニタが揺れてるのか、どうも不明瞭だ。しかたがないので鍵を開け思い切ってドアを開けると目の前には品の良さそうなアボカドが立っていた。
夜分遅くに申し訳ない。しかし我々も急いでいてね。
我々。なるほど彼の後ろにも数十人アボカドがたっていた。
ご覧の通り我々はアボカド星人だ。家に帰りたい。
それならとっとと帰って欲しい。
とにかく中で話をしようじゃないか。
早く帰って欲しいのだがうちの周りにこんなにたくさんアボカドが、しかもこんな時間に集まってるとなるとご近所迷惑なので仕方がない。中に入ってもらうことにする。
アボカド星人の好みは知らないがとりあえずビールを出すとうまそうにのみはじめた。ほとんど一気にのみほした。いそいでここまできたのか。
われわれは200万年前から地球にいる。
太古の時代から人類と共存はするが干渉せず、たまに予言をさずけたり、知恵を授けたりして過ごしてきた。われわれの星は地球よりも遥かに文明が進んでいるからな。そしてこれからも大きな接触を持つ気はない。今まで通り普通にくらしていくだけだ。
夜中に何十人も家にあがりこまれて、初対面のアボカドとビールを飲んでることはお礼にとってはかなり大ごとの部類に入る出来事だが。
それでだ。初めにも言ったが明日、もう直ぐ明日を迎えるわけだが、田舎に帰ろうと思ってな。里帰りというやつだ。君の田舎はどこだ?
生まれは隣の狭山市なのでここが田舎みたいなもんです。両親は父親の生家がある北海道に移住してるんですが、故郷とは違いますね。
北海道。いいところだな我々も行ったことがあるぞ。カニを食べた。あとスキーをしたな。サラサラのパウダースノーだった。お土産にジャガポックルか白い恋人を買おうか悩んだんだが決められなくて両方買ったよ。
恐ろしく普通だとがっかりした。心のどこかでアボカド星人流北海道の楽しみ方みたいことを期待してたらしい。
なるほど。カニ美味しいですよね。それで、他には何をしたんですか?
他にはそうだな。
おおそうだ。知床岬という場所で流氷を見るツアーに参加したぞ。それはもう素晴らしい景色が---
もういい。
それで、いつ帰るんですか。故郷に。
そう、そのことだった。明日なのだ!いそがなければ。それでこんな遅くに君のところへきたのだ。
夜遅くという自覚があるようで少しほっとした。
きみの電話、壊れたのか?
え?いや、壊れてないですよ。
故郷から迎えを寄越してもらうのに君の電話を利用させてもらっていたんだ。しかし半日ぐらい通信ができなくなってしまってな。近くまで来てるはずなんだがこのままだと道に迷ってしまいかねない。迎えのUFOがね。
わずかに「UFO」のところで声色がかわる。喜ぶと思っているのだろう。図星だ。
携帯ならメールの着信がうるさすぎるので電源オフにしましたよ。
なんと!そうだったのか。すまないがいますぐ電源をいれてくれ。間に合わなくなる。おお、ありがとう。そうだそうだ。うん。しばらく利用させてくれ。ーーーよし、大丈夫だ。
何時間かたった。
オレのケータイはずっとブーブー言ってる。
流石に煩かったのかむにゃむにゃ起きてきた娘はいつのまにかアボカドたちにおもちゃのごはんをふるまっている。気が合うらしい。品の良いアボカドはしゃべるのがすきらしく、ずっと話しかけてくる。正直もう寝たい。
帰ろう、帰ろうと思っていたんだがなかなか、その機会がなくてね。
普段、何に忙しいのか一瞬気になったがどうせがっかりするだけなので聞かないでおいた。
だが、我々の仲間がこの日の存在を知った。帰るのはこの日だ。皆がそう思った。そうだ。今日はアボカドの日だからな!!
この人もきっと化学は2だったんだろう。
その瞬間外が明るくなった。ピカーッという光ではなく、全体に行き渡る豆電球みたいなぬるっとした明るさだった。がやがやといいながら入り口に近いアボカドたちから移動を始める。老人会のバス旅行みたいな感じ。娘はアボカドたちに向かって手を振ってる。自分も行くと言い出しかねなかったので心底ほっとした。
さて、名残惜しいがそろそろ行かなければならない。君には大変迷惑をかけた。
電波乗っ取りに深夜の集団訪問。迷惑どころじゃない。
ただ、UFOはひと目見たいと思って外まで見送ることにした。我が家の真横は元月極駐車場で空き地になってる。UFOはそこに鎮座していた。見上げたそれはまるっきり巨大なアボカドのそれだった。いったいどこまでがっかりさせれば気が済むのだろう。いや、むしろもはやこれを期待している自分がいるのだけど。
ガルウィング式に開いた扉から次々とみんなは乗り込んでいき、品の良いアボカドが最後に残った。
では、行ってくるぞ。だが地球人よ。近い将来われわれは必ずや戻ってくる。
ただの里帰りだからな。
くるっと振り向き、品の良いアボカドは階段に足をかけた。飛ぶためのエネルギーが充満しているのか巨大なアボカドは最初より明るく光を放っている。そこで彼は、おおそうだ!と立ち止まりまたこちらを向いた。
世話になった礼だ。君にわれわれから予言をさずけよう。そういうとアボカドは上を向く。ぶつぶつ呟く。強烈に発光しはじめる。雄叫びをあげる。やがて発光が収まる。汗だくになる。息が切れてる。呼吸を整える。キリッとこっちを正視する。読み上げる!!と言う。
多分、全部やらなくていいやつだろう。
ホークスが勝つ。
いや、言うなよそれは。
最初のメールの時みたくすっぽり忘れるもんかと思ったが、しっかりこの迷惑な出来事は覚えている。またくるといいね。と娘も無責任なことをたまにいってる。
またくるといいね。か。
そうだ。早く帰ってこい。
帰ってきて、このデタラメな携帯の請求額をなんとかしてくれ。
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