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9月 リリィさんと海 (後編)
3 心当たり
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俺には一つ心当たりがあった。リリィさんの行きそうなところ、あの日、花火の帰り道、俺に紹介してくれた、道路から見えない防波堤、崖下のあそこ。アパートの路地を抜け、道路に出て、目の前の防波堤に登れば直線的にそこが見えるはず。俺はまずその防波堤に向かうことにした。
白いセメントか何か知らないけど高さ2mの防波堤に俺は勢いをつけよじ登って、上半身だけを防波堤の上に預けて、右の方、凡そ150m先のこの防波堤に登らないと見ることが出来ない、リリィさんがいると思っていたそこに、顔を向けたのだが、そこはずっと先、迂回する道路が再び戻って来る300m先、もっと言えば更に奥の港の方まで防波堤の上に人影は見えなかった。
「念のため見てみるか……」
俺はそのまま、防波堤の上に乗り、その上に立ち前方に広がる太平洋を望みながら左右の砂浜にリリィさんの面影を追った。
防波堤の上に立つと、今まで聞こえていなかった波の音が急に聞こえてきて、強めの海風が身体に吹き付けて、9月の晴天の暑さを忘れさせてくれる。海はその風のせいで海面から細かい海水のミストとなって海面に薄いモヤがかかったような光景を見せ、遠くの港や灯台の景色が霞んでいた。
そして……
白いセメントか何か知らないけど高さ2mの防波堤に俺は勢いをつけよじ登って、上半身だけを防波堤の上に預けて、右の方、凡そ150m先のこの防波堤に登らないと見ることが出来ない、リリィさんがいると思っていたそこに、顔を向けたのだが、そこはずっと先、迂回する道路が再び戻って来る300m先、もっと言えば更に奥の港の方まで防波堤の上に人影は見えなかった。
「念のため見てみるか……」
俺はそのまま、防波堤の上に乗り、その上に立ち前方に広がる太平洋を望みながら左右の砂浜にリリィさんの面影を追った。
防波堤の上に立つと、今まで聞こえていなかった波の音が急に聞こえてきて、強めの海風が身体に吹き付けて、9月の晴天の暑さを忘れさせてくれる。海はその風のせいで海面から細かい海水のミストとなって海面に薄いモヤがかかったような光景を見せ、遠くの港や灯台の景色が霞んでいた。
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