異世界侍(A different world samurai )

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エピソード2

3話

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ヴァリスタン大臣暗殺事件で騒ぎになっているこのご時世、エスタン王は怒りに表情を浮かべていた、王の前にキャロルとエリーゼが跪いている
「阿久津翔太はまだ、見つからないのか?」
エスタン王が冷静に言う、だが怒りのオーラが出ていた
「エスタン王、翔太が犯人だって証拠はあるんですか?」
キャロルが訪ねる
「証拠?多くの人が翔太と同じ武器を持っていたと証言している、翔太が持ってる剣の名前は、刀、と言うらしいな、その武器を持ってる剣士はヴァリスタンにもいるそうではないか」
エスタン王が言う
「エスタン王、私は翔太が無意味にこんな非道な事をするような人物に思いません、確かに彼の戦闘能力は冷酷非道なのかもしれないけど、両国を混乱に陥れる事はあり得ないと思います」
ドン!!!
「騎士の分際で偉そうに意見を言うんじゃない!」
エスタンが拳で椅子の肘掛け叩いた、相当、お怒りになっている
エリーゼが硬直している
「エスタン王、私は思うんです、もし両国が混乱して戦争になれば、これは仕組まれ計画だと思うんですよ、エスタン兵の阿久津翔太の真似をした誰かが、ヴァリスタン大臣を暗殺すれば、大義名分でヴァリスタン王国がエスタン王国に侵略するだろうと」
キャロルが考察する
「ほう、もしそれが本当なら黒幕をさっさと捕らえるが良い、できないなら翔太の首を献上しろ、いいな」
エスタン王が命令を下す
「王殿、阿久津翔太は犯人ではありません!」
背中をから声が聞こえる、後ろからエスタン大臣が来た
「私は翔太殿に命を救われました、私は、あの剣、刀を持った剣士は3人居るとおもいます、1人目は阿久津翔太、2人目はヴァリスタンの兵、3人目が阿久津翔太を真似た犯人、情報によりますと、刀を持ったヴァリスタンの兵は阿久津翔太を真似た刀を持った剣士と交わったと聞きました、刀を持ったヴァリスタンの兵が自国の大臣を暗殺すると思いませんし、そう思うと3人目の刀の剣士が浮かび上がるのです」
エスタン大臣が説明する
(三人目の刀の剣士...翔太が庇ったアイツか、だがアイツは操られていたと翔太が言ってた、あの時にいた、黒い魔術師...アイツは翔太と殺り合ってた、俺とエリーゼと達也?だっけ?駆けつけた時、直ぐに消えた奴)
キャロルが思い当たる事を思い出す
「エスタン王、私は翔太の捜索の旅に出ます」
キャロルが言う
「私も追うわ、真実が知りたい」
エリーゼも同調する
「いいだろう、だが、早く帰還しろ、ヴァリスタン王国が侵略する前にこの混乱を鎮めるのだ」
「はぁ!」

その頃、ヴァリスタン付近では
 
達也とレーナが道端を歩いていると、数人のヴァリスタン兵に囲まれた、達也とレーナではこの人数を倒すのは不可能だった
「ヴァリスタン王の命令で裏切り者を粛清する」
(やはり、俺たちを囲うって事はヴァリスタン王も黒って事だな)
達也は持ってた煙幕を使いマリファナの成分をばら撒いた、達也がリーナの腕を掴み煙幕の中、走り抜けた
「え?!何?ちょっと!」
ヴァリスタン兵は煙幕の中、散布されたマリファナの成分で苦しんでる、二人はそのまま消えて、追跡を振り切った
「はぁ~はぁ~どうして、私達は狙われてるの?」
リーナがヘトヘトになっている
「囲みにあって察したよ、あの工場はヴァリスタン王、公認の工場だってね、あの米軍兵と工場長とは裏で繋がってる、マリファナというな危険な薬物をエスタン王国侵略に使うつもりかもしれん、マリファナは洗脳だけじゃない、人を壊す事だって出来る、犠牲になるのエスタン国民、女と子供は絶対にこのマリファナから遠ざけなければならない」
達也が言う、達也はリーナに水を差し出した
「あら、気が効くわねぇ」
「君は不幸だよね」
「そうかな?寧ろ真実を知る為に戦うのも悪くないわ」
「頼もしいな」
「エヘヘ」

ヴァリスタン城内 玉座の間

「どうやら、非国民は逃げたよですね ん?誰だ!?」
米軍兵がハンドガンを撃つ、シャンデリアのコードを射抜いた、裕也はシャンデリアの上で盗み聞きがバレた、ガッシャー!!と大きな音が鳴る
「イテテェ、エスタン王国の情報収集が終えてヴァリスタンの陰謀活動していたら、まさか、貴様がこの世界にいるのかってつい驚いて身を上手く隠し続けられなかったよ、貴様は多くの日本人と日本兵をその背中に背負ってるロングソードで屠った米軍の部隊長『エドワード・レイチェル・ニクソン』」
「ほう、私の名を知ってるか?まさか、私と同じ我が軍の兵器の『光』に呑み込まれ、この世界に偶然迷い込んだ日本人なんだな」
エドワードがニヤリながらう言う、2人はこの世界の人に理解できない会話をする、異世界からきたんだから
「自業自得で死ねばよかったのに...」
裕也が言い返す
「貴様達は言った何の話をしている」
ヴァリスタン王が言う
「王殿、コイツと私はただ因縁深いだけです、お気になさらないで下さい」
そう言うと、エドワードはロングソードとハンドガンを構えた
(ちぃっ こんな時に聖凛刀を隠すんじゃなかった、布で隠しながら持っておくべきだった)
エドワードが先制攻撃でハンドガンを撃った、裕也が弾の軌道を読んで避ける、そのまま撤退しようとする
「フン、逃げろ逃げろ犬侍、ワンワンワン!」
嘲るようにハンドガンを撃つ、犬の鳴き声に掛け合わせて、裕也は逃げる、ヴァリスタン兵が囲もうと包囲網を取る、裕也は翔太にも負けない超越な身体能力の持ち主、もの凄い動き兵達を避ける
「あの犬侍!武士道の面汚し!!!」
満民の笑顔を浮かべて嘲るエドワード、裕也はどこか城内から脱出した、そして城下町で一般人のフリをしてその身をやり過ごす、城下町では不穏の空気と噂が漂っている、裕也はヴァリスタン大臣を殺めた事に凄い罪悪感を感じてた、黒幕に操られて、敵から逃げては、仲間から同情される、無意識の罪を被る、犬侍という軽蔑が強く裕也の精神に響いた、新しく服装を着替えた着心地で病んだ精神は和らぐ、ヴァリスタン兵が辺りを捜索する、下手に動くと怪しまれる
「ねぇ、どうしたの?」
一人の少女がパンを持って話しかけてきた
「アンタは誰ですか?」
「私、パン職人でセレナって言うの、あなたは何か悩んでいるから、つい心配しちゃって話をかけてみたの」
セレナがパンを差し出した
「これは?!パン!これを僕にか?」
「お代は取らないわ」
セレナは笑顔で去っていく、裕也はそのパンを齧る、メチャクチャ美味しかった、美味しいだけじゃない、どこから愛情と優しさを感じた、ヴァリスタン王国の名物の一つであるヴァリスパンは人気を博してた、裕也はパン屋に行った、翔太と達也の分まで買い出しに行った、相変わらず兵達が理不尽に職務質問をしている、パン屋らしき屋台に行くとガラの悪い兵2人に絡まれていた
「おい!パン屋出てこい!」
周りの事を気にせず大きい音でドアを叩く、裕也が後ろで見張ってる、パン屋の店主が2階から降りて来た、その娘であるセレナって女性も降りて来た
「何の御用でしょうか?」
「あん!最近、売上がよろしいじゃねぇ~か 店主さんよ~」
「はぁ~」
「はぁ~じゃねぇーよ!やっぱ看板娘が可愛いからか」
セレナが嫌悪な目で、兵2人を見つめる
「お!?うまそう」
ムシャムシャとガラの悪いが平気でパンを無断飲食をする
「所で店主さん~よ、最近、この国に裏切り者と非国民とスパイが入り込んで、城下町も住民が神経質になってんのよ、何か情報とか噂とかない?」
兵2人はパンを食い漁り、食べかけを地面に落とす、裕也は後ろで奴らの傍若無人を見てた
「うちはただのパン屋、そんな情報知らないです」
店主が言う
「あっそう」
下品にくちゃくちゃと食べながら鳴らす
「アンタらお金を払わないなら弁償してよ!てゆうか帰ってよ、穢らわしい!」
セレナが怒鳴る
「あん?!テメェーらのパンが流行るのは、看板娘がいるお陰だろ?ちょっとベッドで調教しようか!」
野蛮な兵はセレナの腕を強引に掴み2階に上がろうとする
「ちょっと、辞めてください!」
父親である店主が止めようとすると、兵が平手打ちで店主の頬を叩いた、そのまま強く頭を打った、
「イヤァァァァァァ!!!」
悲鳴をあげるセレナ、裕也は落ちている石ころを拾って全力で後頭部に向けて投げた、ごつん!といい音が鳴った
「誰だ!?」
兵が後を振り向く、裕也がもう一つの石ころを2人目の兵に投げた、石ころは鼻に当たり、鼻血を出しながら変形した、痛みで後頭部と鼻を押さえる兵2人
「セレナ!パンをくれた御礼だ!」
裕也がファイティングポーズをする、この程度なら何とかなる、兵が武器を構える前に裕也は腕を掴みそのままへし折る、そのまま素早く2人目の兵の片脚を砕き歩けないようした
「次、横暴な態度で調子に乗ってたら、目を潰す、いいな!」
兵が逃げる、店主が裕也の手を掴み、礼をしてくれた
「あの、晩飯を食べて泊まって行きませんか?」
店主が裕也に御礼の案を出す、裕也はその厚意に甘えた、晩飯はシチューとこの店の特有のパンをご馳走になった
「貴方は何者なんですか?ただの強い旅人じゃないよね?」
店主がそう訪ねる、裕也は誤魔化す事を考えた、せっかく優しくしてくれる家族に嘘をつく事に後ろめたさを感じるが、真実を明かして戦乱に巻き込むよりはマシだ、だってヴァリスタン大臣を殺したのは俺なんだから
「ヴァリスタン大臣が暗殺されて、大義名分の為にエスタン国を侵略戦争をしようとする噂がありますよね」
「ええぇ~そうね、私たちはただ美味しいパンを作りたいだけなのに、どうして国と国の戦乱なんかに巻き込まれなくていけなのかしら」
「そうだな、ヴァリスタンとエスタンは仲が悪いって言うけど、私が作るパンを美味しいと言ってくれる人はみんな同じ人間だ、国境も民族も思想も関係ないよ」
「パパの言う通りだわ」
裕也が先に食事を済ます、そして皿を洗いに大ところに向かった、皿を洗いながら裕也が言う
「店主はさっき、僕に何者か?って、聞いてたよね?僕はヴァリスタンとエスタンの戦争を食い止める為に密偵に来た諜報員だよ」
裕也が誤魔化す
「なるほど、だから兵を軽々と対峙出来るのですね!」
店主が納得した、上手く誤魔化した
「あの~パン屋の店主が言うのもなんですか、知ってる範囲でいいので教えてくれませんか?」
「私も知りたい」
2人が興味深く聞いてくる、裕也はため息を吐き、頭で整理して話せる範囲で話した
「この戦争は仕組まれた罠なんだよ、ヴァリスタン大臣を暗殺したのはエスタン兵だってみんなは聞くけど、違うんだ、エスタン兵のフリをした黒幕がいるんだ、んで、その偽エスタン兵は黒幕に操られて犯行に至った訳だ(それ、僕なんだけどね...)僕はその黒幕を捕まえる、そして両国の戦争も止めるためにここに来た訳だ」
「あなた...ん 頑張ってね」
セレナはそう言う言葉しか声をかけれなかった、壮大な出来事は2人の理解を追いつけなかった、裕也があくびをした
「そろそろ、眠りに就きたい、僕はどこで寝ればいい?」
「私が用意する」
セレナが押し入れからいろんな毛布と敷布団を取り出した、そして、3人は明かりを消して就寝した
裕也の布団にセレナが入り込む、
「振り向かないで」
小さく声を上げる、セレナが裕也の背中を抱き締める
裕也がちょっと顔を赤面する
「一体、何?」
「私、戦争が怖いの、それで母を失ってそれが今も忘れなくて、でね、私達が作るパンの味は失った母の形見なの、裕也、もし戦争になったら、私達を守って欲しい...」
裕也はセレナの手を握りしめてこう言った
「このパンは愛を感じる、失ってはいけないもの、約束する、俺はこのパン、そしてセレナと店主を守るよ」
裕也はセレナと誓いを結び、一緒に添い寝した

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