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<水無瀬葉月>
市場の人たち
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翌日、僕と遼平さんは朝11時ごろに市場に到着した。
朝の喧騒とタイムサービスが終わったぐらいの時間。
狙い通り、市場の人通りは少なかった。
「こんちはー! 親父さんー、タカヤー、いるかー?」
市場に入ってすぐにあるのは八百屋さんだ。
遼平さんがタカヤさんを呼び捨てで呼ぶ。いつの間にそんなに仲良くなったんだろ。
「おう、遼平か」
鷹揚に手を上げて親父さんが出てくる。
「葉月ちゃん!!」
「!?」
親父さんを弾き飛ばす勢いで、中から奥さんが飛び出してきた。
「葉月ちゃん! あんたやっと帰ってきたのね、よかった、よかった……!」
奥さんの掌が肩に乗り、よかった、と何度も繰り返された。
「……!」
こんなに心配してくれてたんだ。意外過ぎてびっくりしてしまった。
「葉月ちゃん、怪我はしてないわよね? 大丈夫だった?」
えと……、慌ててスケッチブックに書こうとしたんだけど、遼平さんが説明してくれた。
「いろいろあって一時的に声が出なくなっているんです。何かあったら助けてやってください。よろしくお願いします」
頭を下げた遼平さんに、慌てて僕もお辞儀する。
「声が……!?」
おじさんもおばさんもタカヤさんも大きく息をのんだ。
「ぜ、全然話せねえのか?」
タカヤさんの質問に慌ててスケッチブックに文字を書く。
『全然話せません。ごめんなさい』
「そう……そう……、よっぽど辛かったのねぇ可哀想に……!」
僕の三倍はありそうなおばさんにぼふ、と、抱きしめられた。
うわあああ!? 柔らかい、キモチイイ……!!?
人のお母さんなのに、どこか懐かしい香りがして二重三重にびっくりしてしまう。
つ、辛くは……ありましたけど、そんなに心配してもらうほどじゃ……
「その……悪かったな、葉月ちゃんが家に帰ったってきいて、おっちゃん、『親元に居るならなんも心配ねー!!』って遼平を怒鳴っちまった……、悪ィな遼平」
おじさんが遼平さんに手を合わせる。
「謝ってもらうことじゃねーよ。深夜近くに押しかけた俺が悪かったんだしな」
「だから言ったんだよ! 今時の親は何するか判んないんだから親元に帰ったからって無事だとは限らないんだって!どうしてあんたはそう呑気なんだい!!」
勘弁カーチャン、とおじさんが逃げ惑う。
「お、奥さん、その辺で、あの時は俺が迷惑をお掛けしたんですから」
「葉月ちゃん!!」
は、はい!?
奥さんが今度は僕を怒鳴りつけた。
「今度親が来たら全速力でここに逃げてきなさいね! おばちゃんがかくまってあげるから! ねぇ、広子ちゃん」
「そうよそうよ! 遠慮しちゃ駄目だからね。おばちゃんがこの包丁で追い払ってやるわ!」
答えたのは野菜屋の向かいにある、総菜屋さんの奥さん……。
「――――――」
――今まで、僕の周りにいたのは、僕を嫌いな人か僕に興味が無い人たちばかりで……、多分、僕は、誰の記憶にも残れなかった。
なのに、こんなに、心配してくれる人が出来る日がくるなんて……。
じわりと目の奥が熱くなった。
泣きたくない。恥ずかしい。
でも、お礼を言わなきゃ。
手が震えて、視界が涙でにじんで、ペンさえうまく持てない。
目尻も頬も燃えたみたいに熱い。
それでも必死にスケッチブックに文字を書いた。
『ありがとうございます』
耐えきれなくなった涙がこぼれ、唇がぷるぷる震えるのを見られたくなくて顔を上げることはできなかった。
ただ、スケッチブックを向ける。
「こらこら、泣くんじゃねえよぉ」
「バカね、泣きたいときは泣くもんだよ」
「は、葉月」
親父さんとタカヤさんが慌てたり奥さんがお説教したり、向かいのお惣菜屋さんのおばさんが僕の背中を笑いながら叩いたりとおじさんが僕の頭をめちゃくちゃに撫でたり、そうこうしてる間に、お肉屋さんの親父さんやお菓子屋さんの、魚屋さんの親子も励ましてくれたり…………!!!!
今だけは声が出なくてよかった。声が出たら、めちゃくちゃ大声を上げて泣いてたから。
騒がせたお詫びに、と、遼平さんは肉も野菜も魚もついでにお惣菜もたっぷりと買いこんだ。
しかもおまけまでいただき、両手にたくさん食べ物を持って僕らは帰路についたのだった。
「葉月、今日はごちそうを作ってくれよ」
うん!!
頷いて、答える。
何か食べたいのある?
手に荷物を持ってるからスケッチブックに文字が書けない。
伝わらないのを承知で口をパクパクして問いかける。
「え? なに? 『遼平さん大好き』?」
違うよ! ……違わないけど。
「『美味しい物を一杯食べたら葉月のことも食べてね』、だな」
うわああ!
とんでもないことを言いだした遼平さんに、思わず周りを見回してしまった。
だ、誰もいない、良かった……!
遼平さん!!
顔を赤くして慌てる僕に、遼平さんが笑った。
優しい笑顔になぜか僕まで楽しくなって笑ってしまう。
またこんな風に笑って過ごせる日が来るなんて。不思議だ。
「明日は水族館に行くからな。今日は家でゆっくり休もうな」
水族館!? そうだった、忘れてた、水族館に行く約束をしてたんだ!
触れるヒトデの水槽、サメとエイのトンネル、おっきなマンボウ……!!
生まれて初めて見る! そ、そうだ、あれを聞いておかなければ。
ペンギンいる!?
「いるいる」
凄い……! 楽しみ……!
「冬だったらペンギンのお散歩イベントがあったんだけど、さすがにこの時期はやってないだろうなぁ。すげーそばを歩いていくから葉月にも見せたかったのに」
ペ、ペンギンが、そばを……?
「まいっか。冬になってからまた行けばいいしな」
「――――!」
「水族館の後に行く場所もあるんだ」
? どこだろ?
「……明日、話すな」
うん。こくんと頷いて返事をした。
さっきまで全開の笑顔だった遼平さんが、どことなく、困ったような、だけど、何かを決意したような、掴みどころの無い表情になっていた。
どうしたんだろう……?
「たっだいまーぴょん太! にんじん一杯買ってきてやったぞぉ」
『ウサギは別にニンジン好きじゃないからね。そもそも、根菜は栄養あり過ぎるからむやみと与えちゃ駄目なんだぞ』
「え、マジか。知らなかった。つーかお前ヌイグルミのくせになんでそんな情報までインプットされてんの?」
『ぴょん太は物知りウサギ』
「すげーなぁ」
感心しつつも、やっぱり中に二本松が……、と呟きつつぴょん太を振りまくってる。
荷物を置いて、僕もぴょん太の右手をぎゅっと掴んだ。
『おかえり、葉月君!』
ただいま!
翌日、僕と遼平さんは朝11時ごろに市場に到着した。
朝の喧騒とタイムサービスが終わったぐらいの時間。
狙い通り、市場の人通りは少なかった。
「こんちはー! 親父さんー、タカヤー、いるかー?」
市場に入ってすぐにあるのは八百屋さんだ。
遼平さんがタカヤさんを呼び捨てで呼ぶ。いつの間にそんなに仲良くなったんだろ。
「おう、遼平か」
鷹揚に手を上げて親父さんが出てくる。
「葉月ちゃん!!」
「!?」
親父さんを弾き飛ばす勢いで、中から奥さんが飛び出してきた。
「葉月ちゃん! あんたやっと帰ってきたのね、よかった、よかった……!」
奥さんの掌が肩に乗り、よかった、と何度も繰り返された。
「……!」
こんなに心配してくれてたんだ。意外過ぎてびっくりしてしまった。
「葉月ちゃん、怪我はしてないわよね? 大丈夫だった?」
えと……、慌ててスケッチブックに書こうとしたんだけど、遼平さんが説明してくれた。
「いろいろあって一時的に声が出なくなっているんです。何かあったら助けてやってください。よろしくお願いします」
頭を下げた遼平さんに、慌てて僕もお辞儀する。
「声が……!?」
おじさんもおばさんもタカヤさんも大きく息をのんだ。
「ぜ、全然話せねえのか?」
タカヤさんの質問に慌ててスケッチブックに文字を書く。
『全然話せません。ごめんなさい』
「そう……そう……、よっぽど辛かったのねぇ可哀想に……!」
僕の三倍はありそうなおばさんにぼふ、と、抱きしめられた。
うわあああ!? 柔らかい、キモチイイ……!!?
人のお母さんなのに、どこか懐かしい香りがして二重三重にびっくりしてしまう。
つ、辛くは……ありましたけど、そんなに心配してもらうほどじゃ……
「その……悪かったな、葉月ちゃんが家に帰ったってきいて、おっちゃん、『親元に居るならなんも心配ねー!!』って遼平を怒鳴っちまった……、悪ィな遼平」
おじさんが遼平さんに手を合わせる。
「謝ってもらうことじゃねーよ。深夜近くに押しかけた俺が悪かったんだしな」
「だから言ったんだよ! 今時の親は何するか判んないんだから親元に帰ったからって無事だとは限らないんだって!どうしてあんたはそう呑気なんだい!!」
勘弁カーチャン、とおじさんが逃げ惑う。
「お、奥さん、その辺で、あの時は俺が迷惑をお掛けしたんですから」
「葉月ちゃん!!」
は、はい!?
奥さんが今度は僕を怒鳴りつけた。
「今度親が来たら全速力でここに逃げてきなさいね! おばちゃんがかくまってあげるから! ねぇ、広子ちゃん」
「そうよそうよ! 遠慮しちゃ駄目だからね。おばちゃんがこの包丁で追い払ってやるわ!」
答えたのは野菜屋の向かいにある、総菜屋さんの奥さん……。
「――――――」
――今まで、僕の周りにいたのは、僕を嫌いな人か僕に興味が無い人たちばかりで……、多分、僕は、誰の記憶にも残れなかった。
なのに、こんなに、心配してくれる人が出来る日がくるなんて……。
じわりと目の奥が熱くなった。
泣きたくない。恥ずかしい。
でも、お礼を言わなきゃ。
手が震えて、視界が涙でにじんで、ペンさえうまく持てない。
目尻も頬も燃えたみたいに熱い。
それでも必死にスケッチブックに文字を書いた。
『ありがとうございます』
耐えきれなくなった涙がこぼれ、唇がぷるぷる震えるのを見られたくなくて顔を上げることはできなかった。
ただ、スケッチブックを向ける。
「こらこら、泣くんじゃねえよぉ」
「バカね、泣きたいときは泣くもんだよ」
「は、葉月」
親父さんとタカヤさんが慌てたり奥さんがお説教したり、向かいのお惣菜屋さんのおばさんが僕の背中を笑いながら叩いたりとおじさんが僕の頭をめちゃくちゃに撫でたり、そうこうしてる間に、お肉屋さんの親父さんやお菓子屋さんの、魚屋さんの親子も励ましてくれたり…………!!!!
今だけは声が出なくてよかった。声が出たら、めちゃくちゃ大声を上げて泣いてたから。
騒がせたお詫びに、と、遼平さんは肉も野菜も魚もついでにお惣菜もたっぷりと買いこんだ。
しかもおまけまでいただき、両手にたくさん食べ物を持って僕らは帰路についたのだった。
「葉月、今日はごちそうを作ってくれよ」
うん!!
頷いて、答える。
何か食べたいのある?
手に荷物を持ってるからスケッチブックに文字が書けない。
伝わらないのを承知で口をパクパクして問いかける。
「え? なに? 『遼平さん大好き』?」
違うよ! ……違わないけど。
「『美味しい物を一杯食べたら葉月のことも食べてね』、だな」
うわああ!
とんでもないことを言いだした遼平さんに、思わず周りを見回してしまった。
だ、誰もいない、良かった……!
遼平さん!!
顔を赤くして慌てる僕に、遼平さんが笑った。
優しい笑顔になぜか僕まで楽しくなって笑ってしまう。
またこんな風に笑って過ごせる日が来るなんて。不思議だ。
「明日は水族館に行くからな。今日は家でゆっくり休もうな」
水族館!? そうだった、忘れてた、水族館に行く約束をしてたんだ!
触れるヒトデの水槽、サメとエイのトンネル、おっきなマンボウ……!!
生まれて初めて見る! そ、そうだ、あれを聞いておかなければ。
ペンギンいる!?
「いるいる」
凄い……! 楽しみ……!
「冬だったらペンギンのお散歩イベントがあったんだけど、さすがにこの時期はやってないだろうなぁ。すげーそばを歩いていくから葉月にも見せたかったのに」
ペ、ペンギンが、そばを……?
「まいっか。冬になってからまた行けばいいしな」
「――――!」
「水族館の後に行く場所もあるんだ」
? どこだろ?
「……明日、話すな」
うん。こくんと頷いて返事をした。
さっきまで全開の笑顔だった遼平さんが、どことなく、困ったような、だけど、何かを決意したような、掴みどころの無い表情になっていた。
どうしたんだろう……?
「たっだいまーぴょん太! にんじん一杯買ってきてやったぞぉ」
『ウサギは別にニンジン好きじゃないからね。そもそも、根菜は栄養あり過ぎるからむやみと与えちゃ駄目なんだぞ』
「え、マジか。知らなかった。つーかお前ヌイグルミのくせになんでそんな情報までインプットされてんの?」
『ぴょん太は物知りウサギ』
「すげーなぁ」
感心しつつも、やっぱり中に二本松が……、と呟きつつぴょん太を振りまくってる。
荷物を置いて、僕もぴょん太の右手をぎゅっと掴んだ。
『おかえり、葉月君!』
ただいま!
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