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僕は、何故かその日あったことや驚いたことををシームにして表す癖がある。理解してほしいわけでも共感してほしいわけでもないが、例えば、いきなり知らない人が話しかけてきたりすれば大体、二十シームぐらいになる。
そもそも、シームとは、野球で使われることが多くボールの縫い目の事を指す。
突然だが、僕には好きな人がいる。そういう系のシームは、高い。ただ、好きな子が話しかけてきたときは、八十シームに到達することもある。目があったり、少し会話をすることだけでも、嬉しくなり、シームが上がる。
ある日、学校へ行くとき、偶然にも雨が降っていたので親に車で送ってもらった。学校の駐車場で降り、昇降口を目指す上で、甘い香りと共に彼女が、僕を追い抜いた。いきなりの出来事で、彼女の背中を見ながら、
「九十三シームだなぁ」
と静かに呟く。当然、降りしきる雨の音で消える。
その日の帰り、彼女が駐車場で親を待っているのか独りで立っていたので、僕は緊張したのか、何もしてあげることが出来なかった。傘で顔を隠し、振り向くことすらせずに。後ろに視線を生々と感じていたのにも関わらず。あの時、何か言葉をかけてあげていたら、今の自分は少しは変わっていたのかな、とも思う。
数日という時間が経ち、
「おー、ありがとう」
彼女からの言葉を浴びる度に、心から、あのとき何もしてあげられなかった申し訳なさと、自分に後悔し、
「三十九シームだなぁ」
と、心の中で呟いた。
三十九シーム
そもそも、シームとは、野球で使われることが多くボールの縫い目の事を指す。
突然だが、僕には好きな人がいる。そういう系のシームは、高い。ただ、好きな子が話しかけてきたときは、八十シームに到達することもある。目があったり、少し会話をすることだけでも、嬉しくなり、シームが上がる。
ある日、学校へ行くとき、偶然にも雨が降っていたので親に車で送ってもらった。学校の駐車場で降り、昇降口を目指す上で、甘い香りと共に彼女が、僕を追い抜いた。いきなりの出来事で、彼女の背中を見ながら、
「九十三シームだなぁ」
と静かに呟く。当然、降りしきる雨の音で消える。
その日の帰り、彼女が駐車場で親を待っているのか独りで立っていたので、僕は緊張したのか、何もしてあげることが出来なかった。傘で顔を隠し、振り向くことすらせずに。後ろに視線を生々と感じていたのにも関わらず。あの時、何か言葉をかけてあげていたら、今の自分は少しは変わっていたのかな、とも思う。
数日という時間が経ち、
「おー、ありがとう」
彼女からの言葉を浴びる度に、心から、あのとき何もしてあげられなかった申し訳なさと、自分に後悔し、
「三十九シームだなぁ」
と、心の中で呟いた。
三十九シーム
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