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ALL本気
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俺は、本気を出すことが出来ない。いつからだろう。そして、いつ、だろう。俺が本気を出したのは。
本気を出せない俺は、ある日、本気を出した。その理由は、友達がいじめられていたから。本気を出したことは悔やんではいない。本気を出せば、友達を救える。と思っていたのに、やり過ぎて、いじめっ子が長期の入院をし、俺が一番怒られた。助けた友達も俺を避けてきた。虫唾が走った。せっかく本気を出して助けてあげたのに。ムカついた、のと同時に、暴力では何も救われないという事を知った。本気を出して以来、俺はいつもどうり学校に通った。向けられるのは、狂気の目。なんでいるの?と、視線から手を取るように分かる。地位を失った。クラスの全員、死ねばいいと思った。何もかもに呆れて遂には、学校に行かなくなった。どうでも良い。今までクラスの全員で笑いあったり、悲しみあったり、でも、今は、”全員”ではない。
家にいても祖母と祖父しかいない。お祖父ちゃんは、認知症になりかけていて、施設に行っている。恐らく、この家には帰ってこない。お祖母ちゃんは、俺を養うために幾つものパートを掛け持ちし働いている。両親は俺が物心つく前に、死んだ。まず、お父さんが死んで、そのショックでお母さんが死んだ。顔も覚えていない。家には基本的に誰もいないので、学校がある日は、その辺をブラブラしている。ある日、独りで歩いていると、小さくて、静かな公園を見つけた。誰もいない、いい場所だ。一瞬で値踏みを済ませ、錆びたベンチに座り、街並みを眺める。遠くに俺が通っている中学校が見える。入道雲が上に昇っている。蝉が五月蝿い何分たったか分からないが、眺めて眠りかけそうにウトウトしていると、
「大丈夫?」
目の前に清楚な顔立ちの俺より二つか三つは幼いであろう少女が、同じ目線に合わせて腰を屈め首を傾げてきた。俺はとっさに対応する事ができず、彼女の輝いている目を見つめてしまった。
「もしもーし、大丈夫?」
大丈夫、か。ぜんぜん大丈夫では無いが、質問される。
「名前、何て言うの?」
「関係ねぇだろ」
「そう、じゃあまたね」
彼女は、寂しそうな顔をして過ぎ去っていった。俺は、もう、反発するしか選択肢がなかった。彼女の残り香、保育園の記憶を思い出す。誰かにすべて吐き出したい。もう独りはごめんだ。でも、それをかき消すような、良い香りだ。そこに、優しくて綺麗な手を差しのべて欲しかった。楽しかった学校生活。今は、もう過去形だ。未来形も無い、希望を捨てた。
公園の静寂が、夏の日差しが、俺を更に、過去へと引きずり込んでいった。その頃には、彼女に残り香は消え失せていた。
俺は、目を閉じて、あの頃を思い浮かべた。
「おい、俊、ちょっと面貸せや」
いじめっ子なのか、俺と俊が二人で下校しているときに、いきなり俊の首に凄い勢いで腕を絡めつけてきた。
「おい、そこの、こいつ借りるぞ」
俊は、ひきつったような怯えているような顔をして、さよならを告げた。
「また明日」
と。
俺は立ち止まって、何も言えずに、俊といじめっ子を見ていた。すると、突然、腹を三発連続で殴っていた。俺は、どうすることも出来ずに、角で曲がった後も、その道を眺めていた。
本気を出せない俺は、ある日、本気を出した。その理由は、友達がいじめられていたから。本気を出したことは悔やんではいない。本気を出せば、友達を救える。と思っていたのに、やり過ぎて、いじめっ子が長期の入院をし、俺が一番怒られた。助けた友達も俺を避けてきた。虫唾が走った。せっかく本気を出して助けてあげたのに。ムカついた、のと同時に、暴力では何も救われないという事を知った。本気を出して以来、俺はいつもどうり学校に通った。向けられるのは、狂気の目。なんでいるの?と、視線から手を取るように分かる。地位を失った。クラスの全員、死ねばいいと思った。何もかもに呆れて遂には、学校に行かなくなった。どうでも良い。今までクラスの全員で笑いあったり、悲しみあったり、でも、今は、”全員”ではない。
家にいても祖母と祖父しかいない。お祖父ちゃんは、認知症になりかけていて、施設に行っている。恐らく、この家には帰ってこない。お祖母ちゃんは、俺を養うために幾つものパートを掛け持ちし働いている。両親は俺が物心つく前に、死んだ。まず、お父さんが死んで、そのショックでお母さんが死んだ。顔も覚えていない。家には基本的に誰もいないので、学校がある日は、その辺をブラブラしている。ある日、独りで歩いていると、小さくて、静かな公園を見つけた。誰もいない、いい場所だ。一瞬で値踏みを済ませ、錆びたベンチに座り、街並みを眺める。遠くに俺が通っている中学校が見える。入道雲が上に昇っている。蝉が五月蝿い何分たったか分からないが、眺めて眠りかけそうにウトウトしていると、
「大丈夫?」
目の前に清楚な顔立ちの俺より二つか三つは幼いであろう少女が、同じ目線に合わせて腰を屈め首を傾げてきた。俺はとっさに対応する事ができず、彼女の輝いている目を見つめてしまった。
「もしもーし、大丈夫?」
大丈夫、か。ぜんぜん大丈夫では無いが、質問される。
「名前、何て言うの?」
「関係ねぇだろ」
「そう、じゃあまたね」
彼女は、寂しそうな顔をして過ぎ去っていった。俺は、もう、反発するしか選択肢がなかった。彼女の残り香、保育園の記憶を思い出す。誰かにすべて吐き出したい。もう独りはごめんだ。でも、それをかき消すような、良い香りだ。そこに、優しくて綺麗な手を差しのべて欲しかった。楽しかった学校生活。今は、もう過去形だ。未来形も無い、希望を捨てた。
公園の静寂が、夏の日差しが、俺を更に、過去へと引きずり込んでいった。その頃には、彼女に残り香は消え失せていた。
俺は、目を閉じて、あの頃を思い浮かべた。
「おい、俊、ちょっと面貸せや」
いじめっ子なのか、俺と俊が二人で下校しているときに、いきなり俊の首に凄い勢いで腕を絡めつけてきた。
「おい、そこの、こいつ借りるぞ」
俊は、ひきつったような怯えているような顔をして、さよならを告げた。
「また明日」
と。
俺は立ち止まって、何も言えずに、俊といじめっ子を見ていた。すると、突然、腹を三発連続で殴っていた。俺は、どうすることも出来ずに、角で曲がった後も、その道を眺めていた。
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