にゅうどう雲

幸甚

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all本気

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俺の友達、秋葉俊は、中学校で知り合い、一日で意気投合した。趣味も同じ小説を書くことだった。俺は、小説を書くのが大好きで小説家になりたかった。俊も同じはずだ。俊は、俺に憧れていた。小説を書く。この行為が、俺に憧れている証拠だと勝手に思っている。それを裏付けるような行動は確かにあった。しかし、中学二年生に進級するのと同時に、俺は俊と一緒のクラスになったが、俊がいじめに遭っていた。物を隠すなり、ノートや教科書を破り捨てたり、小柄で気弱な俊は、格好の的だった。俊を見ているのが辛かった。いじめられているのに、毎日登校してきやがって。いじめをとめることはできそうにない。見ていると辛い。俊が学校に来なければいじめられないのに、と思ったことは一度や二度ではない。
そして、朝、教室で俊が殴られているのを見て、本気を出し、殴り続けた 。相手が動かなくなるまで。相手が倒れても、今までの痛みを思い知れと、腹、顎、股間、呻き声を出しているのに殴り続けた。女子が泣き叫びながら教室を逃げ出す。
俊が俺を見る目は、いじめっ子に対するものと、全く同じだった。誰もいないクラスで、動かない相手を見て、我に返った。やっちまった、と。
泣き叫んでいた女子たちが、先生を呼んだらしく、先生が来て、扉を乱暴に開ける。先生は俺に対して怒号を浴びせることなく、俺が殴った相手を心配している。それを見ながら突っ立っていた。俺は、先生、あの時、怒鳴り散らかしてほしかったんだ。無視が一番、効く。
数日後、俺は不登校になった。
何もかもが嫌になった。無断で学校を休み、意味もなくフラフラしている。受験という大きな壁を直視しなかった。本当にどうでも良かった。きっと自分はこのクラスに必要ない邪魔なだけの存在だと、自分を言い聞かせてきた。それが、辛い。
思い出すのは、散々殴って、突っ立ていたときの先生の背中。俺なんか、俺なんか、
生きている価値ねえな。拳で涙を拭く。温かかった。

















    
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