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本気
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そして、過去から現実に戻ると目の前にまた、あの少女がいた。何もかもを受け入れてくれそうな顔をしながら。
「大丈夫?」
そう言って、俺に水を差し出してくれた。
「なんで、水なんかくれるんだ?」
初めて会話が成立した。が、俺は威嚇したような声で言った。
「あれ、もしかして、水嫌い?」
少女は微笑んで少し強引に俺に水を押しつけてきた。俺は、右手で受け取る。目が覚める冷たさだった。
「君、名前は?」
「ふ、つ、うー、君から言うもんでしょ」
それもそうだ。会話しているときだけ、嫌なことを忘れられた。
「俺の名前は、東條 彗也だ」
「私の名前は、森 明日香」
「どうして、平日にこの公園に来てるの?」
「そりゃ、ブーメランだな」
彼女は、笑いを少し零して、
「私は、嫌になったから逃げだしてきたんだ」
「何が嫌だったんだ?」
気になった。いきなり水をくれる少女の嫌な事とは何か。
「んー、全部」
言うつもりが無いらしいので、
「そうか」
俺は、この質問をされるのが嫌だったので、オーラを放ちながら言った。
「君は、どうしてここにいるの?」
そうきたか、と内心焦る。
「俺も全部、どうでもよくなっちまった」
考えるのが面倒くさいので、答えを合わせた。
「そう、じゃあ、一緒だね」
今度は完璧な笑み。笑顔に救われた。
「そーだな」
俺の顔は、少し安堵したような表情かもしれない。
「じゃあ、またね」
またね?この言葉の意味が分からず、座り竦めていた。背中が小さくなっていく。右手に冷たい水を握りながら。背中が見えなくなり、貰った水を飲んだ。久しぶりに、水が体に沁みた。この感覚は、気持ちがどうしても良くなっていく。街並みを見ながらと、更に、だ。
日が段々と暮れていき、夕陽が眩しい。家に帰るか、と家路についた。帰る途中で、何人もの中学生を見た。中学三年生は、もう部活を引退しているはずだ。受験の雰囲気が漂っている教室を想像することができない。語る資格はもう無いが。
家に着くと、お祖母ちゃんが、晩御飯を作ってくれていた。カレー、か。良い香り。
お祖母ちゃんは、俺が不登校なのを、一度も話題に出したことがない。いつも言ってくれるのは、辛かったら逃げて良いからね、だ。カレーは、毎回ドロドロしていて、味がしょっぱいほどに濃い。でも、美味しい。
「どうだい?、味薄くない?」
「うん、美味しいよ」
お祖母ちゃんの前だと凄く素直になれる。短い人生の中でそれだけが確かだった。
食べ終わり、自室に向かう。いつもどうり、小説を綴った。青春小説だ。本当にベタなやつを。自分の世界で自分の好きなように何もかもを、動かせる。これ以上のもは無いほどに、楽しかった。二時間ほど、小説を書き、風呂に入り、歯を磨き、就寝した。
その時、少女は、静かに泣いていた。嘘のように淋しく。
「大丈夫?」
そう言って、俺に水を差し出してくれた。
「なんで、水なんかくれるんだ?」
初めて会話が成立した。が、俺は威嚇したような声で言った。
「あれ、もしかして、水嫌い?」
少女は微笑んで少し強引に俺に水を押しつけてきた。俺は、右手で受け取る。目が覚める冷たさだった。
「君、名前は?」
「ふ、つ、うー、君から言うもんでしょ」
それもそうだ。会話しているときだけ、嫌なことを忘れられた。
「俺の名前は、東條 彗也だ」
「私の名前は、森 明日香」
「どうして、平日にこの公園に来てるの?」
「そりゃ、ブーメランだな」
彼女は、笑いを少し零して、
「私は、嫌になったから逃げだしてきたんだ」
「何が嫌だったんだ?」
気になった。いきなり水をくれる少女の嫌な事とは何か。
「んー、全部」
言うつもりが無いらしいので、
「そうか」
俺は、この質問をされるのが嫌だったので、オーラを放ちながら言った。
「君は、どうしてここにいるの?」
そうきたか、と内心焦る。
「俺も全部、どうでもよくなっちまった」
考えるのが面倒くさいので、答えを合わせた。
「そう、じゃあ、一緒だね」
今度は完璧な笑み。笑顔に救われた。
「そーだな」
俺の顔は、少し安堵したような表情かもしれない。
「じゃあ、またね」
またね?この言葉の意味が分からず、座り竦めていた。背中が小さくなっていく。右手に冷たい水を握りながら。背中が見えなくなり、貰った水を飲んだ。久しぶりに、水が体に沁みた。この感覚は、気持ちがどうしても良くなっていく。街並みを見ながらと、更に、だ。
日が段々と暮れていき、夕陽が眩しい。家に帰るか、と家路についた。帰る途中で、何人もの中学生を見た。中学三年生は、もう部活を引退しているはずだ。受験の雰囲気が漂っている教室を想像することができない。語る資格はもう無いが。
家に着くと、お祖母ちゃんが、晩御飯を作ってくれていた。カレー、か。良い香り。
お祖母ちゃんは、俺が不登校なのを、一度も話題に出したことがない。いつも言ってくれるのは、辛かったら逃げて良いからね、だ。カレーは、毎回ドロドロしていて、味がしょっぱいほどに濃い。でも、美味しい。
「どうだい?、味薄くない?」
「うん、美味しいよ」
お祖母ちゃんの前だと凄く素直になれる。短い人生の中でそれだけが確かだった。
食べ終わり、自室に向かう。いつもどうり、小説を綴った。青春小説だ。本当にベタなやつを。自分の世界で自分の好きなように何もかもを、動かせる。これ以上のもは無いほどに、楽しかった。二時間ほど、小説を書き、風呂に入り、歯を磨き、就寝した。
その時、少女は、静かに泣いていた。嘘のように淋しく。
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