低級精霊も積もれば神となる~最弱の俺がいつの間にか最強パーティの中心です~

遖なリ

文字の大きさ
1 / 14

1 スライム以下の転生先でした

しおりを挟む
俺は死んだ。

それは突然のことだった。

いつもの日常。いつものアパート。いつもの階段。

「……あ」

足が滑った。

手すりに手を伸ばすが、届かない。
視界がぐるりと回転する。

この瞬間、世界がゆっくりに見える。

が、しかし。

ゆっくりに見えていても、思考は回らない。ただただ、その衝撃までの体感時間と浮遊感が引き延ばされているだけ。

つまり。俺の死は一瞬だったってこと。





……あれ?

痛みがない。
苦しさもない。

「俺…生きてる?」

そう思った瞬間視界がひらけた。

緑。
木々。
どう見ても森。

「どこだ、ここ…」

ふと、違和感に気づく。

身体がない。手も足もない。

俺は小さな白い光になっていた。

「魂か…俺…死んだんだな」

周りを見渡すと、俺と同じ小さな光が漂っていた。
白色、赤色、青色、緑色、茶色、紫色。
全部で六色。

「みんな死んでここに来てるのか」

そう思うと妙に安心した。

そのとき。

すり。

「……ん?」

一つの白い光がやけに近い。

というかゼロ距離。
めちゃくちゃくっついてくる。

暖かくて、くすぐったい。

「ちょ、近い近い」

どれだけ離れようとしても、当然のように白い光はついてくる。

「なんでそんなくっついてくるんですか?!」

返事はない。

その様子につられたのか、
他の光も集まってきた。

気づけば、俺の周りは光だらけだ。

「え…俺、死後の世界でモテ期到来?」

そのときだった。

茂みの奥で何かが跳ねた。

半透明で、ぷるぷるしていて、形が安定していない。

「…スライム?ということは…」

ーーここ、死後の世界じゃない??

しかもスライムがいるってことは…

「異世界転生?!」

一気にテンションが上がった。

正直に言おう。
前世の俺は転生ものが大好きだった。

トラックに轢かれたり、過労死したりして異世界へーー
それに比べたら俺の死因ダサすぎるけど…

そういうことならやることは一つしかない。

「ステータスオープン!!」

すると…

視界の前に、ふわりと文字が浮かんだ。



―――――――――――――――

【名前】 なし
【種族】 低級精霊(聖)
【スキル】共鳴核

―――――――――――――――

「これは…なかなかシンプルな…」

レベルもHPも攻撃力も書いてない。

「聖属性の精霊か」

俺はもう一度表示を見つめた。

そこまで悪い転生先ではなさそうだ。精霊王とか精霊魔法とか聞いたことがあるし。

「低級、ってのが気になるけど…ま、そのうち進化できるだろう」

それに『共鳴核』とかいうスキル。名前からして凄そうだし。

俺が低級精霊ってことは、周りの光たちも同じ低級精霊なのだろう。
何をするわけでもなく、ふわふわと空中を漂っている。知能はなさそうだ。

「ん?」

ずっと近くにいた白い精霊が慌てたような動きをしている。

ぷるぷる。
ぷるん、ぷるん。

さっきのスライムだ。

透き通った綺麗な体だ。それでいて、もちもちぷるぷる。

「スライムって結構かわいいんだな。」

しかし、ここは異世界。異世界といえばレベルアップ。
レベルアップのためにはもちろんモンスター討伐。

このスライムには俺の経験値になってもらおう。

相手はスライム。俺は低級とはいえ精霊。

「くらえ!!『ホーリーランス』!!!」

……何も起こらない。

まぁ、予想はしていた。俺が今考えた魔法だし。

だが、俺にはまだスキルが残っている。

「スキル『共鳴核』!!」

ほわほわ~

俺の周りにさらに低級精霊たちが集まってきた。

「…集まるだけ???」

べちゃっ

スライムが赤い精霊に飛びついた。

じゅっ。

嫌な音がして赤い光が溶けていった。

「……え?」

次に青。

じゅっ。

緑も。

じゅっ。

「お、俺の仲間たちがーー!!」

喰われている。精霊が、スライムに。何の抵抗も出来ずに。
低級精霊の速さじゃ逃げることすらできない。

白い精霊が、俺の前に出た。

そしてちょっとだけ、大きく光る。

……いや。
それ、たぶん威嚇のつもりだよな。

やめろ。
お前、絶対勝てないから。

スライムがこちらを標的にする前に、逃げなければ…

俺は、ようやく理解した。

「…低級精霊って」

なんだ…

スライムが跳ねた。

俺が後退すると、
白い精霊は迷わずついてきた。

逃げるときも、離れない。

その後ろに数匹くっついてきている。

……なんでだよ。
こんな役に立たないやつのそばにいても、
助からないのに。

俺は必死に逃げ出した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

精霊に愛される(呪いにもにた愛)少女~全属性の加護を貰う~

如月花恋
ファンタジー
今この世界にはたくさんの精霊がいる その精霊達から生まれた瞬間に加護を貰う 稀に2つ以上の属性の2体の精霊から加護を貰うことがある まぁ大体は親の属性を受け継ぐのだが… だが…全属性の加護を貰うなど不可能とされてきた… そんな時に生まれたシャルロッテ 全属性の加護を持つ少女 いったいこれからどうなるのか…

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...